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バスケと物流業に通じるプロ意識改革「“見られる意識”はアスリートと同じ」

『島田のマイク』“相方”の村上成氏と、『全国ドライバー応援プロジェクト』オーナーの中島和美氏、JBA会長兼Bリーグチェアマンの島田慎二氏
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 Bリーグチェアマンであり、日本バスケットボール協会会長を務める島田慎二氏がホストを務めるポッドキャスト番組『島田のマイク』。番組を通じて、全国のドライバーを応援する「全国ドライバー応援プロジェクト」が2022年からスタートした。そのオーナーを務めるのが中島和美さんだ。

 今回はBリーグ開幕10周年という節目の機会に、自らもバスケットボールの大ファンである中島さんと、親交の深い島田氏の対談が実現。Bリーグを応援し続けてきた経験と自身の会社における経営改革を重ね合わせながら、プロ意識の大切さや変化を恐れないことの重要性について熱く語ってもらった。

■大きく変わった選手たちの「プロ意識」

島田 今回は「全国ドライバー応援プロジェクト」のオーナーである中島和美さんにお話を伺います。よろしくお願いします!

中島 よろしくお願いします!

島田 私が千葉ジェッツの社長をしていた時代にお会いしてからのご縁ですよね。家族ぐるみのお付き合いで、もう10年強ですか。この10年でバスケットボール界も変わりましたよね。

中島 昔はバスケットボールをプレーする人口こそ多かったですけど、学生バスケを終えてからプロになるという夢を思い描き難かったですよね。今では日本全国に素晴らしいアリーナができて、学生がプロの大舞台でプレーすることを目標にできる。バスケットボールで大きな夢を見られるようになったことが、一番大きいのではないでしょうか。

島田 そうですね。今は引退後にコーチやアナリスト、解説者という仕事もあって、バスケットボール界に残る選択肢も増えました。当然、そのポストにも限りがあるので、バスケットボール界以外で仕事をするために勉強している選手もいます。

中島 10年前は選手たちがもっと引退後の不安を抱えていたと思います。今は選手が企業の方々と会う機会も多くなって、色々と勉強になっていることも多いかと思います。例えば引退後に何をしていくか考えていたり、現役中に自らSNSなどで世の中に発信していたり、バスケ界の未来のために子どもたちへバスケットボールを教えていたり、とにかくコートの外でも行動を起こしていることに感心しています。

島田 2016年にBリーグが開幕してから、これまで以上に“プロ選手”として注目されるようになって、徐々に選手たちの意識が変わっていったこともあると思いますね。多くの人から見られる環境にいることが、行動や意識を変えるキッカケになるんですよね。

中島 Bリーグの進化が先行しているのではなくて、リーグと一緒に選手も成長してきたと感じています。私は千葉ジェッツの試合に応援に行くと、毎試合、感動して帰ってきます。試合内容だけでなく、選手たちのファンの皆さんへのサービスだったり、スタッフさんへの接し方だったり、そういう姿勢を見ていると、私も頑張らなきゃと元気をもらえるんです。私は自分自身を応援するために、ジェッツの試合を見に行っています。

島田 これはうれしいですね。「バスケで日本を元気に!」という理念のもと、日本バスケットボール協会、Bリーグや各クラブ、選手たちは活動していますから。

中島 特に印象に残っているのが千葉ジェッツ西村文男選手。試合会場で彼を見ていると、ブースターさんへの細やかなあいさつや声かけを欠かさないんです。若い選手との関わり方も、ただ引っ張ってあげるわけではなくて、「俺は俺、お前はお前。これでいいんじゃない?」と声をかけていたり、なんとも言えない面白いバランス感を持っています。とてもプロ意識の高い選手だと思っています。

■「目立つからこそプロになる」という発想

島田 「全国ドライバー応援プロジェクト」が始動してから3年が経ちました。この3年間は物流業界の皆さんも大変でしたね。

中島 そうですね。このプロジェクトのきっかけとなったのが、新型コロナウイルスが流行した時期の経験でした。社会が動かなくなっても、物流は止めることができなくて、トラックは365日、動いていたんですよね。そんな中、道路にある電光掲示板に「ありがとうドライバーさん」という言葉が出ていたのを目にして。こうして社会に認知されているということが、ドライバーさんのモチベーションや安全運転に結びついていくと感じたんです。ドライバーの皆さんに向けてエールを届けたいという一心で、「全国ドライバー応援プロジェクト」をスタートしました。

島田 その後は、いわゆる“2024年問題”など、業界ならではのご苦労もありましたよね。物流業界も様々なことが時代に沿って変わってきたと思いますが、和美さんご自身が改革したこともありましたね。

中島 運送会社に入って一番大変だったのは、ドライバーや業界がいわゆる“3K職場”として、古いイメージで見られてしまうことでした。それがすごく残念で。だから、まずはユニフォームの色を変えました。「なぜ暗めの色なのか?」とドライバーさんに聞くと、「汚れるから」と話していたので、あえて明るい色に変えました。「汚れるからこそ、洗うでしょ?」って。暗めの色だと汚れが目立たないだけで、いつまでも汚いままじゃないですか。

島田 逆転の発想ですね。隠すのではなく、あえて目立たせてきれいにする。その意識改革は、Bリーグの選手のプロ意識とも通じるものがありますね。

中島 “見られる意識”はアスリートと全く同じなんです。見られるからこそ安全運転をするし、仕事に対する取り組み方も変わると思います。トラックもできるだけ目立たせないという時代でしたが、車体にあえてマークやラインを入れました。「目立つからこそ、安全運転するでしょ?」って。常に誰かに見られていることで、プロ意識を持つようになるんです。

島田 ドライバーの皆さんも運送のプロですからね。プロの誇りですよね。

中島 そうなんです。ドライバーは試験を受けて、トラックを運転できるプロなんです。このプロ意識を、各ドライバーさんたちにもっと持ってほしいし、社会ももっと認知してほしい。大型の免許を取るのが大変な今だからこそ、その難しさを乗り越えて仕事をしていることに、もっとプライドを持ってほしいんです。

■思いが届くからこそ生まれる、次の一歩

島田 「ドライバー応援プロジェクト」が始まってから、『島田のマイク』にも「ありがとうございます」というドライバーさんへ向けた感謝のメッセージが寄せられるようになりました。

中島 バスケットボールファンの方、リスナーの方々が自分事のようにメッセージを書いてくださっていて、本当に涙が出そうなほど胸がいっぱいです。感謝の気持ちを伝えたいという思いがなければ、わざわざメッセージを送っていただくことはされないと思うので、本当に感謝しています。

島田 物が届くということは、誰かが運んでくれているわけですから。荷物を受け取る際は「ありがとうございます」。感謝を口に出してお伝えすることも、思いやりですよね。

中島 応援してくださる皆さんの気持ちは、ドライバーの皆さんにも伝えていきたいです。お互いが分かり合うからこそ思いやりが生まれると思います。それが、このプロジェクトの「一歩先」の活動だと思っています。

島田 最後に、和美さんから今後のバスケットボール界、そしてBリーグに期待していることがあれば、教えてください。

中島 今、まさに改革中で、それを続けていくことが最も大切だと思います。その上で、目標に向かって突き進むその過程を見せてほしいです。そして、選手がNBAなどで活躍するだけでなく、逆にもっと海外から「呼ばれる」ような存在になってほしいですね。身体も技術も、もっともっと変わっていくでしょうから。そういう未来の姿を期待しています。

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