2022.10.12

グリーンの再合流を語ったウォリアーズ指揮官「彼は我々の信頼を壊してしまったが…」

ジャパンゲームズで来日したカーHC[写真]=伊藤 大允
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「(ウォリアーズの)カルチャーは、この件でダメージを受けてしまった。それを修復していかなければ」とカーHC

 10月12日(現地時間11日、日付は以下同)。ゴールデンステイト・ウォリアーズはホームのチェイス・センターでポートランド・トレイルブレイザーズを131-98で下し、プレシーズンゲームの戦績を3勝1敗とした。

 この試合、ウォリアーズはステフィン・カリージョーダン・プールアンドリュー・ウィギンズケボン・ルーニーの先発組に加え、コンディション調整中のクレイ・トンプソンアンドレ・イグダーラ、さらにはチームから離脱しているドレイモンド・グリーン(以降、D・グリーン)と、主力が軒並み欠場。

 それでも、ジャマイケル・グリーンが20得点8リバウンド、モーゼス・ムーディーが20得点、ジェームズ・ワイズマンが18得点7リバウンド、ドンテ・ディビンチェンゾが7リバウンド10アシスト3スティールで勝利に貢献した。

 そして試合後、スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)が会見に登場。先週、チーム練習時にプールへパンチを見舞ったD・グリーンについて、チームは熟考のうえで彼に罰金こそ科したものの、出場停止処分にはしていないことを明かした。

「今回のことは、私がここでコーチになってから最大の危機だ。本当に深刻なことになっている。我々は決して完璧ではないということ…。だが我々はこれまで一緒にやってきた経験、築き上げてきた信頼を頼りに、これがこのチームにとってベストな決断だと思っている。我々にはまだまだやることがたくさんある。このチーム全員にとってね」

 指揮官は会見でそう口にし、D・グリーンが14日にチームへ復帰し、翌15日のプレシーズン最終戦(対デンバー・ナゲッツ)に出場見込みであること、そして19日に行われるロサンゼルス・レイカーズとのレギュラーシーズン開幕戦も出場可能になると話していた。

プレシーズン最終戦で出場見込みのD・グリーン(中央)[写真]=伊藤 大允

 9日に臨んだ会見で、D・グリーンはプールとその家族へ謝罪したものの、「ジョーダンの気持ちが最も大切です。正直なところ、私は彼がどう感じているのか分かりません」と話しており、『Locked On Warriors』のサイラス・サットサーズ(ジャーナリスト)は先日この件について「私が情報筋から聞いたところ、ジョーダン・プールはドレイモンドを許していないし、彼らは話をしていない。彼(プール)はハッピーではない。酷い状況にあるんだ」と語っていたことから、両者の関係修復に黄信号が灯っていたと見ることもできる。

 もっとも、その件について、カーHCは今回の件でチームとして決断を下すにあたり、カリーとほかの選手たちも尽力しており、プールは指揮官やフロントと何度かミーティングをし、当然D・グリーンとも会ったと発言。そして現在のプールは「前へと進もうとしている。そしてドレイモンドとまた一緒にフロアへ喜んで戻ろうとしている」と話していた。

 D・グリーン自身は「無期限でチームから離れるだろう」と反省していたのだが、指揮官は「それはどうすることもできない。(ウォリアーズの)カルチャーは、この件でダメージを受けてしまった。それを修復していかなければならない」と、すでにD・グリーンが復帰することを前提に思考を巡らせていた。

 2連覇を目指して迎える今シーズン。ウォリアーズは開幕まで約1週間という短期間ながら、チームを再構築していくこととなる。カリー、トンプソンとともにチームの基盤となるD・グリーンについて、カーHCは「彼は(今回の一件で)我々の信頼を壊してしまった。でも私は彼のことを信じるチャンスを与えることにする。彼はそれに値するからだ」と語っていた。

 D・グリーンは来シーズンの契約がプレーヤーオプションで、これを破棄すれば来年夏に制限なしフリーエージェント(FA)になることが可能。プールもこのまま延長契約を締結できなければ、今シーズン終了後に制限付きFAとなるため、両選手が来シーズン、あるいは今シーズンを最後までウォリアーズで共闘することになるかは微妙。

 それでも、D・グリーンは王者ウォリアーズが誇るディフェンシブ・ストッパー兼ヴォーカルリーダーで、プールはカリー、トンプソン、ウィギンズと共に得点源と、両選手とも2連覇を達成するためには不可欠な選手なのは間違いない。

 これから先、カーHCやフロント、カリーをはじめとする選手たちが“ウォリアーズ・ファミリー”として一丸となり、再び絶妙なチームケミストリーを構築できるか、王者の動向から目が離せない。

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