2025.07.30

日本航空北海道が貫いた信念のバスケで女王撃破!「ディフェンスからの速攻です」

3連覇中の女王を破り喜びを爆発 [写真]=田島早苗
フリーライター

「後半はみんなすごくディフェンスを頑張っていたと思います。自分たちのバスケットはディフェンスからの速攻。しっかりディフェンスから速い攻めに入れたのが良かったです」

 岡山県で行われている「令和7年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)」の女子準々決勝。大会4連覇を目指す京都精華学園高校(京都府)に挑んだ日本航空高等学校北海道(北海道)は、第1クォーターこそ2点ビハインドと食らいついたが、第2クォーターに入ると吉田ひかり(2年)を起点に高さを生かした攻めを見せる京都精華にリードを広げられてしまう。

 第3クォーターでも序盤は京都精華が優位に試合を進める展開に。日本航空北海道に苦しい状況となった。しかし、中盤からは「前半はボールマンフリーにしすぎてしまったので、少し守り方を変えました」(矢倉直親コーチ)というディフェンスが機能していく。

「前半は少し引いてディフェンスしてしまい、それで(相手に)自由にやられてしまっていました。自分たちの持ち味はディフェンスからの速攻。後半はもう一回ボールプレッシャーから頑張ろうと確認したので、それでいいディフェンスができたかなと思います」と語った中村泉咲(3年)、そして宇都鈴々奈(3年)らガード陣を筆頭にアグレッシブな動きで相手のターンノーバーを誘発。中でも第4クォーターでは京都精華の得点を6点に抑えることに成功した。

 また、攻めては「前半ではあまり点にからむことができなかったので、後半は積極的に攻めました」というエースの庵原有紗(3年)が奮起。「シュートはそれなりに打たせてもらえるとは思っていたけれど、前半はポロポロと落としていたところがあったし、変なパスをして相手に取られていたので、もうやるしかない、パスを狙わずフィニッシュまで行くようにと言いました」という指揮官の思いにも応えた。

「自分たちのバスケットはディフェンスからの速攻です」と庵原有紗は語った [写真]=田島早苗

 試合後、「自分たちのバスケットはディフェンスからの速攻です」と、庵原もまた、中村と同じ言葉を口にした。前半はそのスタイル、特にディフェンスをやり切れなかったことが影響し、ビハインドを負った。それでも後半には自分たちのスタイルを再認識し、それをブレずに貫いた。

「もうとにかく強気で、全員で攻めようとは常に言い続けました。それと、ディフェンスは効いてるから、最後まで足を止めないこと。それだけですね。それを集中してやり続けるようにと言いました」(矢倉コーチ)

 大事な場面での3ポイントシュートや好アシストも光った中村はこう振り返る。「途中でかなり点数が離れたときもあきらめないで、みんなでもう一回、『絶対勝つ』という気持ちを確かめて、強い気持ちで試合に入ることができました。気持ちで勝っていたので、いいプレーもたくさんでき、最後まで思い切ってできたと思います」

 日本航空北海道といえば2年前、創部1年目でインターハイに初出場し、1年生チームながらベスト16という成績を残して旋風を起こした。だが、そこからは全国大会では初戦敗退が続き、悔し涙ものんできた。

 全国の舞台で伸び伸びとプレーした夏から2年。そのときの選手たちは3年生となり、悔しさも喜びも味わいながらたくましく成長してきた。「自分たちは今まで全国の強いチームと試合することがあまりなかったのですが、今日改めて、自分たちは絶対に戦えるんだと感じました」(庵原)と、京都精華に競り勝ったこの一戦は、確実にまた彼女たちに自信を与えただろう。

 明日(7月31日)の準決勝は強豪の岐阜女子高校(岐阜県)と対戦。今春、練習試合では敗れた相手だ。

「一度対戦したことで岐阜女子の特長も分かるので。自分たちのいいところも出し切って、リベンジできるように頑張りたいです」と、中村はチームの思いを言葉にし、次なる決戦に気持ちを新たにしていた。

アグレッシブなプレーが目を引いた中村泉咲 [写真]=田島早苗

文=田島早苗

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