2022.02.07
フィラデルフィア・セブンティシクサーズをけん引するチームの大黒柱、ジョエル・エンビードは、今シーズンのMVP候補に名乗りを上げている。1試合平均29.1得点はキャリアハイの成績で、移籍問題が取り沙汰にされているベン・シモンズを欠くシクサーズがイースタン・カンファレンスの3位に位置しているのは、この万能ビッグマンの圧倒的な支配力があるからに他ならない。
そのエンビードは、1月26日(現地時間25日)に開催されたニューオーリンズ・ペリカンズとの一戦で、ドラフト外から同球団に加入したルーキーのホセ・アルバラードと口論を繰り広げた。第2クォーターの中終盤、エンビードがペリカンズのギャレット・テンプルにファウルを犯すと、アルバラードは激しくエンビードへと詰め寄る。そして、2人が胸を突き合わせて言い合いをすると、両者はダブルテクニカルファウルをコールされた。
このプレーにより、アルバラードはリーグから2000ドル(約23万円)の罰金が言い渡された。しかし、同選手によれば、エンビードがこの違反金を肩代わりしてくれたようだ。後日、ペリカンズの練習場でレポーターと会話を交わしたアルバラードは、その出来事について以下のように語っている。
「彼に『俺はペナルティを払う余裕はない』って言ってみたんだよ(笑)。でも、彼は本当にクールな男で、僕の罰金を払ってくれたんだ。僕らは試合をとおしてコミュニケーションを取って、そこには愛とリスペクトがあったと感じている。あのテクニカルは瞬間的なヒートアップであって、パーソナルなことではない。2人のバスケットボーラーがぶつかり合っただけだよ」
アルバラードのインタビューにより、エンビードの漢気が明らかになると、同選手にもマイクが向けられた。シクサーズの背番号21は、記者からの質問に対して、一連の出来事をこう振り返っている。
「彼のエネルギーに感銘を受けたんだ。彼は一生懸命プレーし、必死に競い合っている。彼がテクニカルを吹かれたときでさえ、彼は一歩も引かなかっただろ。俺たちは普通のトラッシュトークをしていただけで、コートで2人の男が対峙してたと思ってくれ。俺は引き下がることのない彼を尊重したかったんだよ」
「試合後に俺は彼のところに行って、『これからも戦い続けてくれ』とメッセージを伝えてきた。俺が彼にできることはそれぐらい(罰金を肩代わり)だと思っている。彼のテクニカルを引き出したのは俺自身だ。それに、彼は(ルーキーだから)リーグの他の選手に比べてサラリーが少ないだろうし、余計なお金を払ってほしくないと思ったんだよ」
Joel Embiid on Jose Alvarado: "I just like his energy. He plays hard, he competes. Even when he picked up the tech, he wasn't backing down."
"I just felt like that's the least I could do because I made him pick up the tech… I didn't want him to lose that money." pic.twitter.com/XLGnb9DORu
— Rich Hofmann (@rich_hofmann) January 28, 2022
身長213センチのエンビードに対して、アルバラードはわずか183センチ。自身よりも30センチ身長の低いルーキーの熱量に、エンビードは気持ちが動かされたのだろう。
まさに、NBAを象徴するようなスポーツマンシップ。チームメートからもバスケットボールと向き合う姿勢が賞賛されるアルバラードは、いつかリーグに必要不可欠な選手に成長するに違いない。
文=Meiji
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