2019.01.27

栃木ブレックスが川崎ブレイブサンダースを連破、40分間継続されたチームDFで最後に突き放す

要所での3ポイントが光った渡邉裕規[写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 1月26日、ブレックスアリーナ宇都宮で行われた、地区2位同士の激突。栃木ブレックスと川崎ブレイブサンダースの対戦は激しいディフェンスでの我慢比べとなった。この日は日本代表のフリオ・ラマスヘッドコーチが視察に訪れ、立ち見席のみが当日販売になるなど非常に注目が集まった一戦となった。

 前日もラスト3分で勝負が決まるという展開。この日もその流れが継続された形でスタートしていく。第1クォーターがまるで野球の試合が展開されているかのようなスコアで時間が進んでいき、残り4分で4-3というスコア。そこから比江島慎の連続スコアがあるも最終的には11-5となってアリーナ全体が重い雰囲気に包まれた。第2クォーターも少しはゲームは動くが、両チームともにシュート成功率が25パーセント以下という互いのディフェンスが機能してロースコアの展開が継続。27-24の栃木リードでハーフタイムに突入。

 第3クォーターになっても流れは変わらずにゲームが進み、なかなかお互いがイニシアティブを握れない一進一退の攻防が継続。流れが一気に変わったのが第4クォーターのオフィシャルタイムアウト明けであった。渡邉裕規の3ポイントシュートを皮切りに、この日20得点と大活躍をした遠藤祐亮の連続スコアで7-0のランニングスコアで栃木が川崎を突き放すと、最後は比江島慎が華麗なステップで相手ディフェンスを切り裂いてレイアップで得点を重ねる。ディフェンスでは相手のピックアンドロールに対してアグレッシブにプレッシャーを掛けて思うようなオフェンスをさせず、しっかりと守りきって勝負を制する形となった。68-57というスコアで栃木が川崎を振りきって3連勝を収めた。

チームトップの20得点を挙げた遠藤[写真]=鳴神富一

 試合後の記者会見、両チームのHCの表情は極端に違っていた。敗戦を喫した川崎の北卓也HCは非常にサバサバした表情で「悔しいですけど、完敗です。栃木さんが素晴らしいゲームを展開していました。第4クォーターまではいい展開でゲームができるけど、最後で突き放されてしまう感じでした。栃木さんも勝負所を分かっていて、ここでディフェンスのスイッチを入れれば自分たちの流れに持ってこれると分かっていて、その状況で自分たちが慌ててミスをして相手に走られてしまう所が続いています。この敗戦をみんながどう感じて、どのように活かしていくのかが一番大事だと思います。1対1で打開できる選手もいなく、ピックアンドロールでズレを作れず潰されてしまう。バーノン・マクリン選手だけが1対1で得点を取れていて、この得点のバランスだとちょっと勝つことは難しいなと思いました」と相手ディフェンスに対して完敗だったと振り返った。

栃木はこの勝利で連勝を「3」に伸ばした[写真]=鳴神富一

 一方、勝利した栃木の安斎竜三HCは、非常に満足した表情で会見でコメントを残した。「出だしお互いに点数が入らなくて重い展開になりましたけど、40分間ディフェンス面でゲームプランを全員が遂行してゲームを作ることができました。勝因はディフェンスの部分かなと思います。昨日のゲームの修正でディフェンスが機能しなかった部分を選手たちに守り方を決めてもらって、彼らが40分間遂行してくれたので自分たちで決めたことをやり抜くという力がついてきています。次もタフな連戦なのでそこまでしっかりと継続できるように準備していきたいと思います」

 なんとコーチ陣が用意したディフェンスプランを選手たちが選んでゲームに臨むという、珍しいスタイルで勝ちきったエピソードを語ってくれた。「実はたまに選ばせることはあるんです。昨日最後の方はピックアンドロールの部分で崩されて相手にやられてしまったので、そこの所を一番どうにかして止めなくてはいけませんでした。少しアグレッシブな守り方に変えて、それを選手たちがゲーム中に継続して遂行してくれました」と、選手たちの想いを尊重してチーム全員で勝利を収めた結果となった。

 いいディフェンスはいいオフェンスを生む、バスケットボールでは基本的なセオリーである。栃木の強さは強固なチームディフェンス、チームの信念が表現されたゲームだった。そして、ここからの激しい戦いの中で必要であるチームが1つになって戦うことを証明させる一戦にもなった。この一枚岩の状態を継続させることが再びのチャンピオン獲得への近道に違いない。

写真・文=鳴神富一

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