2021.10.25

宮城女子ライバル対決! 仙台大明成が延長で聖和学園を下して2年ぶりの優勝

延長を制した仙台大明成が2年ぶり8度目の優勝 [写真]=小永吉陽子
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

 10月16日~18日にわたって開催された「宮城県高校選手権大会兼ウインターカップ2021予選」。女子決勝リーグでは、インターハイ県予選優勝の聖和学園高校と2位の仙台大学附属明成高校が、ともに尚絅学院高校と東北高校を下して2勝同士で激突。延長の末に仙台大明成が79-73で制し、2年ぶり8度目の優勝を決めた。宮城のライバル決戦を追う。

取材・写真=小永吉陽子

「明成vs聖和」のライバル対決

 宮城のウインターカップ枠は県代表と東北ブロック代表枠の2枠のため(※)、ともに出場権を得て優勝決定戦を迎えた。しかし両校において、ウインターカップのチケットを取ったことで満足している選手はいない。何しろこの2校は長年続く県内のライバル。ウインターカップ予選は県の選手権大会を兼ねており、この大会で聖和学園は33回の優勝を誇る。対する仙台大明成も、第1回大会の覇者で宮城をリードしてきた存在だ(第1回大会当時は前身である「朴沢女子」の校名)。ともに、ライバルを倒して県内を制し、全国大会で飛躍することを目標に掲げているのだから、この対決に燃えないはずがない。

 一昨年(2019年)は明成がインターハイとウインターカップの出場権を勝ち取り、昨年(2020年)は聖和がウインターカップに出場。今年のインターハイ予選は69-61で聖和が接戦を制している。ただ、聖和の選手たちからは「明成のディフェンスはとてもタフでいつも粘ってくる」という声が上がっていたように、今回も予想通りの激戦となった。

チームをリードした聖和学園のポイントガード髙橋柊 [写真]=小永吉陽子

チームバランスが良くなった仙台大明成

 主導権が行ったり来たりしながら、第3クォーター終了時には50-50の同点。どちらも流れによってはプレスをかけ合い、粘り合戦は最後まで続いた。そんな中、残り2分18秒で明成が62-57で5点のリードを奪い、飛び出したかに見えた。

 ここから粘ったのが聖和だ。オールコートプレスから3年の髙橋柊と2年の上野心音が立て続けにシュートを決め、残り25.8秒で65-64と逆転。勝負所で3本のシュートを決めた上野は176センチのフォワード。インターハイ予選でも終盤にドライブや3ポイントを決めて勝利を手繰り寄せている。「自分でアタックする強さを身につけて、先輩の今野紀花(ルイビル大)のようになってほしい」と小野裕コーチが期待をかけている選手である。

 ただ、しぶとさでは明成も負けてはいない。3点ビハインドで迎えた残り7.3秒、明成はタイムアウトを取ってセットでの3点プレーを指示。ここで3年の斉藤花帆がステップを左右に踏んで難しい体勢から3ポイントを決めるビッグプレーで67-67。時間は0.7秒、ほぼブザービーターでの同点弾だった。

 延長に入ると明成が勢いを持続。試合を通して活躍した2年の三浦瑞貴が体を張ったインサイドプレーを決め、キャプテン大久保凪紗が3ポイントでとどめを刺して79-73で熱戦に終止符。明成が2年ぶりに覇権を奪還し、8度目の優勝に輝いた。

仙台大明成を支えてきたキャプテン大久保凪紗 [写真]=小永吉陽子

 同点シュートを決めた斉藤は「いろんな状況を想定した逆転練習のおかげです」と笑顔で勝因を語った。安達美紀コーチは「最後のシュートはチームの誰もが『この選手』と託した斉藤が打ち切ってくれました。終盤に3年生がミスをしていたのですが、それを最後に取り返して勝利に結びつけたことが良かったです。インターハイ予選で負けてからはもう一度ディフェンスを見直し、下級生のセンターが台頭してきたことでチームバランスが良くなりました」と選手の頑張りをたたえていた。また、ウインターカップに向けては「全国に出れば身長が低いので、高さに対しての練習をして臨みます」と決意を新たにしている。

 明成も聖和も下級生にサイズのある成長株がいるため、ウインターカップまでにはもうひと伸びして面白いチームになりそうだ。

2年ぶりに男女アベック優勝を遂げた仙台大明成 [写真]=小永吉陽子

●注釈
(※)東北ブロックは冬の新人大会と夏のブロック大会が行われなかったため、男女ともに登録数のもっとも多い宮城県が東北ブロック枠を獲得。

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