2017.05.31
5月3日に開催されたBリーグ第31節でサンロッカーズ渋谷は新潟アルビレックスBBと対戦。93-85でホーム最終戦を白星で飾り、今季のホームゲーム通算成績を16勝14敗とし、勝ち越しを決めた。
ティップオフ直後にアウトサイドからのシュートを立て続けに外し、リバウンドを奪われたところから続けざまに失点して0-6。新潟にペースを握られたかに思われた。しかしチーム初得点となったアキ・チェンバースの3ポイントを皮切りに、アイラ・ブラウンのダンク、広瀬健太の3ポイントが連続で決まり、一気に逆転する。その後もベンドラメ礼生や広瀬の積極的なドライブからパスアウトする形が効果的に機能し、18-13とSR渋谷ペースで最初の10分間を乗りきった。
互いに21点ずつ奪った第2クォーターを経て、試合が大きく動いたのは第3クォーター。リバウンド争いが大きく明暗を分ける形となった。両チームともにオンザコート1の時間帯で、新潟の4リバウンドに対しSR渋谷は12リバウンドを記録。ロバート・サクレはこのクォーターだけで13得点4リバウンドと、日本人選手のサイズで勝るSR渋谷がインサイドを制し、69-50と大量19点のリードを奪った。
第4クォーターは再びオンザコート2の状況で、クリント・チャップマン、ダバンテ・ガードナーの両外国籍選手を軸に攻めこまれる。3ポイントを中心に連続10ポイントを与えるなど一気に点差を縮められ、残り11秒で6点差まで詰め寄られる。しかし、第3クォーターまでの大量リードを覆されることなく、ファイナルスコア93-85でSR渋谷が逃げきり。レギュラーシーズン最後のホームゲームに詰めかけたファンへ勝利をプレゼントした。
前節の富山戦ではボールを効果的に動かすことができず、オフェンスが停滞したことが苦戦の要因になったが、この日は広瀬やベンドラメ、伊藤駿らがピック&ロールから積極的にリングにアタックし、パスアウトとの複数の選択肢を持つことで新潟のディフェンスを混乱に陥れた。
新潟の庄司和広ヘッドコーチが試合後「ペイント内でのイニシアチブが取れなかった」と語ったように、試合をとおして30リバウンドと、SR渋谷の44リバウンドを大きく下回ったことが敗因と言えるだろう。特にオンザコート1でブラウンとマッチアップした遥天翼が前回対戦時と同様、前半からファウルトラブルに見舞われたのが痛かった。
再終盤に新潟の猛反撃を受けてヒヤリとさせられたSR渋谷だっだが、立ちあがりにペースをつかみ、第3クォーターまでに大きくリードを奪ったことが最後にものをいう形となった。新潟に連続ポイントを許し、序盤から劣勢ムードも漂う中、スティールからブラウンへの好アシストと、直後に3ポイントを含む連続得点で流れを引き寄せた広瀬のプレーが試合を左右したとも言えるだろう。広瀬は序盤のプレーに関して、「シュートがなかなか入らず重たい展開になりかけていたが、チームとしてのディフェンスはしっかりできていた」と語り、「良い形から1本入れば楽になるかなと思っていた」と、スコアとしては難しい状況に見える展開でも焦りはなかったことを明かした。スティールからのファーストブレイクでの得点は、チームの緊張を解きほぐすには絶好のプレーだったはずだ。
B1のスティールランキングでトップを走る広瀬は、この試合でも2スティールを記録し、記念すべきBリーグスティール王の座をほぼ手中にした。「ここまできたら(スティール王は)意識しますね」と個人タイトルに意欲を見せつつも、「(自身の数字は)チームとして良いディフェンスができている結果」と、1試合平均2.0スティールという記録はあくまでチームディフェンスの副産物であることを強調した。
5月13日に幕を開けるチャンピオンシップに向けて、「今回のフォーマットは(短期決戦なので)下位で上がっていくチームにもチャンスはある。アップセットを起こせるようにエナジーを持って試合に臨みたい」と、“下剋上”での王座獲得を虎視眈々と狙っている。
現時点では「8番目のイス」でチャンピオンシップに出場するSR渋谷。Bリーグナンバーワンの“ディフェンスマシーン”が率いるチームは、バスケットボールファンを驚かせるような番狂わせを起こすことができるだろうか。
文=山口晋平
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