2024.08.10

悔しくも、冬につながるインハイ準優勝…快進撃を見せた美濃加茂は「また一から」栄冠を目指す

快進撃の末に準優勝を果たした美濃加茂高校[写真]=佐々木啓次
フリーライター

 8月9日に閉幕した「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」で、美濃加茂高校(岐阜県)は快進撃を見せた。

 決勝戦では東山高校(京都府)に屈した。それでも、前回大会の1回戦で敗れた北陸学院高校(石川県)との初戦を制すと、準々決勝では開志国際高校(新潟県)、準決勝では福岡大学附属大濠高校(福岡県)を撃破。優勝候補を倒して最終日まで戦った姿は、間違いなく今大会のハイライトの1つだ。

 あと 1勝すれば、初の決勝進出で初優勝という最高の結末が待っていた。しかし、東山はこれまで何度も準優勝に泣いてきたチーム。優勝への“飢え”では、相手の方が上回っていた。

「もう少しガツガツいければよかったですけど、こっちが受け身になってしまいました。私が選手たちを開き直らせるべきでしたし、相手の方が一枚も二枚も上手だったような印象です」

 敗れた林龍幸コーチは悔しさを吐露したが、初めての場所にたどり着いたからこそ見えた景色もある。

「ここまで来れたことですごい経験値を得ることができました。選手たちは今までにない連戦を経験して疲れていると思いますが、これからの練習が本当に楽しみです。心と体をリフレッシュして、また一から、燃えてくる闘志みたいなものが出てくればいいかなと思っています」

 優勝をかけた大一番は追いかける展開を打破できず、最終スコア62-78。これまでの試合で決まっていた思いきりのいい3ポイントシュートもリングに嫌われ続け、決勝では22本中2本のみの成功にとどまった。

悔しがりながらも確かな成長を感じたという美濃加茂の関[写真]=佐々木啓次


「本当に悔しいです。でも、次につながる、自分たちが成長できる試合になったかなと思います。今大会はアウトサイドシュートがよく決まったことで勝ち進んでこれた部分もありましたけど、今日みたいに自分たちのシュートが入らない試合、時間帯でどうするのか。そういった課題が見つかった大会にもなったと思います」

 そう振り返ったのは、3年生の関健朗。「まずは相手のエース格やポイントゲッターを止めること。オフェンスではチームが苦しい時間帯に3ポイントとかドライブで助けること」と自身の役目を語る背番号7は、試合終了残り13.5秒にファウルアウトでコートを去った。でもそれは、死にもの狂いで足を動かし続けた証でもある。マークについたのは、東山を日本一へ導いた瀬川琉久(3年)だった。

「止めたとしてもアシストをさばけますし、自分でクリエイトしてシュートまで持っていくこともできる。やっぱり自分が今までついてきたマークマンの中で1番レベルが高かった選手でした」

 世代を代表するトッププレーヤーのすごさを肌で感じた関も、指揮官の言う「すごい経験値」を積んだ1人だ。今年から不動のスタメンに抜擢され、開志国際戦ではフル出場で勝利に貢献。準決勝の福大大濠戦では3本の3ポイントを含む17得点の活躍を見せた。

「去年はあまり試合に絡むことができなくて個人的にも悔しい1年間でしたけど、今年は新人戦の時からいろんな経験を積んで成長できたと思っています。でも、今のままじゃ絶対に冬も優勝できないので、これからもっとチームでハードワークして、冬は絶対に日本一を取れるように頑張っていきたいと思います」

 悔しいけど、うれしい。やっぱり悔しい。そんなインターハイ準優勝という結果を持ち帰り、美濃加茂はまた次の目標へ向け、一歩ずつ、確実に歩みはじめる。

ウインターカップでのリベンジを誓う美濃加茂[写真]=佐々木啓次


取材・文=小沼克年