2023.06.26

【アジアカップ展望】前人未到の6連覇なるか…打倒・日本を掲げるライバルをチェック

大会6連覇を目指す女子日本代表[写真]=fiba.com
フリーライター

山場のオーストラリア戦を制して予選全勝で決勝トーナメントへ

 6月26日より、「FIBA女子アジアカップ2023」がオーストラリア・シドニーにて開幕する。日本にとっては6連覇という偉業が懸かるとともに、上位4チームには「パリ2024オリンピック」の予選となる「FIBAオリンピック世界最終予選」への出場権が与えられる大事な大会でもある。

 大会にはFIBAランキング9位の日本をはじめ、中国(同2位)、オーストラリア(同3位)、韓国(同12位)、ニュージーランド(同29位)、チャイニーズ・タイペイ(33位)、フィリピン(同42位)、レバノン(同44位)の8チームが出場する。

 大会は、その8チームが2グループに分かれて予選ラウンドを戦い、各グループ上位チームが決勝トーナメントへと進出し、アジア女王の座を争う。

 グループBの日本は、チャイニーズ・タイペイ、フィリピン、オーストラリアと同グループに。初戦の相手はチャイニーズ・タイペイで、2019年大会の予選ラウンド以来の対戦となる。

 短期決戦となる大会では、初戦がその後の戦いにも大きく影響するとも言われているため、チャイニーズ・タイペイは、先を占う意味でもカギを握る試合だ。恩塚亨ヘッドコーチは、チャイニーズ・タイペイに対して「個人の1対1の攻防を重視してくるチーム。そこでこちらが先手を取ることと、チームで相手の得意な攻撃を封じていくこと。その積み重ねで主導権を握ることができるのではないかと思っています」という。加えて、「出だしが勝負だと思っているので、第1クォーターのワンプレーから、高いエネルギーでチーム一丸となって戦うことを目指します」と、来る戦いを見据えていた。

 そのチャイニーズ・タイペイと続く2戦目のフィリピン戦は確実に勝利をすることが絶対ではあるが、3戦目のオーストラリア戦に向けて試合内容にもこだわりたいところ。

「初戦も大事ですが、オーストラリア戦が山場だと思っているので、オーストラリア戦にいい状態で臨めるように」とは、最年長の髙田真希(デンソーアイリス)。そのため、「1、2戦目から全力で戦い、チームとしてやるべきことを徹底していく大切さやモチベーションを上げていけるようなゲームをすること」が重要だと語る。

 予選ラウンドを1位で通過すると、準々決勝が免除され、決勝トーナメントは準決勝からの参戦となる。準々決勝を休息や調整日に当てることができるため、是が非でも3戦全勝で予選を勝ち抜きたい。

地元開催の今大会で初優勝を狙うオーストラリア[写真]=fiba.com


 おそらく予選1位を懸けて戦うオーストラリアは、昨年の地元開催となった「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022」では見事3位。大声援を受けて2大会連続のメダル獲得となった。

 オーストラリアがアジアカップに参入したのが2017年。FIBAランキングや国際大会の実績でも上を行く国ではあるが、過去3大会のアジアカップでの優勝はない。2017年は決勝で、2019年と2021年はいずれも準決勝で、日本に行く手を阻まれている。そのため、悲願の初優勝をアジアカップ初開催となる地元で達成したいところだ。

 しかしオーストラリアは今大会、実力ある選手たちの多くがWNBAでプレー中のため、ワールドカップからメンバーが大幅に変更となった。そういった点ではワールドカップより劣るのではという見方もできるが、そこは“人材豊富”なオーストラリア。若手の有望な選手からベテランまでをそろえており、日本にとって、あなどれない相手であることは間違いない。

 また、決勝トーナメントのシステムは、準々決勝は①[グループA2位×グループB3位]、②[グループB2位×グループA3位]というたすき掛けで、①の勝者がグループB1位と、②の勝者はグループA1位と準決勝で対戦する。

 決勝トーナメントで対戦する可能性の高いグループAのチームを見てみると、やはり最も警戒するのは中国だ。オーストラリアとは異なり、205センチのハン・シュー(リバティ)らWNBA組が一時、アメリカを離れて中国代表に合流。200センチのリ・ユエルがケガにより不在ではあるものの、戦力をそろえてアジアカップを迎える。

中国代表には身長205センチを誇るハン・シュー(写真左)などWNBA組も合流[写真]=fiba.com


 同じくグループAの韓国は、ワールドカップを欠場したエースのパク・ジス(198センチ)が復帰。昨年のワールドカップではエフィシエンシーで歴代最高値を出したカン・イスルもおり、不気味な存在だ。さらには、着実に力をつけているニュージーランドも注目のチームと言える。

 アジアのライバルたちが打倒・日本で向かう今大会。日本は初戦から指揮官の求める「オフェンスは軽やかにしつこく、ディフェンスはうるさくしつこく」を体現し、予選を全勝、そして決勝トーナメントへと弾みを付けたいところだ。

文=田島早苗

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