2024.02.28

ENEOS岡本彩也花はリーグ再開2連戦で流石の働き…「思い切りシュートを打つのが自分の仕事」

得意の3ポイントシュートでチームの危機を救った岡本彩也花 [写真]=ENEOSサンフラワーズ
フリーライター

 約2カ月にわたる中断期間を経て、2月23日から再開したWリーグ。2月23〜25日の3日間で全14チームが熱戦を繰り広げた。

 埼玉県の川越運動公園総合体育館で東京羽田ヴィッキーズとの2連戦に臨んだのはENEOSサンフラワーズ。OQTに出場した女子日本代表宮崎早織の地元で凱旋試合となったが、24日の初戦は接戦を強いられてしまう。

 序盤から渡嘉敷来夢、宮崎早織らを起点にバランスよく得点を挙げたENEOSだが、東京羽田の髙原春季、栗林未和、千葉歩らに得点を許し、第1クォーター終了時のリードはわずか1点。第2クォーター以降も様相は変わらず、ENEOSは度々、東京羽田を引き離そうとするが、その度に東京羽田の追随に遭う展開を強いられる。7点リードで迎えた後半出だしも、東京羽田に連続得点を許し、開始4分には同点に追いつかれてしまった。

 相手に流れを持っていかれそうなこの場面で気を吐いたのがENEOSの岡本彩也花だ。同点とされた直後にこの試合1本目となる3ポイントシュートを決め返すと、これを皮切りに『岡本vs東京羽田』の3ポイントシュート合戦となる。

 岡本が最初の3ポイントシュート直後、東京羽田は千葉が3ポイントシュートを決めて再度同点とする。だが、すぐに岡本がお返しの3ポイントシュート(2本目)を沈めて再びリード。すると東京羽田も髙原が3ポイントシュートを決め返し、さらには本橋菜子のアシストから星澤真の2ポイントシュートも決まる。これでENEOSは反対に2点のビハインドを負うことになる。

 しかし、ここで岡本が3本目の3ポイントシュートを鮮やかに決めて、会場もどよめく。その後は互いにシュートが枠を捉えなかったが、第3クォーターの残り約2分半のところでは岡本の4本目の3ポイントシュートが決まり、チームに漂った悪い流れを断ち切った。

 ただ、この試合は東京羽田のハードなディフェンスなど粘りの前に終盤まで我慢の展開に。最後はフリースローで加点し、辛くも68−62で東京羽田を振り切った。

「久しぶりの試合でしたが、チームとしてやるべきことがなかなかできず、自分たちのペースに持っていくことができませんでした。(後半は)私やタク(渡嘉敷)やモエコ(長岡)、ユラ(宮崎)と経験あるプレーヤーたちが引っ張っていかないといけないという気持ちを持って交代で入ったので、積極的に3ポイントシュートを打とうと思っていました。その前に3ポイントシュートを外してはいましたが、自分の仕事は3ポイントシュートを打つこと。思い切り打つことを意識しました」と、試合を振り返った岡本。「冷静にプレーできていました」と、さらっと語るあたりは、さすが14シーズン目のベテランといえるだろう。

「こういった場面はこれまでもあったので、メンタル的に慣れているし、今までの経験が生きたと思います」という岡本は、一昨シーズンの終盤に膝のじん帯断裂という大ケガを負い、昨シーズン中盤に復帰。今シーズンは開幕から元気な姿を見せていたが、プレータイムはそこまで多くはなかった。それでも、「(ベンチから)試合を見ていて、自分が出たらどうするかを考えていたので、いい勉強になりました」という。また、「ケガから復帰して、やっと自分の思うように体が動いてきたなという感覚があるので、そこは(復帰した)昨シーズンとは少し変わってきたところかなと思います」と、頼もしい言葉も聞かれた。

 ENEOSは、主軸で得点源のガード、星杏璃が日本代表活動中(2月上旬)にヒザのじん帯断裂のケガを負い戦線離脱となった。昨年11月には藤本愛瑚が同じく膝のケガで戦列を離れているため、台所事情は苦しい。

「得点能力のある2人がいないのは大きいし、周りの選手も今まで以上に負担が大きくなると思います。そこを私が後から(試合に)出て流れを変えるなどしてチームに貢献できればいいなと思います」と、岡本。

 翌25日は、それまで全試合でスターターを務めていた高田静が前日のケガで不出場となったこともあり、岡本は今シーズン初となる先発出場を果たした。試合では3ポイントシュート4本を含む14得点をマーク。3スティールなど攻防において勝利に貢献した。

「ケガをした選手も多いですが、選手みんなが『自分が試合に出る』という自覚持ってコートに立つことが大事だと思います。1️試合1試合、どんどんいい試合ができればいいなと思います」(岡本)

 レギュラーシーズンは残り6試合。その後プレーオフと進み、シーズンは佳境に入る。チームの状況は決して良いとは言えないが、だからこそ、岡本のような経験豊富なベテランの力が必要になる。

東京羽田との2試合目には先発でコートに立った岡本 [写真]=田島早苗


文=田島早苗