Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
「得点については毎シーズン意識しているのですが、今シーズンに関しては『空いたら打つ』ということを特に意識していて、シュートが入る、入らないに関係なく、自分のリズムで迷わず打つようにしています」
開幕からスターターの司令塔として出場している富士通レッドウェーブの町田瑠唯。ここまでの10試合で放ったシュート本数は3ポイントシュートが30本で、2ポイントのシュートは50本。これは昨シーズンの数字と比べて特段多いというわけではないのだが、今シーズンは、それまで以上に積極的にシュートを放っている印象が強い。その疑問に対しての本人の答えが上記のコメントだ。
指揮を執るBTテーブスヘッドコーチも、「町田とは8年目。伝えてることはずっと同じです。オフェンスで積極的なプレーをしないと、好きなパスばかりになったらチームはマイナスになるということ。でも、最近の彼女の全体的な印象としては、オフェンスの姿勢があって、きちんと(やるべきことを)やってくれていると感じます」という。
町田といえば、東京オリンピックでオリンピック新記録となる1試合18本のアシストをマークするなど、アシストが得意。本人も味方のシュートを演出するそのプレーが大好きだ。
「今シーズンはシューターが増えましたし、3ポイントシュートの確率のいい選手が多い。その中でどうやってその選手たちを生かすかとなったときに、自分がまず得点を取らないとみんなを生かせないなということを強く思ったのが一番だと思います。それにシュートタッチなど、自分の(シュートも)感覚的に悪くないので、その感覚である以上は打ち続けたいなという気持ちもあります」
シューター以外にもポイントガードが点を取れば、相手ディフェンスは的が絞りにくくなる。自身が点を取ることで3ポイントシュートを得意とする林咲希や宮澤夕貴らが生きてくるのだ。だからこそ、「私が点を取りたいというよりは、みんなを生かすために私が点を取らないといけないという感じですね」と、言う。
ランキングで1位に付けているアシストについてはもちろん、今シーズンは、自らが得点をすることでより一層、味方のシュートチャンスを増やしたいと強く考えている。
ディフェンスに目を向けると、隙あらばスティールを狙うタフなプレーは健在。今年は5月から参加していた日本代表の合宿中に手を負傷し、その後は富士通でリハビリとなったが、「手のケガだったので足は動かせましたし、フィジカル面などはリハビリで結構やってきてました」と、町田。そのため、多くの練習時間を割いたディフェンスについても、「今シーズンやれていることの一つでもあるのかなと思うので、これがどの相手でも継続としてやれるようにしていきたいです」と、語った。
もともとディフェンスには定評があるが、その町田のディフェンスについてテーブスHCは面白い表現で評してくれた。
「ピックのディフェンス、オンボールディフェンスが一番うまいですね。もう猫みたい。スクリーンに引っかからないから、いい意味で猫です。町田が転んだところをあまり見ないと思いますが、それはバランスがいいから。それはこれまでと変わらないです」
オフェンス、そしてディフェンスでも存在感を発揮する町田。だが、自身の出来については「コンディションはいいです。だけど、プレーについてはまだまだというか…。ミスの多さなどは修正しなくてはいけないなと思います」と、言う。また、そのほかの修正点についても「ミスだけでなく、挙げればいろいろ出てくるんですけどね(笑)」と、苦笑いを浮かべた。
11月11、12日に行われたデンソーアイリスとの2連戦を1勝1敗で終え、「1つ勝てたことは大きかったし、チームにとって自信になります。次につながる勝ちだったと思います」と、力強く発した町田。11月18、19日には昨シーズンの覇者・ENEOSサンフラワーズとの対戦が控えている。
「ガードの選手たちが得点にからむことが多いので、インサイドはもちろん、ガード陣の得点をしっかり抑えること。それと走り負けしないように、ガンガンやっていきたいです」と、富士通が誇る司令塔は、決戦に向け抱負を語った。
文=田島早苗