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『B MY HERO!』
高校バスケが動き出した。インターハイが中止になった今年、高校バスケ界の希望となっているのが正式に開催が決定した『ウインターカップ』だ。日本一を目指す強豪校はコロナ禍の中、どのようにチーム作りを進めているのか。チーム紹介の第4回は今年4月に校名が変更した仙台大学附属明成高校。佐藤久夫コーチとキャプテンの浅原紳介、ポイントガードの越田大翔に話を聞いた。
中でも、左足の中足骨骨折から約半年ぶりに復帰した期待の2年生、菅野ブルースがコートに立ったことは明るい材料。菅野の復帰は、ここからギアを上げてチーム作りをする合図でもあった。
ここ2年間の明成は190センチを超える長身者がそろうために、主力を固定してチームを仕上げるというより、多くの選手にチャンスを与えて育成している。この1年も試合経験を積むことが何よりの成長になったはずだ。だが佐藤コーチは「コロナ禍で試合ができなくても、決して不運の年とは思っていません」と言う。なぜならば、試合ができなくとも、選手たちに自主性が芽生えているからだ。
春先の休校中、東北地方では陽性者が少なかったこともあり、全国から来ている明成の部員たちは帰省せずに仙台に留まった。その間、部活動は停止だったが、選手たちは学校の許可の下、感染対策と時間制限をしたうえで、寮から数分のところにあるバスケラボ(体育館)で各自がトレーニングを行った。また、3年生が率先して戦術を考える話し合いをしたり、ミニゲームで体を動かし、選手たちが自主的に活動する期間としていた。
また夏休みには一週間の帰省があったが、陽性者が多く出ている地域の選手は移動を控えるため仙台に残ることになり、リフレッシュを兼ねて佐藤コーチや父兄とともに3日間にわたって『遠足』に出かけている。日本三景といわれる松島を見学し、川でニジマス釣りを楽しんで自然と戯れ、部員同士の交流を深めたという。ある意味、普段の部活動では味わえないような経験の日々を今年は送っている。
「インターハイが中止になったことで選手たちには目指しているものがなくなり、心のケアが必要でした。ただいつまでも残念だと思うのではなく、バスケができるありがたさを感じ、この状況からも学ぶことが大事。長い目で見れば、自分たちで考えながら部活を運営したことのほうが、のちに大きな力となって出てくると思います」というのが、佐藤コーチの考えだ。
これまでの明成は東北地方を中心に練習試合を行っているものの、みずから出向く遠征は東北に近い北関東止まり。ウインターカップ予選後は負傷者が復帰して全員がそろい、チーム練習の成果を実戦につなげる時期に入る。
「今年の3年生は歴代の中でもとても真面目に取り組む学年で、彼らの結束力で乗り越えてきました。ただ、まだ自信と個性は出せていません。ここからの2カ月は強豪校に胸を借りて試合をして、自信をつけていきたい」と語る佐藤コーチだ。
コロナで部活ができない間は、3年生が自主練習の企画を立てて運営してきたので、それが本当にいい経験になりました。3年生は意見を言い合えて、すごく仲がいいチームです。けれど、もっと後輩たちの面倒を見て、本当の意味でチームが一つにならないと日本一にはなれないと思っています。
自分は声を出してハッスルするのが取り柄。自分が声を出すことで、チーム内にいい雰囲気が伝染していけばいいなと思っていますが、ウインターカップ予選ではベンチでマスクをしていたので声が出せなくていいムードを作れませんでした。やっぱり、声を出すことは必要だと実感したので、もうひと踏ん張りしなきゃいけないときに自分から声を出せるように心がけます。県予選ではリバウンドとルーズボールの面で課題が出ました。もっともっと強度も質も高い練習をしてウインターカップに臨みます。
2年生のイブ(山﨑一渉)、ブルース(菅野ブルース)、紀人(山崎紀人)が試合に多く出るけど、ウインターカップは3年生の大会だと思っているので、そういう面では後輩に任せるより、自分たち3年生が率先してやっていきたい。そうすれば僕たちはもっと強くなれると思います。ウインターカップではチームが一つになって日本一を目指します。