1時間前

「こういうチームが勝つ」…ベテラン菊地祥平が語るアルバルク東京“復活の背景”

ベテランの菊地がA東京好調の理由を語った [写真]=B.LEAGUE
フリーライター

 試合終了残り1分14秒、TOYOTA ARENA TOKYOにこの日一番の歓声が鳴り響いた。

 2月15日に行われたB1リーグ第23節GAME2で、アルバルク東京佐賀バルーナーズに96-83で勝利。第4クォーター残り1分53秒、A東京の背番号13がコートに立った。左45度、菊地祥平が躊躇なく放った3ポイントシュートがリングに吸い込まれた。

 アリーナが一斉に沸き立ち、割れんばかりの声援が菊地を包んだ。だが、41歳のベテランはいざコートに立てば集中力が研ぎ澄まされ、歓声が聞こえなくなる。

「僕、全く聞こえないんですよ」。菊地は笑顔を見せながらもあっさりと言い、この日のハイライトを振り返った。「でも、ベンチとかの様子を見てすごい喜んでくれているのがわかりました。本当にありがたくてうれしかったですし、スタッフも含めて本当にいいチームメートに支えられているなって感じました」

 ホーム連勝を収めたA東京は東地区2位まで浮上した。開幕は4連敗からのスタート。ケガ人も相次いだことで選手の入れ替わりを余儀なくされ、現在はブランドン・デイヴィステーブス海中村浩陸が戦列を離れている。

 それでも、チームは開幕当初とは比べ物にならないほど強くなった。リーグ戦と並行して戦う東アジアスーパーリーグ(EASL)ではグループステージを勝ち抜き、6チームによる「EASL FINALS MACAU 2026」への出場権を獲得。1月の天皇杯では6日間で4試合の激闘を制し、14大会ぶりの優勝を成し遂げた。

「負けていた時期は、誰かのせいにするわけではないですけど、何かしらの言い訳を探してしまうような状況でした」

 菊地は正直に明かす。転機となったのは、12月に行われた前回の佐賀戦だという。2連敗中でアウェーに乗り込んだA東京だったが、初戦で64-91、第2戦は77-90で敗戦。当時、連敗が4に伸びた。

「佐賀に2連敗したあたりから、みんなが本当に今の状況を飲み込んだというか、危機感を感じ取ったと思います。そこからは、ただ自分の仕事を遂行するのではなくてチームに対してプラスになるように遂行するようになりました。天皇杯も厳しい状況でしたけど本当に結束力が高かった。大会中は『自然とこういうチームが勝つんだな』って感じていました」

 水曜と週末にゲームが続き、移動を繰り返す今のA東京には、腰を据えて練習する時間はほとんどない。「試合を重ねながら成長していくしかない」(デイニアス・アドマイティスヘッドコーチ)過密日程のなかで、なぜチームは勝ち続けているのか。菊地はその要因をこう語る。

「誰かがケガをしても、それを誰か1人が補うのではなくて全員がステップアップして戦うことができているなと。今日の試合でいうと(7本の3ポイントを決めた)安藤周人ですし、必ず誰かがいつも以上の活躍ができる。メンバーがそろわない中でも誰かがヒーローになるという強みが出ているので、チームとしての底力が上がっていると思っています」

 今の強さを維持し、さらに加速させるためには、菊地の存在が不可欠であることは言うまでもない。チーム最年長は独自の方法でコンディション維持を図り、常に戦える準備をしている。

「僕の年齢だとケガを怖がってトレーニングの強度を落としてしまうと本当に動けなくなってしまいます。なので運動量を増やして、普段みんながセーブする場面でも僕は追い込んで動く努力はしています」

 バイウィーク明けの3月も休む暇はない。レギュラーシーズンと並行して、マカオでは東アジア王者をかけた戦いが控える。

「リハビリを頑張っている選手たちも、戻ってきたときにどうチームにプラスになるかをわかってくれています。今のいいチーム状況でケガ人が戻ってくれば、さらにチームとしての厚みが出ると思っています」

 頼もしいチームメートの姿に菊地は目を細める。ベテランとして、メンターとして勝利へ導く菊地もまた、A東京の強さを支えるヒーローだ。

文=小沼克年

この試合の他の記事

菊地 祥平の関連記事

アルバルク東京の関連記事

Bリーグの関連記事