2017.01.07
11月24日に行われたB1リーグ第9節、シーホース三河vsエヴェッサ大阪の主役は、勝った三河の金丸晃輔でも、比江島慎でもなく、この両エースの控えであり、シックスマンの長谷川智也だった。
「最近自分のプレーを忘れかけていた」と語る長谷川は、プレータイムの伸び悩みもあり、自身の持ち味を活かせない試合が続いていた。鈴木貴美一ヘッドコーチが「チームとしてボールをコントロールするイメージ」と語る戦術を意識しすぎてしまい、シューターにとっては大事な思いきりの良さやリズムを欠いていた。
その長谷川に自身の持ち味を思い出させたのは、鈴木HCとキャプテンの橋本竜馬の2人だ。「とにかくシュートを打ちまくれ。ボールを持ったら攻めろ。と鈴木コーチに喝を入れられた。シンプルだけど、そのアドバイスが心に響いた」と長谷川は語る。
大阪との試合ではその助言どおり、積極的にシュートを放った長谷川が前半の苦しい時間帯にチームを救った。この試合、長谷川はチームトップの25得点、3ポイントを9本打って7本沈める大暴れだった。本来のフォームを取り戻して、はまりこんだ迷路からは抜けだしたようだ。
キャプテンの橋本は、大阪戦のヒーローの活躍に目尻を下げた。「自分は、このチームで6年になる。HCのシンプルな言葉の意味をしっかりと伝えるのも自分の役割。悩んでいる様子だったので、風呂に誘って、アドバイスした。長谷川がヒーローインタビューに呼ばれた時はうれしかった」
長谷川は「比江島、金丸の控えが自分の役割」と橋本に語ったところ、「それは違う。第2クォーターはお前のクォーターだ。そういう気持ちでしっかりやれ」と発破をかけられたという。鈴木HCが言う「僕の見えないところで選手同士が良いコミュニケーションを取っている」というチーム内でのスターターと控えという垣根を超えた関係が、より一層三河を強くする。
比江島、金丸という日本を代表する2大エースに加え、日替わりでヒーローが登場する三河。西地区独走の理由がここにある。
文=村上成
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