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『B MY HERO!』
「顔がこわばってるというか、やっぱり慣れてないというのがありましたね」
8月4日から9日にかけて熱戦が繰り広げられた「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。初戦となる2回戦の聖カタリナ学園高校(愛媛県)との試合をこう振り返ったのは昭和学院高校(千葉県)の鈴木親光コーチだ。
試合は、動きに硬さが見られた昭和学院が第1クォーターから3点のビハインドを負う展開に。それでも第2クォーターにはプレーに好不調の波がありながらも逆転に成功すると、落ち着きを取り戻した後半には分厚い攻撃を披露し、一気に点差を広げた(92-60)。
試合後、「緊張のあまり何をしているのか分からないような感じで前半が進んでいったと思います」と、鈴木コーチは語った。無理もないだろう。「自分たちは全国大会が初めてなので、それに圧倒されて出だしが全然うまくいきませんでした」と、キャプテンの月松蒼(3年)が言うように、チームとしては55回の出場を誇るが、インターハイ出場は実に3年ぶり。ここ2年はインターハイだけでなくウインターカップでの出場も果たせずにいたため、選手にとっては初の全国大会だったのだ。
これでチームの目標であるベスト4入りを果たした昭和学院。インターハイ2連覇中の京都精華学園高校(京都府)との準決勝では、最終的に70-75で敗れたものの前半は4点リード。逆転された後半も第3クォーターの終盤まで僅差の戦いを演じるなど、前回覇者に一歩も引くことはなかった。
準決勝後、鈴木コーチは「今日も最後は単発(な攻撃)だったのですが、少しチームとして何かをやろうという雰囲気が見えてきたのが最近。6月の関東大会の頃より少しは我慢できるようになったと思います。ただ、今日(準決勝)の第3クォーターのように自分でどうにかしようという気持ちがあるのはいいのですが、我慢しきれなくなったときに少し協力をしてほしかったですね」と、6月以降のチームの成長と、それを踏まえた上での課題を語った。
今回のインターハイを経て、チームは8月31日からはじまる「U18日清食品トップリーグ2024」の出場が決まった。約2カ月間にわたって行われる全国トップチームとの対戦は、チームにとって、また選手個々にとっても大きな経験となるだろう。
福岡の地で『昭和学院健在』のインパクトはしっかりと残した。自信にもつながった夏の戦いをプラスに、『最強の初出場軍団』は冬のさらなる飛躍を誓った。
取材・文=田島早苗