2025.08.01

鳥取城北・新美鯉星「絶対優勝」の思いでつかんだ初の日本一

鳥取城北のキャプテン新美が今大会について語った [写真]=佐々木啓次
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 令和7年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)男子バスケットボール競技の決勝で、鳥取城北高校(鳥取県)が八王子学園八王子高校(東京都)を下し、チームとしても県勢としても初の全国制覇を果たした。キャプテンの新美鯉星(3年)は「もう最高っていう気持ちが一番です」と、喜びを全身で表した。

 試合は立ち上がりから自分たちのバスケットを展開。前半を優位に進めたが、後半は八王子の反撃を受け、照井昇太朗を中心に追い上げられた。「正直緊張しましたけど、最後勝ててよかったです」と胸をなでおろした。

 今大会の目標は昨年の成績を上回るベスト4だったが、勝ち進む中でチームの意識は変わっていった。「決勝に来たからには絶対優勝を取りに行くという気持ちで全員が臨めました。それを体現できたのがよかったです」と、新美は語る。

 キャプテンから見た現在の鳥取城北は「全員が点を取れるチーム」。大会前よりも攻撃の幅が広がり、「(相手が)守りにくいチームになった」と自信をのぞかせる。その一方で、次なる目標に掲げるのはウインターカップ制覇だ。「去年の忘れ物である優勝を取りに行きたい」と力を込め、「ディフェンス面での改善や、もったいないミスを減らすことが必要」と課題も挙げた。

 試合前から河上貴博コーチに「メインコートを楽しめ」と言われ続けてきたという。「1試合通してすごく楽しかったです」と笑顔を見せる。昨年のウインターカップで悔しい思いをした主力3人(新美、豊村豪仁、ハロルド アズカ)にとって、「今回は絶対優勝する」という強い気持ちが原動力になった。

 決勝ではセカンドユニットの活躍も光った。「シュートやディフェンスで役割を果たしてくれて、本当に助かりました」と仲間を称える。八王子に追いつかれた場面では「内心少し焦りがあった」が、「同点だからまだいける」と全員で声を掛け合い、ディフェンスから立て直した。

 大会全体を振り返り、新美が挙げた成長点は「アジャスト力」。柳ヶ浦高校(大分県)戦では留学生選手への対応力を高め、全員が満遍なく得点を挙げることで自信を深めた。また、中国大会でアズカが負傷したことも、チームの結束を強めた出来事だった。「本当はインターハイに出られない予定だったアズカが間に合わせてくれたので、絶対優勝しようと思っていました」と明かす。

 試合終盤、永田惺雅の3ポイントに続き、新美が60点目を奪った場面も印象的だった。「自分がやるしかないと思っていたので、みんなにプレーで恩返しできたのがよかったです」。

 キャプテンとしてチームを引っ張り、勝負どころで大きな得点を重ねた新美。仲間とともに全国の頂点をつかみ取ったその姿は、ウインターカップへの新たな挑戦を予感させるものだった。

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