2018.12.24

冬初出場の札幌東商業が初戦突破「目標は夏越え!」

ウインターカップ初出場の札幌東商業が初戦を突破!
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 今回、女子では「Softbankウインターカップ平成30年度 第71回全国高等学校バスケットボール選手権大会」に初出場を果たしたのは4チーム。その1つ、札幌東商業高校(北海道)が12月23日の第5試合に登場した。

 北海道と言えば、過去に2度の優勝を誇り、全国的にも強豪校として名前を轟かせる札幌山の手高校を頭に浮かべる人も多いだろう。しかし、その札幌山の手を北海道予選の決勝で破り、札幌東商業はウインターカップへの切符を手に入れた。

 それだけに大舞台でさぞかし舞い上がってしまうのではないかと心配をしていた。しかも対戦するのはこちらも古豪小林高校(宮崎県)。特に粘りが身上のチームだけに札幌東商業が普段の力が出せるのか? 試合は予想通り大接戦となる。前半を終えて39-38で札幌東商業がリードするが、1点差で後半を迎えた。

 しかし、第3クォーターの中盤あたりから札幌東商業がジワリとリードを広げていく。池田朱里を中心としたシューター陣が思い切りシュートを放ち、さらにリバウドには全員でボールに飛び込んだ。第4クォーター、小林に4点差までに追い詰められるが、ここでも大林柊などの3ポイントがヒット。札幌東商業が小林を振り切った。

 試合後の取材対応でさぞかし安堵の表情を見せるのかと思われたが、札幌東商業の永野達矢コーチは開口一番、「今年の(福井)国体の準決勝で小林(宮崎県)に敗れているので、そのリベンジを果たそうと固くなってしまい、持ち前のディフェンスができなかった」と渋い表情で振り返る。「初戦ですから、そんなもんかもしれないですね」という語り口には、失礼ながら初出場の初々しさはなかった。

 というのも、札幌東商業は今夏のインターハイでベスト16まで進出しており、それ以上の結果を出そうと、永野コーチも選手たちも今大会の準備をしてきたという。

 永野コーチは「全国大会ではワンサイドゲームになることはほとんどない。相手チームはいろんな局面でプレッシャーをかけてくるもの。その中でどのように攻めるか」を課題にウインターカップへの準備を行ってきたという。小林戦でもそのような状況になることが多々あったが、「慌てないで攻める。それができたと思う」と及第点を与えた。さらに「インターハイの経験は生きていると思う。そして、北海道予選で札幌山の手さんに勝てたことも自信につながっている」と、永野コーチは次の回戦に目を向けていた。

 札幌東商業のキャプテン山田月南も試合後のメディア対応で、冒頭にホッとした表情を見せたものの、「前半は相手に流れを持っていかれ、自分たちのバスケができませんでした。大きな会場で試合したことがあまりないので、緊張はあったかな?」とまずは反省のコメントだ。

「インターハイはベスト16までいけたので、それを越えるためには初戦に勝たないとという気持ちで臨んだ試合です。自分たちは小さいので、足を使ってディフェンスをしなければいけないのに、試合の入りはゆるみがありました。後半、ディフェンスからリズムを作ることを徹底できたと思います。少しずつ差を広げることができました」

札幌東商業のキャプテン山田月南はウインター初勝利を挙げたものの、反省の言葉を述べた [写真]=伊藤 大允


 1回戦を勝ち上がった札幌東商業は2回戦で京都精華学園と対戦する。中高一貫で強化を進める京都精華高校(京都府)だけに、簡単に勝てる相手とは言えない。しかし、初戦の山を越えた札幌東商業は本来の力を出し切ることができれば、“夏越え”へのさらなるステップになる可能性も秘めている。2回戦も注目だ。

文=入江美紀雄

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