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12月14日、「第89回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」のファイナルラウンド・準々決勝が行われ、第1試合では、トヨタ紡織サンシャインラビッツがトヨタ自動車アンテロープスと対戦した。
前回大会で初のベスト4入りを果たしたトヨタ紡織。この試合も2大会連続での準決勝進出を目指して臨んだが、チームは河村美幸、坂本美樹、平末明日香が体調不良により欠場。主力で得点源の3人を欠いての戦いを強いられることとなった。
それでも試合は、序盤からトヨタ紡織がゾーンディフェンスなどを駆使してトヨタ自動車の得点を抑えると、攻めてはエース・東藤なな子の1対1を中心に加点。前半を32ー30と2点リードして終える。
しかし後半、ロースコアの展開に持ち込み、終盤まで僅差の戦いを演じていたのだが、最後の苦しい時間帯に川井麻衣にフリースローやミドルシュートなどで得点を許し、万事休す。51ー56と僅差で敗退した。
惜しくも勝利とはならなかったが、この試合で大きなインパクトを残したのがスターターのポイントガードを務めた伊波美空だ。
坂本、平下といったポイントガード2名の欠場もあり、ルーキーに大役が回ってきたのだが、伊波は、「チームとしても不安は大きかったと思うのですが、そこでガードの自分が自信なくやっていたら、チームも盛り上がらないと思っていました。プレッシャーを感じずに、『自分がガードをやるんだ』という自信を持ってコートに入りました」と、奮起。得意とするドライブからのシュートなどで東藤の21得点に次ぐ13得点を挙げてチームに勢いをもたらした。
「緊張はしていたのですが、やるしかないと思っていました。自分が行くときは“行き切る”ようにとも福島(雅人)ヘッドコーチに言われていたので、そこは思い切っていきました」と、伊波。
試合では桜花学園高校(愛知県)の大先輩にあたるトヨタ自動車・山本麻衣とのマッチアップに「とても緊張しました」と苦笑いだったが、「相手は気にせず、チームでやること、自分がやるべきことを意識していました」とも言う。
12月10、11日に行われたWリーグの三菱電機戦でも先に挙げた3人が欠場だったため、伊波は2試合でもそれぞれ20分前後出場。このときの方が途中出場ではあったが緊張は大きかったようで、今回は、「(三菱電機戦のときに)試合のリズムなどを自分の中でつかめた」こともあり、三菱電機戦よりは落ち着いて臨めたとも明かしてくれた。
「40分間全員でディフェンスをして、オフェンスはしっかり1本づつ積み重ねていくというスタイルで戦いました。それは遂行できていたと思うのですが、それよりも相手がインサイドを徹底的に攻めてきたので、次に戦うときにはそこをしっかり守れたらいいなと思います」と、トヨタ自動車戦を振り返ったその目は悔し涙でうるんでいた。
だが一方で、「自信になりました」とも声を弾ませる。
今回の経験を踏まえ、この後も続くWリーグに向けて期待のルーキーは、こう力強く抱負を語ってくれた。
「ドライブでフィニッシュにいけるときもあったけれど、(リング下には)背が高くて強い相手が待っているので、フィニッシュのところをもう少し工夫できるようにしたいです。
試合に出させてもらい、自分のやるべきことがハッキリと分かったので、ガードの先輩2人が戻ってきても、プレータイムをもらったときにはやるべきことを徹底し、やり続けたいです」
取材・文=田島早苗
写真=伊藤大允