2021.07.25

創部2年目の和歌山南陵が全国初勝利…自慢の攻撃力を発揮し、次なる狙いはシード校食い

高水との1回戦では31得点を挙げた和歌山南陵の柳沢[写真]=小沼克年
フリーライター

 和歌山南陵高校(和歌山県)は、2020年4月に創部したばかりの若いチームだ。

「私自身、神奈川の学校で働いていたのですが、和歌山(南陵)でバスケット部が新設されるということで、私が生徒募集から携わってチームを作っていきました」

 増井拓也コーチは、創部に至った簡単な経緯をこう語る。

 1期生のメンバーは現在の2年生で今春入学した1年生が2期生となる。つまりは今のチームに3年生はいない。たが創部2年目の今年、和歌山県予選を勝ち抜いて初の全国大会出場の権利を得た。

 迎えた7月25日の「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」初戦は、山口県代表の高水高校と対戦。第1クォーターで28−18と一歩抜け出したが、「10点リードしたときに選手たちが浮かれているなと思いました。そうしたら案の定、第2クォーターに切り終わったところで点差が縮まってしまいました」(増井コーチ)と、一時4点差に縮められる嫌な流れに。

 後半に入っても、リードを2ケタに戻してから追い上げられる展開が続き、試合終了残り3分を切った時点で92−86。それでも、アデチュチュ デイビッド アラバが高さと走力を生かして49得点、アラバとともにインサイドを支えた柳沢隼人(ともに2年)が31得点をマークする活躍もあり103−90で逃げ切った。

 相手のエース・片根大空(3年)にも40得点を奪われ、合計193得点というハイスコアゲームとなったこの試合、「今までマッチアップした中で一番強かったですし、チームとしても失点が多かったです」と、片根のマークについた柳沢は悔しさをにじませた。

 しかし、チームが掲げるのは防御よりも攻撃を重視するスタイルだ。和歌山南陵は今回の県予選でも全3試合、どの試合も120点以上を積み上げて初優勝を手にしている。

「とにかく走る。留学生もセンターではなくフォワードの選手なので、彼を生かすためにも速い展開を第一に心がけています」と明かした指揮官は、全国初勝利にも慢心せず、すでに先を見据えている。

「常に日本一を目指してやっていますが、現実的なところで言えばベスト8、ベスト4を目指して今大会に臨んでいます」

 全国2勝目をかけた2回戦は、シード校の前橋育英高校(群馬県)と対戦。「前橋育英さんは関東大会で勝っている(3戦全勝)チームですが、かといってうちも目標に到達するためには負けられない試合。オフェンスを得意としているチーム同士、ガツガツやっていきたいです」(増井コーチ)。

 和歌山南陵は、若さと勢い、そして自慢の攻撃力でチームの歴史を塗り替えていく。

全国2勝目を目指す和歌山南陵は、2回戦で前橋育英と対戦する[写真]=小沼克年

取材・文・写真=小沼克年

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