2022.03.02

“様変わりなエアジョーダン 1”がジョーダンの着用モデル史上最高額で落札

ジョーダンが着用したエアジョーダン1が約7800万円で落札[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 バスケットボールのコレクター市場の勢いは、止まるところを知らない。1枚のカードに2億円以上の価値がつくことはもはや珍しいことではなくなり、時の経過とともにその価値はさらに高騰していくだろう。

 とりわけ、バスケットボールの神様として崇められるマイケル・ジョーダン関連のアイテムは、コレクターたちの注目の的となっている。最近では、1970年代より続く老舗オークション『Heritage Auctions』にて、『エアジョーダン 1』がジョーダンの着用モデル史上最高額となる67万5000万ドル(約7800万円)で落札された。

 ピーター・ムーアがジョーダンのためにデザインした『エアジョーダン 1』は、スニーカーの歴史を変えたエポックメイキングとして、令和の現代でもその存在が神格化されている。ヒエラルキーの頂点に位置する同モデルはこれまでにも様々な伝説を残してきたが、この度落札されたAJ1はミルウォーキー・バックスと激突した1986年4月1日の試合でジョーダンの足元を支えた一足だ。

 ケガのためベンチからの出場となったジョーダンは26分のプレータイムでチームハイの28得点をマークしたが、9点差で敗戦。ルーキーイヤーでも伝説の一戦でもないゲームで着用したシューズになぜこれだけの値がついたかというと、この『エアジョーダン 1』は通常モデルとは異なる特異な仕様になっているからだ。

 履き口裏の「13 860304STPS」のサインから読み取れるとおり、1986年3月から4月の間に生産された13インチ(33センチメートル)のプレイヤーサンプル(PS)には、同じくナイキの名作として知られる『ダンク』のソールが搭載されている。『Heritage Auctions』曰く、これはジョーダンが治療中の骨への影響を軽減するべく、ナイキ社が凝らした工夫であるという。

 さらに、右足のアイレット(シューレースホール)は、左右の列で穴の数が異なっており、足首付近の上から3番目にあるべきパンチが施されていない。すなわち、この『エアジョーダン 1』は、PSだからこそ起こり得た“エラー”によって、マニアたちの収集欲を駆り立てた。

 あまりにもニッチなコレクターの世界。またひとつ、『エア ジョーダン 1』の知見が深まる出品となった。

 文=Meiji

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