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快進撃が続いていた女子日本代表が、グループリーグ第3戦でカナダに35-61で敗れ、初黒星を喫した。カナダとは、2020年2月の国際親善試合「大阪カップ」で対戦していたが、その時との印象は全く異なっていた。果たして、26点差はどこにあったのだろうか。
1年半前の大阪カップでは、カナダには絶対的エースの存在があった。クラス4.5のアリン・ヤンだ。2試合を行って、日本はカナダに連敗。その最大の要因がチーム得点の大半を占めたヤンだった。いずれの試合もカナダに63点を挙げられたが、1試合目は30得点、2試合目も26得点と、ヤンの独壇場とされた。
もちろん、司令塔でボールハンドリングに優れているシンディー・ウエレへの警戒心も怠ることはできなかったが、それでもカナダの最大のスレット(警戒すべき相手)は、ヤンだという印象が強く残っていた。
ところが、今大会ふたを開けてみると、ヤンとダブルエースを組むもう一人の存在がいた。同じクラス4.5のハイポインター、ケイディ・ダンデヌだ。73-54で快勝した初戦のイギリス戦で、ダンデヌはチームで唯一40分間フル出場し、半数近い32得点を叩き出し、勝利の立役者となった。
実は調べてみると、大阪カップの前年8月に東京パラリンピックの予選を兼ねて行われたアメリカ大陸選手権で、彼女はすでにチームの大黒柱の存在だった。アメリカとの決勝ではヤンの20得点を上回り、チーム最多の25得点。さらに10リバウンド10アシストもマークし、トリプルダブルを達成。カナダの優勝に大きく貢献していた。
ところが、その半年後の大阪カップには何らかの事情で欠場していた。そのため、彼女をスカウティングすることができなかったのだ。
さらに、今回はローポインター陣の献身的なプレーも光った。ハイポインター陣のシュートチャンスを演出しながら、自らもカットインして得点を挙げた。そのため得点源が分散されたことで、シュートシーンが得られやすくなっていた。
ただ26点差というスコアは、一見、完敗にも映るが、決してそうではない。日本のディフェンスがしっかりと機能している時間帯は少なくなかった。その証拠に、世界2位のイギリスが73得点を許したカナダに、61得点に抑えている。共同キャプテンの一人である藤井郁美も「全部が全部悪かったわけではない」と冷静に分析する。
では、ここまで開いた最大の要因はどこにあったのだろうか。それは、シュートの精度ということに尽きる。スタッツを見れば明らかで、カナダが打ったフィールドゴールの数は67本。一方の日本も、62本とほとんど変わらない数を打っている。これは日本もしっかりとシュートシチュエーションを作り出せているということの証だ。
ところが、翻って成功した本数を見ると、カナダが27本に対して、日本は16本と明らかに差がある。この差をいかに埋めるかにかかっていると言っても過言ではないだろう。それについて、藤井はこう語る。
「まずはシュートを中途半端ではなく、しっかりと打ち切ること。それを続けていけば、たとえ前半は確率が悪くても、後半には入るようになってくるはず。もしカナダと次当たった時には、その部分を修正していけば、十分に勝負できると思います」
文=斎藤寿子