2019.03.05

ビハインドを跳ね返した新潟アルビレックスBB、延長戦の末に勝利し中地区首位堅守

新潟はホームで名古屋Dを連破し、6連勝達成[写真]=鳴神富一
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 長岡駅から直結という非常にアクセスがいいシティホールプラザアオーレ長岡で行われた新潟アルビレックスBBvs名古屋ダイヤモンドドルフィンズのB1リーグ第25節第2戦は、この日も4168名のファン・ブースターが集結して満員御礼状態。アリーナがオレンジ一色になったゲームは、ホームの新潟が前半苦しんでビハインドを背負うも、徐々に大きくなるホームの歓声に応えてオーバータイムでの激戦を制した。

 ゲーム序盤は一進一退の攻防が繰り広げられたが、第1クォーター残り5分を切ってすぐにヒルトン・アームストロングが2つ目の反則を犯してベンチに下がり、名古屋Dにとっては非常にピンチとなった。しかしケガの功名という言葉が正しいのか分からないが、このピンチがチームの流れを変えたといってもいい。ディフェンスを2-3のゾーンに変更し、激しく足を使って相手のボールムーブを止めていく。その効果は第2クォーターに一気に現れた。新潟のインサイドの強さを完璧に抑え、アウトサイドにもいいパスを供給させずにゲームの主導権をディフェンスからつかんでいく。その流れの良さはオフェンスにも影響をもたらし、持ち味でもある3ポイントシュートや果敢なドライブからのスコアメイクでリードを広げていく。

 その中でも大活躍を見せたのが日本代表から帰ってきた張本天傑、代表戦でも見せた華麗な3ポイントなどで前半だけで13得点を挙げてチームをけん引。ディフェンスでも相手の外国籍選手をフィジカルで自由にプレーさせない。彼の活躍も名古屋Dにいい流れをもたらしたと言ってもいい。前半のスタッツを見ると名古屋の3ポイントシュート成功率が53.3パーセント、一方の新潟はフリースローの数がチームで0本。対照的な前半となり、37-50で名古屋Dがリードした。

張本はこの試合で計18得点をマークした[写真]=鳴神富一

 後半に入っても二ケタの点差はなかなか縮まらずに時間は進んでいったが、徐々にハーフタイムで気持ちを入れ替えた新潟が流れをつかんでいく。劇的に流れを変えたのはベテランシューターの池田雄一であった。第4クォーター残り6分弱に五十嵐圭からのパスを受けて豪快に沈めた3ポイントシュート、ホームに詰めかけたファン・ブースターのトーンがこのプレーで一気に上がった。このアリーナの雰囲気に新潟は、より攻守両面の強さを発揮していく。とくに前半やられていたアウトサイドシュートを完璧に抑えると、攻撃ではしっかりと強みのインサイドにボールを預けてリズムを取り戻す。エースであるダバンテ・ガードナーのパワフルなペイントエリアでのプレーが次々と飛びだし、ゲームをひっくり返す。それでも同点で迎えた名古屋Dのボールで再開したラストプレー、安藤周人が放った3ポイントシュートが外れて中東泰斗がリフレクションをブザーと当時にリングへ沈めたに思えたが、ビデオリプレイでノーカウント。86-86のスコアでオーバータイムに突入した。

 オーバータイムも一進一退の攻防で手に汗握る展開でゲームは進んでいく。新潟のファン・ブースターの歓声はアリーナに地響きのように響き渡り、選手たちは彼らからの声のパワーを受け取って我慢をしながらリードを保った形でゲームを展開。残り1分41、ルーズボールを拾って放った五十嵐のロング3ポイントシュートがリングを射抜き、これが勝負の大きな分かれ目となった。名古屋Dも最後の最後まで食い下がったが、オフェンスでスコアを取れずにファウルゲームに。最終的にはフリースローをしっかりと沈めた新潟が逃げきる形となり、106-100で試合終了。ホームの新潟が勝利を収めて、今季レギュラシーズン勝ち越しを決める31勝目を挙げた。

20得点に加え10リバウンドの活躍を見せたラモント・ハミルトン[写真]=鳴神富一

 試合後、敗戦を喫した名古屋Dの梶山信吾ヘッドコーチは「昨日やっていた事は間違っていなかったので反省点を踏まえてもう1回徹底してプレーしようということと、自分たちのアドバンテージをしっかり表現しようということを伝えました。スピードだったりトランジションの速さだったりという強みは前半出せていたと思います。ヒルトンがファルトラブルでベンチに下がっても開き直ってプレーできましたし、ゾーンディフェンスも機能しました。しかしファウルトラブルもあって後半にディフェンスのトーンが少し落ちてしまったのが最大の敗因だと思います」と試合を総括。それでも、「選手たちは45分間最後まで懸命にプレーしていました。今日できたことを残りのゲーム全部やっていきたいと思いますし、継続させて戦っていきたいと思います。責任は全て自分にあると感じています。それとたくさんのファン・ブースターがアウエーの地にもたくさん来てくださり、本当に感謝しています」と自身の責任の念を悔しい表情で語っていた。

 一方、中地区首位をキープした新潟の庄司和広HCも、勝って兜の緒を締めよという印象のコメントを残した。

「まず今日もたくさんのファン・ブースターが来てくれて、その力で後半ステップアップできたと思っています。感謝しています。第2クォーターに相手がゾーンディフェンスをしてきた時の攻撃でのエクスキューション(遂行力)が足りなく、さらにはオフェンスがうまく行かない時にディフェンスに流れの悪さを引きずってしまったために簡単にやられてしまったのはあったと思います。第3クォーターはチームルールに則ってうまくディフェンスができたと思います。ただし、リバウンドに対する意識の悪さとドライブに対してしっかりと守れなかったこと、そして名古屋さんの確率の高い3ポイントシュートへのディフェンスの寄りの甘さに関してはこれからの課題だと思っています。この部分はさらに練習を積み重ねていかないといけないと思っています。ゲームを終えてみたら3ポイントの確率が名古屋さんと同じくらいだったので力をしっかりと持っているというのを改めて感じられました。ゲームをとおしていいことばかりではないというのを選手たちには伝えているのですが、この第2クォーターの20点のビハインドは非常に重く受け止めています。来週の試合に向けて課題を持ちながら練習していきたいと思います」

 両チームともにチャンピオンシップ進出へ向けた負けられない終盤戦がスタートした、。とくに新潟は初の進出も懸かっている。チャンスをものにするために、一つひとつのプレーをしっかりと遂行することが大切だ。

写真・文=鳴神富一

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