2019.03.06

竹内公輔が語ったチャンピオンへの思いと待ち構える世界との戦い

三遠戦ではチーム最多の15得点を獲得した竹内[写真]=鳴神富一
スポーツジャーナリスト

 アウェイでの厳しい戦いを至上命題でもあった2連勝で「FIBAバスケットボール ワールドカップ2019」の出場権を手に入れた男子日本代表。2006年日本で行われた世界選手権以来、13年ぶりに世界への舞台に足を踏み入れることになった。その自力でのフル代表としての世界大会出場は21年ぶりと四半世紀弱、日本の男子バスケは世界から遠のいてしまっていたが、再び世界とのガチンコ対決ができる権利を得たのである。帰国後間もなく再開されたB1リーグの舞台で凱旋帰国をした選手たち、数日経った心境や終盤戦を迎えたリーグ終盤戦への意気込みなど様々なことをうかがうため、アリーナに向かった。

 長らく日本代表のインサイドを支えてきた竹内ツインズの兄、栃木ブレックス竹内公輔。近年は膝のケガなどで代表から離れていたが、今シーズンは見事にカムバックを果たして復帰。予選最終戦のカタール戦では栃木の時と同じ動きで勝利に貢献。そして、3月2日の三遠ネオフェニック戦ではよりアグレッシブな姿に進化を遂げてチーム最多の15得点に加えて、豪快なボーズハンドダンクを決めるなどアリーナを大いに沸かせたのであった。

「特に別段なくて、代表チームとして短い期間の間で準備してきたことがあったのでそれをしっかりと遂行すること。そして点差が離れていたんですけど、その部分はあまり気にしないでプレーしようというのはありました。たくさんの人が応援してくれていたのでワールドカップ出場に関しては達成することができて良かったです。それと同時にアジアは世界の中でも一番レベルが低い地域で、まだまだ世界との差は正直あると僕は思っていて。最悪ワールドカップまで6カ月の期間があるのでしっかりと各々が各チームで成長して、また代表に集まれたらいいなと思います」とカタール戦の振り返り、そしてワールドカップ出場を決めた心境を率直に語ってくれた。

 そして、非常にアグレッシブになったプレー面に関してうかがうと意外な答えが返ってきたのである。「なぜかわからないんですけど、海外の食事が自分にあまり合わなくて体重が落ちて。それのせいかわからないですけど、身体が軽くなった感じがして。パワーの部分では前より劣る分はあるかもしれないですけど、身体がいい感じで軽くなったのはあるかなと思いますね」

 今シーズンはリーグ戦に加えて代表活動と非常にタフなスケジュールを過ごしている。その中で彼自身、膝や肘のケガなどもあって難しいコンディションの中で戦っているが、現時点でその体の状態はどんどん良くなってきている。「やっと終わったという意味でメンタル面ではスッキリとしていて、それは自分の中でプラスになっていると思っています。コーチもしっかりとオフをくれて、この後は水曜日のゲームもないので少し休めますしね。それと肘もそうですけど、特に膝は本当に良くなってきています。だいぶ痛いと感じる部分が無くなってきていて、それがメンタル面もプレー面でもいい方向に向かっている状況です。久しぶりにこんなに痛い状況ではない形でプレーできているので、すごく気分がいいですね」と笑顔でコメントしてくれた。

王者奪還に向け意気込みを語った竹内[写真]=鳴神富一

 ここからは栃木に戻ってきて“王者奪還”というテーマが待ち構えている。昨シーズンの状況とは違い、現状好調なチーム状態なのは間違いない。その理由を問うと「昨シーズンからほぼ一緒のメンバーでプレーできているのというのは違っていて、その状態で開幕からいい状態でシーズンに入れたのが大きいかなと。それと個人的に感じるのはライアン・ロシターが非常にアグレッシブにチームを引っ張ってくれていているのと、さらに個の能力で打開できる比江島慎が来てくれてチームのオプションが増えたというのもあります。色々と昨シーズンから比べたら充実しているとは思います」とチームとしてのベースを保ちながらも、比江島という新たな武器を手に入れたということを語ってくれた。

「もうワールドカップのことは今は全く考えていないですし、まだ東地区は千葉(ジェッツ)が自分たちの上にいますので。千葉が負けていないから自分たちも負けられないという、いいライバル関係持っていますし。なんとか最後に笑えるようにみんなでがんばっていきたいです。このチームでもう1回チャンピオンになりたいというのがすごく強くて。代表のことまで考えたら少し疲れてしまうので、今はチームのことだけを考えていきながら、まずはチャンピオンシップまではリラックスしながらプレーをしていきたいと思います」と最後に締めくくってくれた竹内。

 世界との差を詰めるために、そして再びあの輝かしい頂点に輝くために。心身ともに充実し始めた竹内公輔が今後より輝きを見せることは間違いないであろう。

写真・文=鳴神富一

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