2024.09.01
7月25日から30日にかけて北海道で行われる「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。夏の祭典の開幕を前に、バスケットボールキングでは今大会で活躍が期待される注目選手をピックアップした。
文・写真=小沼克年
平良宗龍と中島遙希。富樫英樹コーチは、2人を「エース」と呼び、「両輪」とも例える。
まずは2年生の平良。昨年から即戦力として活躍したスコアラーは、「得意の3ポイントを狙いながらも、インサイドにもどんどんアタックすること」と現在のプレースタイルを語る。「今年は中でも外でも点を取りに行く」とも話しており、得点源としての自覚が芽生えた。
今シーズンは昨年以上に貪欲にシュートを狙い、それを決め続けるエースとしての働きが求められる。時には徹底マークに遭うこともあるだろう。それでも、ここぞという場面でチームを救う1本を決めるのが、平良宗龍という男だ。
高いポテンシャルとスター性を持ち合わせている背番号13は、昨年行われたインターハイ決勝の残り1分だけを切り取っても語ることができる。
福岡第一高校(福岡県)と激闘を繰り広げたこの試合、当時のルーキーは2点リードの残り43秒にジャンプショットを沈めた。優勝を手繰り寄せる一撃だったが、チームはそこから逆転負けを喫し、準優勝。相手のゾーンプレスに引っかかった際、ターンオーバーを犯したのは平良だった。
「あの場面でシュートを決められたことは大きな財産ではあるんですけど、やっぱり最後のパスミスが鮮明に記憶に残っています。本当に悔しさが残る大会でした」
この経験があるからこそ、優勝候補筆頭として臨む今大会においても、油断はさらさらない。
「本当に何が起こるのかわからない。その中で自分がオフェンスを引っ張って、チーム全体でディフェンスを頑張れば優勝できると思っています」
180センチに満たない身長で、体格もガッチリしているわけではない。それにも関わらず、チームで最も異彩を放っているのが3年生の中島だ。
「泥臭いプレーヤーなんですけど、身体能力がすごいです」。ともにチームの先頭に立つ澤田竜馬(3年)が言うように、中島は持ち前の身体能力を生かしてコートの至るところに顔を出す。
「自分はディフェンス面を求められている」と守備を第一に考え、堅い守りだけでなく、鋭い読みでスティールを連発。リバウンドでも存在感を示し、跳躍力は時に留学生の上からボールを奪ってしまうほどだ。
攻撃では澤田や平良の陰に隠れがちだが、「他の選手にディフェンスが寄る分、自分がノーマークになる」と常にチャンスを伺い、コンスタントに得点を重ねて味方を援護する。チームのピンチを救い、相手からすれば嫌な場面で活躍される中島は、“くせ者”と呼ぶにふさわしい存在だ。
富樫コーチの口からも惜しみない褒め言葉が飛び出し、「中島がチームを支えているし、あの子がいるといないとでは違う」「僕の中ではエース」「僕の安心材料。心の保険です」などと全幅の信頼を置く。今年は先発として主軸を担うことが多いが、試合の空気を変える「あえての6番手」(富樫コーチ)を担えることも強みである。
「去年はああいう負け方をしてしまいましたが、個人的には大会を通してディフェンスで流れを変えられたと思いますし、それが今の自信に繋がってます」
昨年の夏をそう振り返る背番号5は、「個人的には3ポイントを練習して、空いたところは全部決められるくらいになりたい」とさらなるレベルアップを誓った。
今年の開志国際は、豊富なガード陣を擁して昨年のリベンジと2度目のインターハイ優勝を目指す。その中でも替えがきかないキーマンが、平良、そして中島の両輪だ。果たしてどんなプレーで北海道を沸かせ、チームに栄冠をもたらすのか。ぜひ注目してほしい。
2024.09.01
2024.05.06
2023.07.28
2023.04.18
2023.04.10
2023.03.16