2022.06.05
「DREAM MATCH」として開催した盛岡市立と明成の対戦について、岩手ビッグブルズの水野哲志代表取締役社長は「この節目の年に地元ファンや沿岸地域の方々を元気づけたい思いで開催しました。未来ある高校生たちの試合がこの先の10年、20年、岩手の方々やファン皆様の活力と元気につながるように期待しています」とあいさつ。この試合にはビッグブルズのファンクラブ会員100名、岩手県の沿岸地域に住む小中学生と保護者250名と両校の父兄が招待されたが、募集と同時に満席となり、注目の高さがうかがえた。
盛岡市立は全員が岩手出身。明成にも3名の岩手出身選手とアシスタントコーチが在籍し、さらに両校には岩手ビッグブルズユースチーム(U15)出身者が数名いることから、釜石市で行うドリームマッチにふさわしい対戦となった。
新人戦の県大会と東北大会が中止になった明成は、この試合が今年の初ゲーム。そのためか、序盤は硬さが見られて開始1分も経たないうちに佐藤コーチはタイムアウトを請求。そこから気持ちを入れ直した明成が徐々に高さを生かした攻撃でリズムをつかんでいく。ウインターカップ優勝に貢献した山﨑一渉、山崎紀人を軸とする中で、このゲームで最大の注目となったのは、岩手の陸前高田市出身の菅野ブルース。膝のケガのためにウインターカップではベンチから見守っていたが、復帰戦となったこの試合では、ボール運びからドライブ、3ポイントシュートで大暴れして39得点をマーク。菅野の躍動に合わせるように、チームもリバウンドからのセカンド攻撃と速攻で得点の山を築いていった。
対する盛岡市立はリバウンドには苦戦するものの、キャプテンでエースの佐々木響也と葛巻士瑠の2人で14本の3ポイントを決めて応戦。とくに佐々木は38得点をマークし、ディープスリーを決めるシュート力で会場を沸かせていた。最終スコアは121−73で明成が快勝した。
地元の岩手を代表して、盛岡市立のキャプテン佐々木はドリームマッチの意義をこのように語った。
「東北新人戦では明成を倒したかったのですが、中止になってしまいました。そんな中で東日本大震災から10年の節目の年にこのような試合を開催してもらい、とても感謝しています。出足は踏ん張れたけれど徐々に差が開いてしまい、明成とは体力、技術、精神力にかなり大きな差がありました。岩手から明成に行った選手が頑張っているので自分たちも負けられないし、もっと頑張らなきゃいけないと思う試合になりました。僕らが小学校1年生の時に震災があり、10年を経て、高校2年生になったときにこうして復興する側として試合ができたことにとても意味があると感じています。全力でやれたので、岩手の人たちに勇気や元気を与えられたと思います」
昨年のウインターカップ覇者である明成は今年も注目大のチーム。佐藤コーチが「これまでもそうだったが、優勝した翌年のチーム作りは難しい」と語るように、ガードを務める下級生たちのキャリア不足は否めない。だが、この試合で山﨑一渉が38得点、菅野ブルースが39得点と、2人のエースが77点を叩き出したことには手応えがあり、好発進したといえるだろう。
中でも目立ったのはパッシングからのコンビネーションプレーを披露した点だが、オフェンスについて佐藤コーチは「スペーシングとタイミングを理解するためにパッシングを使っているが、パッシングをすることが目的ではなく、選手たちのアイディアで組み立てるフリーランスオフェンスをすることが目標。全員がもっと自分の得意なことを探してゲームを組み立て、1対1やインサイドに跳び込むプレーをもっと強化していきたい」と今後の課題を語った。また、試合後のあいさつで佐藤コーチが「今年のテーマは『Mの狂犬』」と掲げていたが、その意図をキャプテンの丹尾久力は「牙を剝いて噛みつくこと」だと表現し、もう一つのテーマである「トーキングバスケットをしながら、みんなで話し合って戦いたい」と抱負を語る。チャンピオンチームとして、さらなる進化を目指す1年が始まった。
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