2021.10.22

歴史の第一歩を刻んだホーム開幕戦…A千葉の指揮官とキャプテンが決意を新たに

クラブ創設初のホーム公式戦を連勝で飾ったA千葉(青のユニフォーム) [写真]=鳴神富一
スポーツジャーナリスト

 2021年10月16日、17日、記念すべきクラブ創設初のホームゲームを迎えたアルティーリ千葉。ホームアリーナの千葉ポートアリーナには両日ともに1700名以上のファンが集まり、熱気に包まれた。

 入った瞬間にすぐわかるぐらい至る所にクラブカラーのブラックネイビーが彩られたアリーナ、さらにゲーム中には映像はもちろん、光や音など非常に洗練された演出が施され、まさしく日常を忘れさせるような空間を作り出した。

文・写真=鳴神富一

ゼロからクラブを作ることへの責任を感じるアンドレ・レマニスHC

 A千葉の記念すべきホーム開幕戦で迎え撃ったのが、昨シーズンのB3リーグチャンピオン、アイシンアレイオンズ。GAME1は終盤まで苦しんだものの、83−72で逆転勝利。一方でGAME2では序盤から攻防両面でハードなプレーで相手に一度もリードを奪われず、82−59で大差をつけて勝利を納め、2連勝でホーム開幕戦を飾った。

 結果だけ見るとすべてが快勝というわけではないが、公式戦では天皇杯を含めて7連勝しており、クラブ初年度として好調な滑り出しを切ったと言える。過去には世界の強豪、オーストラリア代表のヘッドコーチを務め、オーストラリアのプロリーグで何度もチームを優勝に導いた実績を持つアンドレ・レマニスヘッドコーチにこれまでの約1カ月間に関してコメントを求めると、まずは勝利できたことに対しての安堵感を口にしつつ、チームワークの良さに言及した。

経験豊富なアンドレ・レマニスHCにしてもゼロからチームを作ることへの責任をひしひしと感じている [写真]=鳴神富一


「このチームを率いる中で、良い人柄の選手たちが集まっていて、各々が自己中心的ではなく、チームでプレーするということができています。しっかりとみんなで助け合いながら、誰かが良いプレーをしたら全体で喜べる。これは素晴らしいことですし、これからもその部分に関しては期待感を持っています」

 また指揮官はシーズン前、様々な要因でチーム全員で練習できたのが実は4日間だけだったと会見で明かしてくれた中で、これまでとは違う心持ちで開幕を迎えたとも語る。

「私のキャリアの中でも、とても責任を感じていました。ゼロからチームを作り上げるというのは全てを自分の考えを全面に浸透できる反面、私たちを信じてサポートしてくれている企業やファンの皆さんへの責任として、勝利を届けなくてはいけません。さらにはそれ以上に皆さんが誇りを持ってサポートしたいと思ってくれるようなチームを作り上げなければいけない。自分自身でのチャレンジもあるので非常に楽しんでいます」

大塚裕土は「このクラブでプレーするのは楽しい」

 記念すべきクラブの初年度にキャプテンを務めるのが大塚裕土は、今までの様々な経験をこの新しいチームに活かせるのではないかと、プロとしての集大成としてやってきた。

「無事にホーム開幕を迎えられて、2連勝でホームを守ることができました。タフなゲームを勝って反省できるのは、このクラブにとっては大事なことです。自分が若手を引っ張り上げつつ、みんなで一丸となって勝ち星をたくさんあげられるようにしたいです」

 大塚自身、「リーグ戦での全勝優勝が目標」を公言している中で天皇杯からのこれまでの約1カ月間の新たなチャレンジに関して、1年目の難しさにフォーカスしているようだ。

「ファンの皆さんに『このメンバーが集まったら強いよね』と言われるのは分かります。だけど、チームスポーツは本当に難しく、良いコーチや選手がいても1年目は苦労するものです。それでもチームで団結して攻防両面でコーチの言うことを確実に遂行することが重要です。僕らはB3でただ勝つだけではなく、上のカテゴリーに昇格しても同じことができるように、先を見据えて勝つだけではなくてクオリティーも求めていきたい」

 そして秋田や川崎など、素晴らしい演出の中で試合経験をしてきた大塚にとって、この千葉ポートアリーナでの2日間の雰囲気をどう感じたのか。笑顔を見せながら、こう答えた。

「コロナ禍が明けてファンの皆さんが声を出せるようになれば、もっともっと本当にいい雰囲気になると思います。僕自身、それは非常に楽しみです。そして、このクラブでプレーするのは、やっぱり楽しいですね」

 A千葉の素晴らしい歴史はここから始まり、さらなる高みを目指す。ますます期待を感じさせるホーム開幕戦であったことは間違いない。

キャプテンの大塚裕土はプロとしての集大成とするつもりだ [写真]=鳴神富一

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