2018.12.25

岐阜女子・木下七美『最上級生が挑む“ラストウィンター”』

藤田に代わって岐阜女子のポイントガードを務める木下七美 [写真]=兼子慎一郎
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 12月24日、「SoftBankウインターカップ2018 平成30年度 第71回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は女子2回戦が行われた。第2シードの岐阜女子高校(岐阜県)は今年から大会が開催される武蔵野の森スポーツプラザに初登場。郡山商業高校(福島県)を相手に93-63と危なげない戦いで3回戦進出を果たした。

 初戦を終えて、「気負わず、焦らず、(大会の)入りとしてはよかったと思います」と、語ったのは安江満夫コーチ。第1クォーターではリードは6点にとどまったが、「大体、大会というのはこんなもの。簡単に選手がエンジン全開にはならないので」と穏やかな表情を見せた。

 上々の入りではあったものの、今大会は昨年から主力のポイントガードで「FIBA U17女子ワールドカップ」にも出場した藤田和がケガにより不出場。今年のインターハイで準優勝、ウインターカップでは3年ぶり2回目の優勝を狙うチームにとっては大きな痛手となった。だが、そこで期待されるのが3年生ガードの木下七美だ。

 今年のチームは藤田と木下、そしてキャプテンでエース池田沙紀の『3ガード』が特長。このユニットでは司令塔は藤田が務めることが多かったのだが、もともと池田も木下もポイントガードをこなせるスキルと経験を持つ。昨年からスターターを担い、岐阜女子の求めるプレースタイルもしっかりと理解している。

 調和の取れたプレーからディフェンスとのズレを作ってシュートチャンスを生み出すそのスタイルは、決して簡単なものではない。ましてやそのオフェンスを司るガードとなると責任は重大だが、「緊張はなかったです」と、木下は初戦を振り返る。

 昔から試合では緊張したことがないという強心臓の持ち主は、「最後の大会だし、インターハイと東海国体(国体予選)で敗れた思いがあるので、自分がやるしかない、やってやろうと思っています」と、目を輝かせる。

 そんな木下にとって、「1日も忘れたことがなかった」というのがインターハイ。決勝で桜花学園に敗れたことだけでなく、大会を通じて自身のパフォーマンスを発揮しきれなかったという悔しい思いを持っているのだ。

 それでも夏以降、何か特別なことをしたわけではなく、「相手に勝つには、まずはチーム内での競争。それこそ藤田選手や池田選手にも負けないように毎日闘争心を持ってやってきました」という。

「ポイントガードは昨年もやっていたので、経験はあります。彼女でいきます」と、安江コーチはチームの命運を木下に託した。その指揮官の思いに応えるかのように、木下は「不安は一切ありません。絶対にやります!」と、頼もしい言葉を発していた。

今大会では木下とともに2ガードを形成する池田沙紀 [写真]=兼子慎一郎


文=田島早苗

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