2017.12.18
「あのAJ(エアジョーダン)12を履いているのは誰?」。千葉ジェッツの試合を見て、疑問に感じた人も多いはず。それが今シーズン加入したトニー・ガフニーだ。AJ12といえば、1997年のNBAファイナルでマイケル・ジョーダンがインフルエンザにかかりながらプレーした時に着用していたモデルとして知られている。「もしかしてスニーカーフリーク?」「マイケル・ジョーダンを超リスペクトしている?」と想像したバスケットボールキング編集部は早速インタビューを申しこんだ。
インタビュー=入江美紀雄
写真=B.LEAGUE、Getty Images
――千葉ジェッツの印象を教えてください。
ガフニー(以下TG) 千葉ジェッツは様々なプレーができるチームだ。例えばオフェンスであったらハーフコートオフェンスもできるし、トランジションゲームも得意だし、ディフェンスに関してもハードに守るということがどういうことなのかを知っている。だからとても可能性があり、ケミストリーが確立できればさらに強くなるチームだと思っているよ。
――これまでいろんな国やリーグでプレーをしていますが、どこか記憶に残っている国やチームはありますか。
TG 間違いなく日本だと思うよ。まだ来日して日は短いけどね。まずリーグのレベルが相当高いし、チームも選手への気配りやマネージメントの面がとても素晴らしいと感じている。周囲からの期待がとても高いけど、それに応えるべくチームは「勝ちたい」という気持ちがとても強い。それも気に入ってる点だ。イスラエルでの2年間のプレーはとてもいい経験だったし、今でも好きな場所だけど、来日して2か月の間で、それに負けないくらい日本が素晴らしいと思っているんだ。ファミリーも気に入っているしね。自分としては日本の人々も、そして文化の面でも好印象だ。特に思うのは“ハッピーカルチャー”の持ち主であるということ。いつもみんな笑顔でいるし、対応もとても優しいね。
――現在はベンチからの出場になっていますが、それについてはどう思っていますか?
TG 3年前にイスラエルでプレーした時もベンチスタートだった。昨シーズンはドイツでプレーしたけど、その時は先発出場をしていたよ。今シーズン日本に来て、それまでとは違う(外国籍選手の出場制限など)Bリーグのルールでプレーしているから、それに慣れる必要はあるね。でもどちらの場合でも自分としてはノープロブレムだ。どんなレベルでも、どんなチームでも与えられた役割を全うし、全力でプレーすることを一番に心がけている。チームになじんでくれば、もっと違う役割が増えてくると思うので、その時々でいい働きができるように準備するだけさ。
――自分のストロングポイントは何ですか?
TG まず言いたいのはエナジーのこと。コート上であろうとオフコートであろうと、高いエナジーを持っていることは自分の強みの一つであると思っている。与えられた役割を受け入れることにも慣れている。さらにオールラウンドにプレーできることも言っておきたい。リバウンドはもちろんできるし、そのチームに足りないもの、例えば地元のプレーヤーと外国籍選手との架け橋になるような役割もできる。そして、熱意を持ってプレーすること、常にハードにプレーできることも誇りに感じている。ルーズボールに対してフロアに倒れ込むことも厭わないし、ハッスルできることが自身の勲章であると思っているんだ。
――ところでAJ12を履いてプレーしていますが、それは何か理由があるのですか?
TG 特に意味はないよ(笑)。以前履いていたブランドのバッシュが合わなかったので、今はこれを履いている。僕の足が特別に細くて大きいので、それにフィットするバッシュがこれなんだ。
――そうなんですね!? あなたはスニーカーフリークなのか、はたまたマイケル・ジョーダンのファンだと思っていました。
TG もちろんMJのファンだったけど、僕はボストン出身なのでラリー・バード(元ボストン・セルティックス)が子供のころのアイドルだった。バード以外ではアントワン・ウォーカー(元セルティックス他)も好きだったよ。あとコービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)やレイ・アレン(元セルティックス他)は一緒にプレーしたこともあるので、当然尊敬している。彼らからはプロフェッショルが何かを学んだね。そうそう、僕の父がNBAの大ファンだから、1990年代、2000年代の全てのプレーオフをビデオに撮っていた。今でも語り草になっているレジェンドのプレーとか記憶に残るシーンを、子供のころは何度も見返していたね。
――最後に今シーズンの目標を教えてください。
TG 来月に33歳になるんだけど、個人的なゴール(目標)というものは特にないというのが正直なところだ。どのチームでプレーをしても自分の持ってるものをすべて出し、勝つことや優勝することを最優先に考えている。加えて、チームのリーダーとしてチームがどうすればうまく機能するかを考えるのが重要で、そのためには何でもやるつもり。特別に目立つプレーヤーになる必要はないと思ってるし、クロックがゼロになった瞬間、チームが勝っていることが僕にとって一番大切なことなんだ。日本に来たのもそれが目的なので、今シーズンはあと2つタイトル(天皇杯、リーグ)が残っているのから全部勝つつもりでいるよ。
試合後、痛めた個所の治療を行っていたにもかかわらず、バスケットボールキングの取材に応えてくれたガフニー。チームの広報担当曰く、「そのような状況でも嫌な顔を見せずに『もちろん取材に応じるよ』って言ってくれました。本当にジェントルマンだし、プロ意識の強い選手だなと改めて思いました」とのこと。ガフニーがコート内外で見せるハッスルとフォア・ザ・チームのスピリッツは、リーグ初優勝を目指す千葉にとって重要なファクターとなるはずだ。
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