2020.12.24

優勝候補・福岡第一登場…全員得点129点発進も「出来はひどい。ゲームの中で修正していきたい」(井手口孝コーチ)

大差で勝利も油断の色は全く見せない福岡第一[写真提供]=日本バスケットボール協会
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

 大会3連覇を目指す福岡第一高校(福岡県)が東京体育館に登場。今回はブロック推薦のシード扱いではあるが、フリー抽選の結果、1回戦からの登場となる。

 初戦は県立四日市工業高校(三重県)との対戦。出足から数分はやや硬さが見られたが、徐々にパスが回り始めると、広くスペースをとって3ポイントを狙う攻撃が次々に決まっていく。インサイドではダブルチームで囲まれてもキエキエ トピー アリ(3年)がゴール下を支配。3ポイントが好調だったガードの佐藤涼成(2年)は第1クォーターだけで3ポイント2本を含む18得点を挙げた。

 また、アリは9得点10リバウンド、ポイントガードのハーパー ジャン ローレンス ジュニア(3年)は5得点7アシストと、中心選手が役割を遂行して第1クォーターを42-9と圧倒した。

 第2クォーターからは期待の1年生ポイントガードの轟琉維を含めたベンチメンバーが代わる代わるコートに立ち、全員出場、全員得点で県立四日市工業を寄せ付けず、129-64で順当に2回戦へ駒を進めた。

「対応力が問われる大会なので、できることは全力で」

ゴール下を支配したアリ[写真提供]=日本バスケットボール協会

 試合後、井手口孝コーチは「まずこのコートに立てたことに感謝したい。今日も出場できないチームが出てきて(光泉カトリック高校/滋賀県)、試合するのが申し訳ない気がします」と複雑な胸中を明かしたあと、試合について語り始めた。

「試合に関しては、最初は硬くて何しているかわからなかったんですけど、何となく点差が離れていきました。そういう面では全員をコートに立たすことができて良かったですが、バスケットの出来はひどいです」と合格点は出なかった。第1クォーターで42-9と圧倒しながらも、初戦で見えた課題とは何だろうか?

「何をやっているかわからない感じでした。リズム(が悪い)というか、点差ほどいい内容ではなかったです。アリが第1クォーターに何となくファウルをしたのはよくない点。無駄なファウルやどうでもいいファウルをしないこと。ジャッジに慣れてアジャストすること。コートにいてほしい選手がいるべき時間にいることなど、たくさん反省点はあります」と課題を上げる。

 県予選では福岡大学附属大濠高校に快勝し、天皇杯では1回戦で京都産業大学(京都府)にブザービーター勝利。2回戦ではアイシン・エィ・ダブリュ アレイオンズ安城(B3)に善戦している。全国の高校生と比較をすれば、勝負のかかった公式戦での実戦経験は豊富だといえる。

 しかし例年のチームに比べれば「ゲームキャリアがなくて、今年は不安定なところもあります」と井手口コーチ。実際、京都産業大戦では3ポイントが入らず、ゾーンを攻められずに苦戦した。こうした公式戦で出た課題一つひとつについては「ゲームの中で修正したり、ゲーム前の練習やミーティングで修正するしかないです。そういう対応力が問われる大会なので、できることは全力でやろうと思っています」と来たる勝負の時を見据えている。

「カギとなるのは準々決勝」と公言する井手口コーチ。そこまでの3ゲームで修正しながらチーム力を上げていく福岡第一だ。

文=小永吉陽子

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