鳥取城北がチーム・県勢の初の決勝進出…キャプテンの新美鯉星は「絶対優勝を取りたい」

　鳥取城北高校（鳥取県）が仙台大学附属明成高校（宮城県）を破り、チーム史上初、鳥取県勢としても初めの決勝進出を果たした。試合後、キャプテンの新美鯉星が報道陣の取材に応じ、喜びとともに決勝戦への意気込みを語った。

「率直な気持ちで言ったら、うれしいっていう一言に尽きるんですけど」と笑顔を見せた新美だが、続けて「少し危機感もあります」と表情を引き締めた。「今日のようなゲームをしてたら明日の八王子（八王子学園八王子高校／東京都）戦、優勝には届かないと思うので」と、勝利の喜びに浸ることなく冷静に試合を分析した。

　特に課題として挙げたのは守備面での甘さだ。「ディフェンスのところで、シューターを簡単に撃たしてしまったっていうところと、接戦の場面で余計なファールが多かったので」と振り返り、決勝戦に向けた修正点を明確にした。

　一方で、チームの成長を感じさせる場面もあった。「3人以外の選手が点数をまんべんなく取れる」ことを今年の強みに挙げ、特に1、2年生の活躍を評価した。新美は「自分と豊村（豪仁）と（ハロルド）アズカに寄るっていうのは試合前から分かっていたので、ああやって3ポイントをコンスタントに決めてきてくれると助かりますし、5人がしっかり点数を取れるっていうところが今年の強みだと思うので」と下級生への信頼を語った。

　この得点の分散は、インターハイ以降に顕著になったという。「永田（惺雅）だったり、（フィリモン）タルモンだったり、福元（源士）だったりっていうところで、しっかり点数を取るっていう気持ちが強くなって。5人が点数をまんべんなく取れているので、守りにくいチームになってるのかなと思います」と手応えを口にした。

　試合終盤、仙台大明成の猛追を受けた場面では、キャプテンとしての経験が光った。「最後、明成さんに追い上げられたときに、気持ちとしては焦りましたけど、チームキャプテンとして、試合に絡んでる選手に『ここで焦るな』『ターンオーバーをするな』と自分から声かけしました」

　この冷静さの背景には、昨年のウインターカップでメインコートを経験した新美をはじめ、豊村、アズカの存在が大きい。「やっぱ3人がメインコートを経験してるので、そこは大きかったかなっていうのは思います」。

　対戦相手の八王子学園八王子については、「1年生のときのインターハイぶり（2023年北海道インターハイ2回戦」の対戦となる。そのときは49−60で敗れた。「ガタイのいい留学生が2人いるし、外のシュートもコンスタントに決めてくるチームです。しっかり留学生のところを守りながら、シューターを確認して、ディフェンスはやっていきたいなって思います」と具体的な対策を口にした。

　主力に故障者もいて、大会前の目標は「ベスト4」だったが、「ここまで来たからには絶対優勝を取りたいと思っているので」と意気込みを新たにした。「自分たちの強みである激しいディフェンスから速攻のスタイルを決勝戦で40分間出していけたらなっていうのは思います」と、チームの持ち味を全面に押し出す考えだ。

　最後に、会場を埋め尽くした応援団への感謝の気持ちも忘れなかった。「選手だけではなく、応援団もしっかりチーム一丸となってやってくれているので、選手にも力が伝わってますし、応援してくださってる皆さんにしっかり恩返しできるように、明日も頑張っていきたいなと思います」

　県勢初の快挙を成し遂げた鳥取城北。新美のリーダーシップの下、全国制覇へあと1勝に迫った。