2025.09.02

全中ベスト16・菊陵の主軸を担う東ななみ…夏の悔しさは冬への糧に

菊陵の東ななみ(左)は22得点を挙げる活躍を見せチームをリードした [写真]=田島早苗
フリーライター

 北九州市立菊陵中学校(福岡県)の東ななみ(3年)は、何度も何度も自らの得点でチームに勢いを与えた。

 8月22日から24日の間、鹿児島県にて行われた「令和7年度全国中学校体育大会 第55回全国中学校バスケットボール大会」(以下、全中)。女子決勝トーナメント1回戦の菊陵と岡山市立竜操中学校(岡山県)との一戦は、試合序盤から接戦の様相となった。

 菊陵は東、山根采莉(3年)らで、対する竜操は池田桃華、田中菜実(ともに3年)らで得点を挙げ一歩も引かない。第3クォーターではともにロースコアとなったが、菊陵が4点のリードを奪って第3クォーターを終えた。

 続く第4クォーターも序盤は菊陵が得点を重ね、一時は9点差を付ける。しかし、その後はミスも影響し、竜操を突き放すことができない。それでも、残り1分を切って4点リードと、菊陵がそのまま逃げ切るかと思われた。

 だが、残り38秒で竜操の池田が値千金の3ポイントシュートが決めると、残り21秒には田中が続き、菊陵は竜操に逆転を許してしまう。そのまま、ラストの攻撃も得点につなげることができなかった菊陵は、58−59と1点差で惜敗した。

「(大会の)初日から自分の不調が続いていて、2日目に取り戻そう、コーチたちや保護者の方が今まで応援してくれたのでその分をプレーで返そうと思ったけれど、自分の判断ミスなどでチームを引っ張りきれず、勝利に導けなくて、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」

 声を詰まらせながら竜操戦を振り返ったのは菊陵の東。鋭いドライブなど高い攻撃力を持つガードは、この試合で22得点を挙げ、中でも2ポイントシュートは71パーセントと高確率で沈めたが、ターンオーバーが7つ犯してしまい、試合後は自らのミスを責めた。

 今大会、東には負けられない理由があった。それは、大会初日の初戦で足を負傷し、以降の試合に出場が叶わなくなってしまった岡村夢珠(3年)の存在だ。

 169センチの岡村は昨年からスターターを担っていたチームの得点源。「夢珠は昨年からチームの大黒柱として頑張っていました。試合に出たいという気持ちは絶対にあったと思うし、その分、私が引っ張らないといけない、しっかりやっていこうと思いました」と、東。

 また、「(大会初日の)夜にその日の試合を振り返って、気持ちも切り替えて、夢珠のためにも頑張ろうと思いました」と、大会初日から2日目にかけての心の変化も教えてくれた。
 
 結果的には敗れはしたものの、岡村の思いも背負った東の気持ちはプレーにしっかりと現れていたといえるだろう。

ケガで試合に出られなかった岡村(右)の分もと東はプレーした [写真]=田島早苗

「外周りのシュートは得意ではないけど、ジャンプショットの確率は個人的に今まで以上に高かったと思います」と、大会での手応えを語った東。一方で、「波に乗ったときは自分のいいプレーがどんどん出るけれど、失敗が続いたときに、気持ちが少し弱い面があるので、そこは自分が一番気を付けないといけないところ。今回それが1日目に出て、全中でいいスタートを切れなかったので直していかないといけない大きな一つだと思います」とも課題を挙げた。

 指揮を執る木村透コーチはそんな東に対し「コミュニケーション能力と、もっと自分に自信を持つこと。身体能力も高くてすごくいい選手だけど大人しいので。周りをぐいぐい引っ張るようなリーダーシップが取れるような選手になってほしいです」と、期待を寄せる。

 次なる目標は冬に開催するJr.(ジュニア)ウインターカップ。県内にはライバルも多いため、県予選からし烈な戦いが予想される。だが東はその戦いに向けて抱負を語った。

「昨年のJr.ウインターカップでは最後の試合で長いプレータイムをもらったけれど、あまり貢献することができませんでした。(大会に向けて)改善するところをしっかりとやって、昨年の3年生の分も恩返しをする気持ちを持って頑張っていきたいです」

文・写真=田島早苗

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