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『B MY HERO!』
「ケガをしている選手が多い中、今はスタートで出させてもらっているので責任は感じています。でも、(上位チームを相手に)勝った試合でコートに立っているということが今までなかったので、そこは自分の中では成長の一歩だと感じています」
3月9日、デンソーアイリスに81-69で勝利したENEOSサンフラワーズの三田七南は、このように試合の感想を語った。
ENEOSは、2月に日本代表候補選手として代表活動に参加していた星杏璃が膝の靱帯断裂という大ケガを負い戦線離脱を余儀なくされた。その星に代わって後半戦からスターターとして奮闘しているのが3年目の三田だ。
ただ、9日のデンソー戦には勝ったものの、「コートに出て活躍するというところまではまだいっていなくて、『うまくいかないな』ということを今日の試合では感じました。チームが勝てたことはすごくうれしいですが、もう少し自分のできることがあったのではないかと思っています」と、三田。
さらに当面の課題として「ボールを持ったら迷わずにリングを見ること。まずは自分のシュートを狙っていい、思い切りいっていいよと言われているので、今日は1本だけ3ポイントシュートが入りましたが、それ以外はパスを探してしまう場面があったので、そこは改善していきたいです。あとはディフェンス。(赤穂)ひまわりさんに付いていてファウルアウトしてしまいましたが、もう少しアグレッシブにディフェンスをしたら何回かは点を抑えられたのではないかなと思っています」とも語った。
レギュラーシーズンの終盤、順位争いも激しい中で上位チームとの戦いに身を置いた三田にとっては、「前回はアンさん(星/171センチ)がひまわりさん(184センチ)とマッチアップして身長差があったのですが、そこは(177センチの)私なりにカバーできる点だと思っているし、フィジカルもそこまで負けていないと思っています。だからあと少し、“ちょっとずつ”を頑張らないといけないなと感じました」と、トップ選手との対戦で得るものは多かったようだ。
「タクさん(渡嘉敷来夢)とのハンドオフからの3ポイントシュートというのは今シーズンは何回かやっていました。それはタクさんが私がシュートを打てるようにディフェンスを抑えてくれているからで、そこで思いっきり打つことができましたし、それが入ったことは自分の中ではとてもうれしかったです」(三田)
先にも挙げたようにケガで不出場の星は、三田にとっては昭和学院高校(千葉県)での2学年上の先輩にあたる。「アンさんが3年生のときに私は1年生で試合にも出させてもらっていたのですが、一緒にプレーをしていて頼りがいのある先輩でした。ENEOSでもその先輩とまた一緒にプレーできるというのは、うれしさと安心感とがありましたね」と、笑顔を見せる。そして星や同じく膝のケガで長期離脱となっている藤本愛瑚らの名前を挙げながら、「試合に出られない人たちの分も、という思いはあります。でも、試合ではそれをあまり重くとらえずに自分のできることをやろうと考えています」と言う。
「もともとは今の私のポジションがアンさんではあったと思うのですが、アンさんのやれることと私のやるべきこととはまた違うと思うので、気負いすることなくやっていきたいです」と、今は自分らしい3番ポジションを模索中だ。
「失うものもないですし、昨シーズンまではそこまで試合に出ていない分、相手にとってはどういうプレーしてくるかわからない選手だと思います。その中で自分のやれるプレーを全力でやるしかないと感じていて、それがチームに勢いを与えられるプレーになればと思っています」
昨年の3x3女子日本代表での活動もプラスとなっている三田。速攻の先頭を走り、リバウンドにも積極的にからむ21歳のオールラウンダーは、佳境を迎えるWリーグのヒロインになる可能性を十分に秘めている。
取材・文=田島早苗