2018.02.21
ホームの横浜国際プールで迎える2月22日のチャイニーズ・タイペイ戦は、「FIBAバスケットボールワールドカップ2019 アジア地区1次予選」で最も重要な決戦となる。その決戦を前に、日本代表を率いるフリオ・ラマスヘッドコーチにお話を聞く機会を得た。ラマスHCにチャイニーズ・タイペイ戦に向けて準備していること、そしてアジアのバスケ、さらには自身のコーチキャリアのことなど、たっぷり語ってもらった。
取材・文=入江美紀雄
写真=山口剛生
――いよいよチャイニーズ・タイペイ戦を迎えます。現在、どのような準備を今されてますか?(2月8日取材)
フリオ・ラマスHC(以下ラマス) できるだけいい準備はしていると思います。残念ながらケガ人が多い中で練習の中でも結構選手不足してる部分もありますが。その何人かには試合初戦には間に合わない選手もいますが、これまで戦ってきたメンバーで戦えれば一番いいかなと思っています。もちろんそういう難しい壁は絶対今後も出てくるので、それを壁を乗り越えていかないといけない考えで、できるだけベストな準備をしてもちろん試合には勝ちたいという気持ちもあります。
――チャイニーズ・タイペイの印象はいかがですか?
ラマス 彼らはクインシー・デイビスがコートにいるときはすごくゲームがガラッと変わるチームで、ガードの周儀翔(ツォー・イーシアン)選手を中心にゲーム運びがされているという印象です。
――それはオフェンスに関してですか?
ラマス はい、オフェンスに関しての感想です。ただ2月22日の試合はインサイドでのプレイヤー、得点源が1人いて、ペリメーターにも得点源の選手がいる予定なので、我々のディフェンスはもっとレベルを上げないといけないという考えを持っています。広い視野を持ってカバーしないといけないと思います。
――公開練習の際、リバウンドについてとても強調されてましたけど、リバウンドは勝利のためには欠かせないファクターですか?
ラマス そうですね。勝利につなげるためにはとても必要な部分です。リバウンドが向上できれば勝利に一歩近づけると思っています。
――常につきまとう課題ではあるのですが。
ラマス これを変えるためにはためには選択は2つあって、その1つが身体能力の考えで、身長のもっと高い選手たちを招集することです。その点では渡邊(雄太/ジョージワシントン大学)選手や八村(塁/ゴンザガ大学)選手、ヒュー・ホグランド選手(渡辺飛勇/ポートランド大学)が、高い身体能力を持ってますので、ゆくゆくは改善されるのではないかと思います。もう1つの選択としてはチーム全体が取り組んで、その課題を克服することです。そのためには、全員が一人ひとりが協力して取り組まなければいけないでしょう。
――コーチが指導してきたアルゼンチンもサイズのある選手がいなかったわけですが、それに関してはどう思われますか?
ラマス 一般人の平均身長で考えたらアルゼンチンと日本人っていうのは全然そんなに違いはないんですよね。ただしアルゼンチンでは身長の高い選手で集中してバスケに召集しました。日本ではその状況がちょっと違う印象です。そう考えるとアルゼンチン人選手にはインサイドのプレー、元代表で何人かいましたけど、ユーロリーグやNBAを経験している選手が多かったんですよね。2メートル7あったとしてもNBAでトップでプレー長くした選手たちは、身長だけじゃなくてフィジカルでの強さとプレーの質の高さそこの違いがありますね。
――ルイス・スコラ(元ヒューストン・ロケッツほか)は典型的な選手ですか?
ラマス オベルト(ファブリシオ/元サンアントニオ・スパーズほか)もそうですね。
――話を戻しますが、チャイニーズ・タイペイ戦では日本のキーマンは誰だと思いますか?
ラマス キーは選手ではなく、我々のディフェンスだと思います。さらにリバウンドと我々のチームプレーです。オフェンスではスペーシングの精度を高く保っていいシュートチャンスを作り、いい得点のチャンスを作れるようにシュートをクリエイトすることが武器になるのではないでしょうか。そして、チーム全体が同じ共有した考えを持って勝利に繋げるプレーをしてもらないといけないと思っています。
――チームで勝つということですか?
ラマス そうです。
――今アジアの予選を戦っていますが、アジアのバスケットをどのように見られていますか? そしてどのような印象を持たれていますか?
ラマス オセアニアが組み込まれた新しいアジアのバスケットボールのフォーマットを考えたら、オーストラリアはもう完全にトップ、他の国と比べたらもう飛び抜けています。その時の状況にもよりますが、その下に中国、イラン、ニュージーランドですね。ニュージーランドも新しいトピックになっていると言えます。そして、韓国が近くにいる存在でしょうか。さらに、その下に色々なチームがいますが、そこに日本が入っているのではないかと思います。私の思いとしては日本代表を仕切っている間に、中国がいるレベルまで上げることを目標としています。
――Bリーグの試合もかなり積極的に足を運ばれていますが、何を見られていますか? 新しい選手の発掘ですか? 代表選手のチェックもされていますか?
ラマス それら全部を見ていますが、日本のバスケットボールのディテールを知り尽くすために見ているというのが一番ですね。
――各チームの印象はいかがですか?
ラマス まだ全チームを見ていないので、見た中では強豪と名乗れるチームというと、アルバルク東京、川崎ブレイブサンダース、千葉ジェッツです。これらは、チームとして完成されており、完璧に近いチームだと思います。他のチームと比較すると、ベンチメンバーとローテーションしてもチームとしてのプレーレベルが低下しません。
――長年コーチをされていますが、これまで一番印象に残っている試合、大会はありますか?
ラマス アルゼンチン代表を率いて、大陸のチャンピオンになった2011年のアメリカ選手権をあげることができます。クラブでも多くのタイトルを獲得しましたが、それぞれいい思い出となっています。しかし、これらはもう過去のことです。自分は新しいことに飛び込むことが大好きで、いつも前を向いて歩いているつもりです。今考えていることは日本代表と一緒にオリンピックに出場することのみです。それだけに集中して考えています。それを達成するためにどうやったらいいのかを考えていますね。
――これまでのコーチの人生の中で様々なミッションがあったと思うのですが、それを成し遂げるためには何が必要だと思いますか? 例えば環境整備だったりとか、選手のモチベーションをどうやって上げていくかなど、いくつかあると思うのですが。
ラマス ファクターで考えたらいっぱいあります。もちろん目標を明確に一つ持っていること、アンビシャスを持って行うこと。実現可能な範囲で行うことも大切です。そのためにはプランが必要ですし、それだけの時間も必要ですね。あとは選手の能力アップです。今やってることは、持っているすべてのタレントをすべて使って、できるだけオプションの幅を広げることに取り組んでいます。
――最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
ラマス いつも応援ありがとうございます。私をはじめ、選手たちも2月22日のチャイニーズ・タイペイ戦がどれだけ大切な試合なのかわかっているつもりです。コートに魂を置いてくるつもりで戦います。応援、よろしくお願いします。
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