4時間前

開幕2連戦で2ケタ得点のデンソー・梅木千夏…「自分が攻めるタイミングのときはしっかり点を取る」

デンソーの梅木は「自分の仕事を一生懸命やろうという気持ちで2日間臨みました」と開幕2試合を振り返った [写真]=Wリーグ
フリーライター

■開幕2連戦で結果を残したシューティングガード

「まずは自分のことよりもチームのルールであるディフェンスとリバウンド。そこは誰が出てもやらないといけないことなので、私自身も試合に出るからにはやらないといけないと思ってそこに集中していました。それと、空いたらシュートを打つこと。もしシュートを打てなかったらドライブで点を取りに行くといったシンプルなことを目標に試合に臨みました」

 トヨタ自動車アンテロープスからデンソーアイリスに移籍して1年目、シューティングガードの梅木千夏は「大樹生命Wリーグ 2024-25 シーズン」の開幕2連戦で大きなインパクトを残した。

「トヨタでもデンソーでも、私自身は気持ちの面もやることも変えているつもりはなくて、トヨタのときから試合に出たら自分の仕事をしようと思ってコートに入っています」

 こう語る梅木は、開幕戦となったシャンソン化粧品シャンソンVマジックとの第1戦、シックスマンとしてコートに立つと、前半はドライブから得点。一進一退の展開となった第3クォーターでも3ポイントシュートを沈め、第4クォーターには連続で3ポイントシュートを決めて、一気に流れを引き寄せる働きを見せた。

 これで完全に主導権を握ったチームは72-59で白星スタート。梅木は3ポイントシュート3本を含む14得点と木村亜美とともにチーム最多得点をマークした。翌日のシャンソンとの第2戦でも梅木は11得点と気を吐き、勝利に貢献。開幕2連勝の立役者となった。

 指揮を執るヴラディミール・ヴクサノヴィッチヘッドコーチからは「シューターとして3ポイントシュートは迷わず打って、入らなくても打ち続けてほしい。ただ、それ以外にもドライブやジャンプシュートなどでも点を取れるようになってほしいと言われています」という梅木。

 実際、2試合を通して求められていることを体現できた手応えもあるようで、「トヨタのときよりボール持つ回数は増えています。デンソーは高田真希さん、馬瓜エブリンさん、赤穂ひまわりさん、木村亜美さん、川井麻衣さんと、全員が点を取れるので、私ができなくてもみんながやってくれるというのがあります。ただ、私も攻め気を持って、自分が攻めるタイミングのときはしっかり点を取ること。そうやってバランス見ながら攻めることは練習から意識してやってきました」と、語る。また、「やることがすごく明確なので、それをただひたすらやり続けていたら、自然とチームに馴染むことができました」とも発した。

■高校の先輩のサポートもありチームにフィット

 そもそも、デンソーへの移籍を決めたのは先のコメントのように指揮官から「3ポイントシュートだけでなくいろいろな形で点を取ってほしいと言われたことにワクワクした」から。「私が目標としているのが山本麻衣さん(トヨタ自動車)で、山本さんは3ポイントシュートはもちろん、いろいろな形で小さくても世界を相手に点が取れるので、私もブラダヘッドHCの言葉を聞いてやってみたいなと思い、自分のステップアップになると思って(デンソーへの移籍を)決めました」と、語った。

 梅木は聖カタリナ学園高校卒業後、アイシンウィングスで2シーズン、トヨタ自動車で3シーズンプレーした後にデンソーへと加入した。移籍をすれば環境も変わるため、バスケットやそれ以外でも順応していくのには時間も必要だ。

 だが、そんなときに何かと気にかけてくれたのが高校の先輩にあたる篠原華実のようで、「分からないことや新しいことなどがいっぱいあったけれど、毎回、華実さんが細かく面倒を見てくれて。華実さんはチームのルールを漠然と教えるのではなく、こういうことがあるからここを見たほうがいい、こういうときは臨機応変にこっちでいいよとか、分かりやすく教えてくれたのでアジャストしやすかったです」と、振り返る。

 また、梅木と同時にトヨタ自動車から川井、シラ ソハナ ファトー ジャが移籍で加入となったが、「緊張からあまり馴染めていない時期に、華実さんが率先して3人を周りにつないでくれて。打ち解けやすくしてくれました」と、感謝の言葉は尽きない。篠原とは同じ高校の出身でも4つも歳が離れていることからそこでは一緒にプレーはしたことがない。だが、「華実さんはオフシーズンにはカタリナに練習に来てくれたので、私が高校生のときには1対1をしてもらっていたし、本当に毎年来てくれていたので、“はじめまして”という感覚はなく、話しやすかったです」と、同郷の先輩の存在は大きいようだ。

 第1戦、その活躍から試合後の会場内でのヒーローインタビューを受けた梅木だったが、インタビュー後には「エブリンさんから指導を受けた(笑)」という。「エンターテインメント性というのはエブリンさんから勉強したいですね」と、梅木。これは冗談ではなく、トヨタ自動車でチームメートだったエブリンとステファニー(現在はスペインリーグでプレー)の馬瓜姉妹からは「あのマインドはチーム全員のモチベーションが上がるマインドなので、そこは本当に見習いたい」という思いがある。

 デンソーでのデビューを良い形で終えた梅木。目指す選手像、そしてチームの日本一に向けて突き進む168センチの点取り屋は、これからもチームに活力を与えていくだろう。

試合後、ファンの歓声にこたえる梅木 [写真]=Wリーグ


文=田島早苗

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