2023.01.11

「プロとして輝ける存在に」…地元の大阪エヴェッサに加入した飯尾文哉の決意

特別指定選手として地元の大阪に加わった飯尾 [写真]=鳴神富一
スポーツジャーナリスト

 2022年の「第74回全日本大学バスケットボール選手権大会」(インカレ)でベスト4に入り、優秀選手賞を受賞した日本大学の飯尾文哉が2シーズン連続で大阪エヴェッサとの特別指定選手契約を果たし、故郷の大阪に戻ってきた。

 1月7日におおきにアリーナ舞洲で行われたレバンガ北海道とのB1リーグ第16節からベンチ入りして出場機会をうかがっていたが、その場面を迎えることはなかった。特に8日の第2戦では延長戦にもつれ込み、オーバータイムでもビデオ判定によって大阪の勝利が決まる劇的な展開となり、本拠地の雰囲気は最高潮に達した。

 チームは5連勝と好調だ。新たな戦力として、そしてプロの道をスタートさせる飯尾は、北海道との連戦を次のように振り返った。

「まずは地元の大阪に戻ってこられたのをうれしく思っています。チームは5連勝と連勝が続いているなかで、この2試合をしっかりとベンチで見られたのは、自分としていい刺激になっています」

 最終学年で迎えたインカレでは頂点に立てなかった。それでも、飯尾はプロに進むという決断を心に下しており、チームへの合流から気持ちを切り替えて日々を過ごしている。

「最後のインカレでは3位決定戦で大東文化大学に敗戦してしまったけど、自分のなかでは結構やり切った感があったから、大学バスケに対して本当に悔いはないです。プロに行くことを決断していたので、終わってから気持ちを切り替えて、プロのステージで自分らしさを出せるように努力しようと感じています」

 プロとしての意識をしっかりと持っている飯尾に対して、チームを率いるマティアス・フィッシャーヘッドコーチは一定の評価をしつつも、早くチームのバスケットにフィットしてほしいと期待を込めた。

「体が大きくて、フットワークが素晴らしい選手。今後の日本バスケにおいて、有力な選手になると思います。加えて、左利きという大きなアドバンテージを持っているので、そういう部分でも活躍を期待しています。彼は大学時代からスコアラーとして活躍していたので、この大阪でも得点力を活かしてほしいです。昨シーズンも大阪に在籍しましたが、今シーズンはシステムが全く異なっていて、完全に違うチームになっています。時間は掛かるかもしれませんが、我々のバスケットを完全に理解して、プレーのリズムが出てくるようになれば、コーチとしてプレータイムを与えていきたいと考えています。本当に活躍を期待している存在です」

指揮官は飯尾を「有力な選手になる」と評価 [写真]=鳴神富一

 指揮官の言葉を飯尾自身もしっかりと理解している。

「まだ練習参加が浅いなかでHCの掲げるバスケットを理解して、しっかりとアジャストしないと、ゲームに出場できないことは自分の中で重々理解しています。ボールマンへのプレッシャーなど、前からハードにディフェンスすることを求められていて、まずはそれを体現したいです。加えて、持ち味のドライブだけではプロで活躍するのは難しいので、アウトサイドシュートを決めるという部分を向上させていきたいです」

 まだ練習参加の機会が少ないとはいえ、すでにしっかりとチームに溶け込み、大阪の一員として日々を過ごしている様子を、先輩でもある橋本拓哉のコメントからうかがい知ることができる。

「昨シーズン、自分が入院していたこともあって、彼とは今シーズン初めて会った。すごく明るいし、先輩たちにもガツガツと来るんです(笑)。その部分はプレー面でも表現してくれると思う。シュートが上手でフィジカルもあるので、期待しています」

 飯尾自身も「コミュニケーション能力は割とあるほう」と笑いつつも、昨シーズンもチームに所属していたことで、チームメートともコミュニケーションが取れているようだ。

「将来的なイメージはまだあまり湧いていないけど、プロ意識をしっかりと持って、みんなに見てもらえる選手になりたい。まずは日々努力して、チームで輝ける存在になりたい」と、当面の目標を言葉にした。

 輝きを放ち続ければ、大学の先輩で、憧れでもある川崎ブレイブサンダース篠山竜青とのマッチアップが4月にホームアリーナで実現するかもしれない。

「本当にマッチアップできたらいいなと思っているけど、試合に出れば学べることが多い選手なので、その学びを経験にしていければと感じています」

「輝ける存在になる」。これからスタートするプロの世界で、地元大阪を輝かせることができるのか。飯尾の明るく前向きな姿勢に注目していきたい。

プロとしてのキャリアがスタートした [写真]=鳴神富一

取材・文・写真=鳴神富一

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