2017.12.23

3年連続出場の岐阜商業、待望の全国初勝利を挙げさらなる高みへ

勝利を喜ぶ岐阜商業の選手 [写真]=河野大輔
大学時代より取材活動を開始し、『中学・高校バスケットボール』編集部を経て独立。メインフィールドである育成世代から国内バスケット全体を見つめる"永遠のバスケ素人"。

 2015年の初出場を皮切りに、3年連続出場中の県立岐阜商業高校(岐阜県)。一昨年、昨年はいずれも初戦で敗退。「今年こそは」と意気込んだ、12月23日に行われた「ウインターカップ2017 平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会」初戦の長崎女子高校(長崎県)戦に81-75で勝利し、見事全国初勝利を達成した。

 ウインターカップでは、インターハイの決勝に出場した2チームに「高校総体」という出場枠が与えられる。彼らは都道府県代表ではなくなるため、所属の都道府県には実質もう1つ出場枠が加わる格好となるのだ。

 この恩恵にうまく預かっているのが、3年連続の大会出場となったのが岐阜商業だ。岐阜県の頂点には、ウインターカップ26年、インターハイ24年連続出場中の岐阜女子高校(高校総体1/岐阜県)が君臨している。この岐阜女子がインターハイ決勝に3年連続で進出しているため、“2番手”の岐阜商業は冬のみ全国大会に出場してくる、全国でも珍しいチームとなっている。

 そんな話を田中良夫コーチに向けると、「それを言われるのが辛いところなんですけど」と苦笑したのち、「こういう機会を与えてもらった岐阜女子さんには、何としてでも恩返ししたいという気持ちがあったものですから、今年こそはとにかく勝つしかない。さっそく安江(満夫)先生に『おかげさまで勝てました』と電話しないといけません」と話した。

感極まる選手も [写真]=河野大輔

 両手を頬に当てて全国初勝利の瞬間を喜び、「夢のようだった」と振り返るキャプテンの梅本和佳(3年)は、例年「全国1勝」としていた目標を「ベスト16」に引きあげ、意識を高くもって大会に臨んできたと話す。1年生センターの黒川佳愛莉が秋からスタメンに入ったことでチーム力が格段に向上したが、「ウインターの経験があるのは3年生。そこは自分たちががんばらないと、という気持ちがありました」とはっきりコメント。田中コーチも「(長崎女子戦は)また今回もダメかという流れが一時期あったんですけど、脚力と体でよく守ってくれた」と、3年生たちの頑張りを称えた。

梅本は26得点の大活躍 [写真]=河野大輔

 コーチにも選手たちにとっても悲願だった全国1勝を達成し、岐阜商業が続いて目指すのはどこなのか? 梅本は「ここからは未知なのでわからないけれど、3年生最後の大会なので、できるだけ上のほうに上がっていければと思います」とコメント。1勝の先に広がるのは無限の可能性。ポーカーフェイスにじわじわと笑みが咲いた。

文=青木美帆

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