2019.01.27

橋本竜馬、古巣との対戦でつかんだ手応えと課題…「自分にとって新しい日が幕開けした」

橋本は2011-12シーズンから昨季まで三河でプレー[写真]=B.LEAGUE
ライター・カメラマン

 1月26日、琉球ゴールデンキングスは敵地でのシーホース三河戦で77-73と熱戦を制した。『ENERGY』と銘打たれた両軍の今季初顔合わせ。誰よりもエナジー溢れるプレーを見せたのは、やはりこの男だった。

「おかえりなさい。橋本竜馬選手」とコートアナウンサーが呼びこむと、満員のウィングアリーナ刈谷が大歓声に包まれた。橋本は満面の笑顔でピョンピョンと跳ねるようにコートに走り入ると、360度見渡して丁寧に手を振って応えた。

「選手冥利に尽きますね。本当に良いところでバスケットをさせてもらっていたんだなと感じました。去年の三河の『0』のユニフォームやTシャツを持っている方が多くいて、琉球のファンの方と混在している感じもうれしかった。まだ懐かしむほど時が経っていないので『ああだったな』、『こうだったな』と一つひとつ思い出していました」と微笑んだ橋本の目はかすかに潤んでいるように見えた。

 西地区首位を独走する琉球だが、得点源のジョシュ・スコットが負傷で戦列を離れて以降、思うように勝ち星が伸ばせていない。前節の滋賀戦ではシュートの精度が上がらず55-65で敗れた。「ジョシュ・スコット選手などがケガをして、チームとしても苦しい時期なので、何か掴みたいという気持ちで今日の試合に入りました」。対する三河は勝率5割ラインを行ったり来たりが続き、現在中地区4位。ワイルドカード争いでもアルバルク東京富山グラウジーズに次いで3位と一試合も落とせない状況が続く。

 お互いの勝ちたい気持ちがぶつかり合った一戦は、ホームの三河が桜木ジェイアールを起点に、古川孝敏のハードなディフェンスをかいくぐって金丸晃輔が得点を重ねて好スタートを切ったが、琉球は並里成のドライブやピック&ロールからのジャンプシュートで8-10と逆転。第1クォーター残り4分14秒、白いユニフォームを纏った橋本は大きな拍手に迎えられてコートに立つと、早速代名詞である闘志満々の激しいプレーを披露。さらにタイムアウト明けの確実に得点を取りたいポゼッションで、3ポイントシュートを確実に沈めてリードを奪った。

この試合では約21分間のプレータイムを得た[写真]=B.LEAGUE

 第2クォーターも、三河ペースで進む中でコートに立つと、狩俣昌也へボールを出させないタフな守備でバックコートバイオレーションを誘発して試合の流れを変える。終盤にはゴール下への絶妙なパスでジェフ・エアーズの得点を演出し、要所を締めてチームの勝利に貢献した。

「選手としてはスタッツが伸びているわけではないし、プレータイムも三河にいた時の方が長かった。でも今はチームとして難しい時間帯をどうより良くするのかをすごく考えていて、今日も攻撃のニュアンスを少し変えることによって逆転して前半を終えられた。チームとしてどうしていくのか、その中での自分の役割はどうなのかを考えさせられる試合だった。本当に勝ててよかったし、ダメな部分も手応えも掴めました。自分にとって新しい日が幕開けしたなという感じです」

それぞれの場所で切磋琢磨する「永遠のライバル」

 7年所属した古巣・三河は、橋本の目にどう映ったのだろうか。「強さや巧さ自体は変わっていない。攻撃に破壊力があるし、試合の流れを読むことができる。僕たちがしんどい時間帯、例えば外国籍選手がファウルトラブルになった時にそこを攻めてくるところなどは、勝ち慣れてるチームだなと感じました。でもその中で少しバランスが悪かったり、みんなの共通意識がズレた時間帯もあって、今日はそこを僕たちがうまく突くことができました」。チームの共通意識にズレが生じたとき、昨季まで修正する役割を担ってきたのは橋本だった。「それは僕の大事な仕事だったのかなと思います。今の三河はそれを誰が担うのかを模索している状態なのかなと想像します」。

 福岡大学附属大濠高校時代のチームメートであり、お互いに「永遠のライバル」と認めあう橋本と金丸。第3クォーターでフリースロー成功確率92.6パーセントを誇る金丸が珍しく1本目のフリースローを外すと、2投目に向けて気持ちを整える金丸の目の前を手を叩きながら横切りプレッシャーをかけた。これには金丸も思わず苦笑い、緊迫したアリーナの空気が和らぎ、2人にしか分からない不思議な時間が流れた。

「永遠のライバル」と認めあう橋本と金丸[写真]=B.LEAGUE

「逆に外すところを見られると思っていなかったので、どうしたのかなと(笑)。フリースローを決めてこそ金丸なので、決めてくれなきゃ困るよと気合いを入れにいった」のだという。「今日もシュートがすごく入って、改めて良い選手だなと思いました。でもまだまだあんなもんじゃないし、明日はもっと手ごわい感じなると思う。今日は40分間古川選手などがしっかりがんばってくれたので、間違いなくボディーブローのように効いている。もう40分間、日本を代表するトップスコアラーにどうやって立ち向かっていくのかを今日一日みんなで考えて、明日も勝ちにいきたいなと思います」とライバルを讃え、ゲーム2に向けて気持ちを引き締めた。

 琉球がハードなディフェンスで三河の攻撃を封じるのか、ホームの後押しを受けて金丸が大爆発を見せるのか。第2戦も今日以上にエナジーがぶつかり合う試合となりそうだ。

文=山田智子

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