2020.05.04
10月5日、アルバルク東京はホームのアリーナ立川立飛で新潟アルビレックスBBとのB1リーグ開幕戦に臨んだ。
A東京は前日のトレーニングでザック・バランスキーが負傷し、レギュレーションによりジェフ・エアーズが欠場することで、ベンチ入りメンバーはわずか9人。加えて9月末には過密日程で行われる「FIBA Asia Champions Cup 2019」を決勝まで戦い抜いており、選手の肉体的な疲労も懸念材料だった。
しかし、蓋を開けて見れば第1クォーターから14点のリードを奪うなど序盤から主導権を握り、最大で30点差をつける盤石の戦いぶり。最終スコア87-59と新潟を圧倒した。
Bリーグ3連覇に向けて上々の滑り出しに見えたが、キャプテンの正中岳城は「ある程度は試合をコントロールできましたが、すべてが良かったわけではない。点差ほど(差はない)かな」と慢心を見せない。
確かに、すべてが良かったわけではない。特に第2クォーター途中や第3クォーターの立ち上がりは、新潟の連続得点により点差が10点近くまで縮まり、ゲームの流れが変わりかけた。しかし、いずれのタイミングでもA東京がタイムアウトをきっかけに立て直し、再びリードを広げていったのだ。そうしたベンチワークを含め、チームの完成度の高さを感じさせたが、正中は「一歩一歩進んではいますが、細かいところはまだまだ」と話す。
竹内譲次、田中大貴、安藤誓哉といった日本代表選手がチームに合流したのは9月半ば、プレシーズン中はフルメンバーでの練習にあまり時間をさけなかった。そのためチーム作りにはまだ時間を要するようで、1試合1試合勝利を目指しながらも「10月中の試合でチームを作りこんでいく」そうだ。
昨シーズンは日本代表メンバーの合流の遅れ、過密日程による疲労などが前半戦の苦戦を招いたが、今シーズンも状況は似通っている。厳しい戦いが予想される序盤戦を乗りきる上で重要なことは何かと正中に尋ねると、少し迷いながらもこう答えた。
「去年はしんどかったですけど、今年もそれは同じ。じゃあそうした状況で自分たちが立ち返るところ、拠りどころとなるものは何なのかというと、それはディフェンスの強度やオフェンスの実行力。重要なのは、その中で自分の良さをいかに発揮するかに全員が集中することだと思います」
A東京は過去2シーズン、インテンシティの高いディフェンスとピック&ロールから崩すオフェンスを武器にBリーグを制覇している。そうした成功体験があるからこそ、そのスタイル自体が「拠りどころ」となり、厳しい状況において支えになるのだろう。
メディア対応の終わり際でも、「まだまだですね。まだ、一つ終えただけなので。もっといいバスケットをみんなに見せたいです」と語り、大勝の後にも関わらず正中は最後まで謙虚な姿勢を崩さなかった。勝って兜の緒を締める、使い古された表現かもしれないがチャンピオンチームの在り方としては理想的だ。開幕戦の結果やキャプテンの姿勢を見る限り、今シーズンもA東京が優勝争いの有力候補であることに変わりはなさそうだ。
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