Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
「この1年ウインターカップで優勝することを目標にやってきて、苦しいこともあったけれど、優勝できていい経験になったと思います」
決勝後、優勝会見の壇上で桜花学園高校(愛知県)の平下愛佳(3年)は優勝の感想を語った。
ようやくつかんだ“冬の日本一”だった――。
高校女子界のトップを走る桜花学園において1年生の頃からスターターを務め、順調に高校のキャリアをスタートした平下。しかし、1年生の冬は準決勝で敗退し3位。続く2年生ではインターハイ、国体(桜花学園主体)を制したものの、ウインターカップではベスト8止まりとなった。
そのため、常勝軍団にとって今年はインターハイはもとより、ウインターカップでも絶対に負けられない年に。そのチームにおいて平下は“キャプテン”という重責を自ら背負った。
「1年生の時から試合に出させてもらっていたので、自分しかいないと思いました。先生にとっては足りなかったかもしれないけれど、まずはチームの中で一番声を出すこと意識して、練習でもできてない人がいたら教えるようにしていました」と、この1年間の取り組みを語る。
ただ、名将・井上眞一コーチからはことあるごとに「キャプテンがいない」「リーダーシップを取れる人がいない」と喝を入れられた。その度に平下は下を向くことなく、最善の最強のキャプテンであろうと取り組んできた。
今や桜花学園の練習では、平下がチームメイトに指摘をしたり、叱咤激励したりする声が響くまでに。ウインターカップ序盤は井上コーチから「ガードの江村(優有/2年)とセンターのアマカ(オコンクウォ・スーザン・アマカ/2年)に任せきり」と言われた場面があったものの、準々決勝からは本来の持ち味を発揮して、得点、そして精神面でもチームを引っ張った。
決勝でも後半に得点ペースが加速。第4クォーター中盤、相手を引き離す場面ではドライブやミドルシュートで畳み掛け、最後も残り6秒、勝負を決定付けるフリースローをしっかりと2本沈めた。
「桜花のキャプテンは精神面でもプレー面でも引っ張っていかないといけないので、そこは1年間苦労したところです。声を出すだけでもダメだし、プレーで点を取るだけでもダメ。両方ができてないといけないので、両方がバランス良くできるように努力していました」と平下。
先輩たちの背中を見ながら戦っていたそれまでとは違い、リーダーとして一人立ちした1年。「私の弱点がキャプテンシーやリーダーシップがないところでした。でも、弱点を少し克服できたかなと思うし、この先、上にあがっていくにもキャプテンシーは必要。強い気持ちがないと上がっていけないと思うので、本当に自分の弱点を見付けてくれて良かったと思います」と語る。
「井上先生を絶対に胴上げしたい」という公約を果たした頼れるキャプテン。明日からはようやく、両肩に掛かっていた重荷を下ろすことができるだろう。
「オリンピック出場」を目指す平下は、この1年で得たかけがえのない経験を生かし、新たなステージへと羽ばたく。
文=田島早苗