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トヨタ紡織サンシャインラビッツ期待の若手・平下結貴…3年目の今季はPGに挑戦中

フリーライター

 第1戦は4本中4本を成功、第2戦では5本中3本を成功。トヨタ紡織サンシャインラビッツ平下結貴は高確率で3ポイントシュートを沈めていった。

 トヨタ紡織は、10月12、13日と日立ハイテククーガーズを相手に「大樹生命Wリーグ 2024-25 シーズン」の開幕戦を本拠地の愛知県刈谷市で迎えた。この2試合でいずれも途中出場した平下は、1戦目が14得点、2戦目は17得点と2ケタ得点をマーク。開幕2連勝に大きく貢献した。

「自分の得意としている3ポイントシュートを決め切れているというのはよかったかなと思います」

 2試合を通して自身の出来を振り返った平下は、今シーズンが3年目となる21歳。愛知県出身で同県にある高校バスケット界の名門・桜花学園高校在籍時にはインターハイ、ウインターカップと幾多の全国優勝を経験した。そして高校卒業後にトヨタ紡織へ入団。しかし、昨シーズンまでの2シーズンは「プレータイムが少なかったというのもあるし、自分のプレーを出し切れていなかった」と、苦しんだ。

 思うようにいかず心が折れそうになったときもあったというが、そんなときに支えとなったのが先輩たちで、「練習のときからすごく先輩方に助けてもらって。スタッフ陣からもたくさん声かけてもらいました」と、振り返る。だからこそ「その恩を返せるようにということはずっと思っていて、その中で自分ができることを精一杯やろうと考えながら、今やってます」と、思いを語った。

 開幕の2試合で平下の出場時間は合計49分。昨シーズンのレギュラーシーズンでの出場時間は107分(15試合出場)のため、その約半分を2試合で到達したことになる。

チャンスと見れば得意の3ポイントが火を吹くことになる [写真]=Wリーグ


 また、平下にとって大きな変化は今シーズンからポイントガードを務めていること。「自分の中でもパスは好きなのですが、(ルーカス・モンデーロヘッドコーチにも)そこを見てもらったと思います」と、平下。どちらかというと高校時代からシューターとしての役割を担っていた平下にとっては大きな挑戦だが、「グッドパッサーであることも要求されているので、パスするところと自分が空いていれば打つことを意識しながらやってます」と、得意とする外角シュートは武器として継続しながらも、新しいポジションでのレベルアップを図っているところだ。

 もちろん、司令塔への挑戦に不安がないわけではない。だが、こんなときも先輩たちが平下をサポートしているようで、中でも「(北村)悠貴さんはメンタル面でもアドバイスをくれるし、トレーニングのペアが一緒なので話す機会も多く、そこでたくさん聞けるので先輩に助けてもらいながらやっています」と、キャリア豊富な司令塔の存在を挙げた。

 平下には、2つ上の姉・愛佳(トヨタ自動車アンテロープス)がおり、愛佳もまた桜花学園ではエースとして全国制覇をけん引。トヨタ自動車入団後も「FIBA女子ワールドカップ」(2022年)に当時チーム最年少の20歳で出場するなど日本代表候補にも名を連ねる女子バスケット界期待の選手だ。妹の結貴もその姉と比較されることはあるが、「高校のときから結構そういうことはありましたが、最近は悔しいとか、そういうことはあまり思わないです」という。それこそ、「戦ったら絶対に負けないとは思っていますが、姉が頑張っているのは、それはそれで応援しているし、姉は姉、自分は自分です」と、昔から仲の良い姉は互いに刺激し合う存在となっている。

 トヨタ紡織はモンデーロHC体制となって2シーズン目。「昨シーズンより理解度は深まっていて、体で表現することも段々とできるようになってるのかなと思います」と、平下は言う。

 話す口調はどちらかといえばゆっくりしているが、一度コートに立てば、しっかりと身につけたファンダメンタルをもとに忠実にプレーを遂行し、状況判断にも優れる平下。

「ディフェンスはずっと課題としているので、そこは練習からもっと激しくやっていかないといけなとこの2試合で感じました」

 今シーズン、飛躍の予感が漂うシューティングガードは、自らの課題を挙げ、次なる戦いに向けて気持ちを新たにしていた。

文=田島早苗

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