2022.12.29
Bリーグ公認のファンタジー(空想)スポーツゲーム『B.LEAGUE #LIVE 2022(Bライブ)』は実在のB1・B2の選手が残すスタッツがそのまま反映されるので、Bリーグを現実と空想の両方で楽しめるということで注目をさらに集めている。そのBライブの楽しみ方は試合ごとに更新されるスタッツを注視することと言えるだろう。ここでは12月中旬までのリーグ動向を振り返っていく。
文=吉川哲彦
B1は第5節までの時点では西地区勢の台頭が目を引いたが、その後混戦の様相を呈して目が離せなくなっているのが中地区だ。その一因となっているのが、中地区のチームで唯一過去5度のチャンピオンシップに全て出場と、実績で突出している川崎ブレイブサンダースのスロースタート。3地区制に戻った今シーズンの中地区では頭一つ抜けた存在という見方が多くを占めていたが、フタを開けてみると、開幕節に連勝した後は同一カード連勝もままならず、特に第6節以降は第1戦を取りながら第2戦を落とす節が続いた。
川崎が出遅れた原因としては、マット・ジャニングが開幕節第2戦から欠場していることが挙げられる。昨シーズン要所で効果的な3ポイントシュートを連発したジャニングの不在は影響が大きく、チーム全体の3ポイントシュートは試投数が多いにもかかわらず決定力を欠き、成功率は一時まさかのリーグ最下位にまで落ち込んだ。それに伴い、1試合平均得点もリーグ中位から脱しきれず、ニック・ファジーカスや藤井祐眞といった得点力のある選手を抱えながらもその破壊力が失われていた印象だ。
ただ、転んでもただでは起きないのが川崎の強豪たる所以。新外国籍選手のマイケル・ヤングジュニアを起点としたオフェンスに活路を見出し、その中で鎌田裕也の持ち味が活きる場面も増えた。第10節の秋田ノーザンハピネッツ戦で開幕節以来の同一カード連勝を果たすと、続く第11節も富山グラウジーズを下して今シーズン初の3連勝。20パーセント台中盤だったチームの3ポイント成功率も31.2パーセントまで回復した。ようやく本来の地力を取り戻しつつある川崎がここから地区首位固めをしていけるかどうか、シーズン中盤戦の戦いぶりを注視していきたい。
川崎がもたつく間に注目を集めたのは、開幕節でその川崎と戦った三遠ネオフェニックス。川崎には連敗したとはいえ、2戦とも最後まで接戦を演じ、第2節から第6節までは8勝1敗の好成績で地区首位を走った。ただ、金丸晃輔に続いて第7節には得点源のヤンテ・メイテンが負傷で戦線離脱。そこから第11節まで8連敗と状況は一転してしまった。
そして、そんな三遠に代わって浮上してきたのが横浜ビー・コルセアーズだ。第5節の時点で3勝6敗だった横浜BCだが、第6節にアルバルク東京を撃破。第9節にはBリーグのスタートから一度も勝てていなかった宇都宮ブレックスを敵地で連破した。第10節の三遠との直接対決に連勝した時点で地区2位まで駆け上がり、天皇杯でも3連覇のかかった川崎に勝利。B1の全24チームの中で、今最も勢いを感じさせるチームだ。
Bリーグを常日頃から見ているファン・ブースターには今更言うまでもないことだろうが、河村勇輝がその原動力となっているのは間違いない。初めて開幕前からチームに合流している今シーズンは、得点とアシストで2ケタを連発。第11節までの時点で1試合平均得点は17.7点にのぼっているが、これは日本人選手として唯一の得点ランキングトップ20入りだ。そして、同9.7アシストは2位に2本以上の差をつける堂々のトップ。スティールも開幕から常にランキング5位以内に入り続けており、その実力はスタッツだけで十分に証明されている。河村効果で、チーム全体でもアシスト数とスティール数はリーグ上位の数字だ。
ただ、河村のプレーには数字を超越したインパクトがあるということにも触れておかなければならない。天皇杯の川崎戦でも同点の場面から決勝3ポイントを炸裂させている河村は、前述した第9節の宇都宮戦で神がかりとも言うべき活躍を披露。第1戦でキャリアハイの32得点を叩き出すと、翌日はそれをさらに上回る34得点。それも、34点目は2点ビハインドの残り0.5秒に飛び出した起死回生の逆転3ポイントだった。
参考までに、この3日後に行われた天皇杯の三遠戦で河村は36得点をマークしている。“ゾーン”に入った感のある河村がこの先どのようなパフォーマンスを見せるのか、そして横浜BCを初のCS進出に導くことができるのか、大いに楽しみである。
Bリーグは、故障者の発生による緊急補強や成績不振に伴う外国籍選手の入れ替えなど、開幕した後も選手獲得に関する話題が尽きることはない。今シーズンも例に漏れず、開幕後に加入が発表された選手が多くいるが、スタッツという物差しで測った場合に今後への期待を抱かせるのはコフィ・コーバーン(新潟アルビレックスBB)だ。
アメリカNCAAの強豪であるイリノイ大でプレーしていたコーバーンは、この夏にはNBAドラフトにエントリーし、サマーリーグでもプレーした逸材。10月21日になって新潟との契約合意が発表され、バイウィーク明け直前になって正式に入団が決まった。デビュー戦となった第6節第1戦は16分56秒の出場で7得点3リバウンドにとどまったが、翌日の第2戦は30分を超える出場時間で20得点9リバウンド。第7節以降はすべての試合で得点とリバウンドのダブルダブルをマークしている。第11節を終えた時点で1試合平均21.2得点、同12.7リバウンドという数字は疑いようのない好成績だ。
これだけの好スタッツを残している背景には、新潟のチーム事情も少なからずある。従来の大黒柱であるロスコ・アレンが怪我で戦列を離れ、その代役となる選手の獲得が大幅に遅れたため、コーバーンへの依存が一層高くなってしまったのだ。出場時間が30分を切ったのは初出場の試合だけで、2戦とも延長にもつれ込んだ第9節はいずれも43分台。1試合平均出場時間は35分を超えている。
とはいえ、第9節第1戦で31得点16リバウンド、第11節第1戦で32得点12リバウンド、同第2戦で18得点24リバウンドという数字を挙げているのは圧巻と言うほかない。まだ来日から間もないということもあり、ここからさらにコンディションが向上することも考えられる。リーグ全体の最下位に位置している新潟が降格圏を脱出するためには、コーバーンの力が欠かせない。
今回も、最後にB2について触れておきたい。B2の個人ランキングを見渡すと、上位にはやはり各チームのエース級が居並ぶが、その中でも特にオールラウンダーぶりが際立つのがマット・ボンズ(長崎ヴェルカ)だ。昨シーズンはB3リーグでMVPに輝き、長崎ヴェルカが圧倒的な成績でリーグ制覇とB2昇格を果たすその立役者となった。ボンズは、今シーズンも当然ながらチームの大黒柱に君臨。B2第11節までの1試合平均22.3得点、10.4リバウンド、4.5アシスト、2.3スティールという数字は、いずれも個人ランキング5位以内に入っている。テレンス・ウッドベリー(熊本ヴォルターズ)は得点とアシスト、レイナルド・ガルシア(佐賀バルーナーズ)はアシストとスティールでボンズよりも上位だが、リバウンドは2人とも2ケタに届いていない。このことからも、ボンズの万能性がよくわかる。
昇格初年度ながら、その豊富な選手層やコーチングスタッフの充実などでB2優勝最有力候補との呼び声も高かった長崎だが、第11節までは15勝6敗という成績で、佐賀に西地区首位の座を譲っている。熊本と愛媛オレンジバイキングスを加えた覇権争いが激化の気配を漂わせる中、堅守からのトランジションオフェンスを徹底する長崎のバスケットスタイルにフィットし、B2のレベルにもスムーズにアジャストしたボンズの存在感は、ここからさらに重要性を増していくことになるだろう。長崎がB2でも旋風を巻き起こせるかどうかは、ボンズの力によるところが大きい。
Bリーグ2022-23シーズンの開幕とともにスタートしたリーグ公認ファンタジースポーツゲーム『B.LEAGUE#LIVE2022』は、実在のB1・B2選手からドラフトしてチームを編成しプレーヤー同士で対戦するシミュレーションゲームだ。
プレーヤー同士の勝敗は、選手の実際のスタッツ=活躍に応じたポイントで争い、複数人だけでなく1人でも楽しめる豊富なコンテンツが用意されている。すでに多くのBリーグファンがプレーヤーを楽しんでおり、他のユーザーと交流するツールとしても活用されるなど、上々の反響を得ているということだ。
このゲームの最も面白いところは、日本代表クラスの選手や個人タイトル争いの常連だけでチームを編成できない点。勝敗を競う上ではスタッツが何よりも重要となるが、実際のプロスポーツの世界で過去の実績によって選手の年俸に差が生じるのと同様に、これまでに高いスタッツを残してきた選手とそうでない選手を同じ条件で獲得することはできない。サラリーキャップ(選手総年俸額に上限を設ける制度)のようなシステムがあるこのゲームでは、未知数ながら将来性のある若い選手や、移籍などで出場機会増加が見込まれる選手などを見極め、チームに加える必要があるのだ。
本記事で紹介した第3節までの各選手の活躍度を参考に今後の展開を予想し、GM気分が味わえるこのゲームをより楽しんでみてはどうだろうか。
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