2018.10.19

絶対的司令塔、田臥勇太がチームの好調を実感「みんなでまとまって成長していきたい」

チームは5連勝を飾り、田臥自身はここまで1試合平均8.6得点をマーク [写真]=B.LEAGUE
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 3シーズン目のBリーグが新たにトライを始めた水曜日の開催ゲーム数増加。B1で今季初の水曜日開催となった10月17日、アルバルク東京はホーム、アリーナ立川立飛に栃木ブレックスを迎えた。この日、詰めかけたファンはほぼ満員となる2780名。栃木からの熱心なファンが立川まで足を運び、A東京の赤色、栃木の黄色のクラブカラーが観客席を彩った。

 開幕からともに4連勝中と好調を維持するチーム同士の対戦だけに、リードのチェンジが13回を数えるほどの一進一退のゲーム展開となる。A東京は第4クォーター残り2秒で得た馬場雄大のフリースローを決めきれず、延長戦に突入。ここで渡邉裕規がビッグショットを2本決めるなどして粘るA東京を振り切り栃木が勝利。連勝を維持した。

 栃木の勝因として考えられるのが最後までプレーの強度を落とさなかったこと、特にディフェンスやリバウンドの面では控えメンバーが奮闘したことが大きかった。試合後の記者会見で安齋竜三ヘッドコーチは、「今は誰が出ても同じプレーができている。一人ひとりが期待するプレーを遂行してくれた」と、その働きを評価した。

 昨シーズンの栃木はシーズンの出だしで苦しんだ。島根スサノオマジックに勝ち星を献上したり、千葉ジェッツやA東京に連敗を喫するなど、なかなか波に乗れなかったと言えるだろう。それに対して今シーズンはここまで無傷の5連勝を果たしている。これについて、田臥勇太はチームの現状をどのように見ているのだろうか。

「いかにボールと人が動いて、インサイド、アウトサイドとバランスよく攻められるか。トランジションゲームなのかハーフコートでコントロールするかなど、アクセントをつけることを常に意識してゲームをコントロールしています。これはチームの共通理解が大切。まずはディフェンスを頑張ることから始めて、オフェンスとのバランスもいいと言えるでしょう。今後もこれを積み上げていきたいと思っています」

開幕5連勝で東地区首位に立つ栃木 [写真]=B.LEAGUE

 連勝に浮かれることなく、冷静にチーム状況を把握して、これをどう今後に生かしていくか。いかにも田臥らしいコメントが返ってきた。

 今シーズン、ここまでの田臥は1試合平均8.6得点というスタッツを残している。10月13日の富山グラウジーズ戦では15得点をたたき出すなど、2016-17シーズンが平均3.8得点、2017-18シーズンが平均2.0得点だったことを考えれば、積極的にシュートを打っているとも分析することができる。

 これに関して質問が及びと、「いやいや」とやんわり否定。得点をあげられている理由を、「チームが連携して攻めることでズレができ、スペースが空きます。スクリーンを使って攻める時でもその連携ができているのでしっかりと崩せている。自分としてはパスなのかシュートなのか、バランスを考えながら選択していますが、チームオフェンスがうまくいっているから」と、あくまでも個人ではなくチームとしてプレーしている結果であると見ているようだ。

「それぞれが持ち味を出して、みんなでチームを作っていきたい。今シーズンは細かい部分にもこだわってプレーしているので、それが結果に結びついていると思います。もちろんこれはポジティブにとらえて1つでも多く勝ちたいのですが、仮に負けたとしても収穫はあるものです。シーズン中には調子のアップダウンがあると思いますは、チーム全員でまとまって成長したいと思います」

 昨シーズン、3ポイントのタイトルを取った喜多川修平はケガのため長期離脱を余儀なくされているが、川崎ブレイブサンダースから栗原貴宏を獲得、そして主力メンバーも大きな変動がなかっただけに、昨シーズンからのチーム力の積み上げが確実に見られる。さらにライアン・ロシタージェフ・ギブスの外国籍選手が好調を維持。加えて、鵤誠司山崎稜橋本晃佑らベンチメンバーの成長も好材料だ。

 そしてこれを絶対的な司令塔、田臥がチームで戦うスタイルを推し進める。昨シーズンのBリーグ王者A東京という強豪チームとの対戦から、今シーズンの栃木の強さを浮かび上がってきた。田臥が言うように調子のいい時ばかりではないが、それをチームで乗り切ることで、チームはより一層成長を遂げる。今シーズンの栃木、例年以上に要注意だ。

文=入江美紀雄

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