6時間前

車いすバスケ女子日本代表、大阪カップV逸も収穫…ラインDFと“得点源”の進化で世界選手権へ

大阪カップに参戦した車いすバスケ女子日本代表[写真]=斎藤寿子
フリーライター

 2月20日から22日にかけて、Asueアリーナ大阪で『国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会大阪カップ)』が開催された。

 今大会には日本、ドイツ、オーストラリア、タイの4カ国が出場。総当たりの予選リーグを2勝1敗の2位で終えた日本は決勝に進出し、予選で敗れたドイツと再戦した。2015年以来9大会ぶりの優勝を目指したが、35-50で敗れて準優勝。それでも、9月の世界選手権へ向けた明確な手応えを得た大会となった。

■ラインディフェンスで誘発した31ターンオーバー

 今大会で日本が最重要テーマに掲げたのはディフェンスだった。現在メインとしているのは「ラインディフェンス」。高い位置で5人が横一線に構え、相手の動きを制限。8秒、24秒バイオレーションを狙いながら攻撃時間を削り、タフショットへと追い込むというものだ。

 その狙いは初戦のオーストラリア戦で早くも結実する。日本は54-24で快勝。相手に8秒、24秒合わせて12回のバイオレーションを誘発し、31ターンオーバーを奪った。

 15得点を挙げた網本麻里(4.5)は、背景に事前合宿の成果を挙げる。

「合宿の初日はトーンが下がっていて、みんなボールマンプレッシャーとかコンタクトにいけていなかったんです。それを反省して、しっかりと上げていこうと。地元関西のクラブチームの選手たちにも協力してもらい、40分間トーンを下げずに継続していこうということを意識づけたのが大きかったです」

 高い位置でラインを保ちつつ、個々がプレス同様にコンタクトを仕掛ける意識が浸透したことで、試合開始から守備が機能した。前半は得点が伸び悩んだものの、守備が崩れなかったことで主導権を握り続けた。

ラインDFが機能した日本は郡司が存在感を示した[写真]=斎藤寿子


 その中で存在感を示したのが郡司渚名(4.0)だ。これまではシューターの印象が強かったが、今大会は守備で成長を示した。

「まずはボールマンプレッシャーに速く強くいくことと、ピックをかけにこられてもそれをかわせるくらいのチェアスキルを身に着けることを目標に練習してきた」

 本人は「大事な場面で失敗した部分もあった」と反省の弁を述べたが、25分のプレータイムで5スティールは練習の賜物だった。

土田真由美が示した“内への進化”

 一方、オフェンス面で進化した姿を見せたのが、土田真由美(4.0)だ。

 タイ戦で23得点を挙げるなど4試合中3試合で2ケタ得点。もともとチームでもトップクラスのシュート力を持っていたが、注目すべきは得点数以上にプレースタイルの変化だった。

 アウトサイドシュートを武器としてきた土田が、今大会では積極的にカットインして、インサイドからシュートを狙っていった。最も印象的だったのは、初戦で見せたドライブからのレイアップシュート。ファウルを受けながらもねじ込み、フリースローもきっちりと決めた。これまでのイメージを覆すプレーに、ベンチはもちろん関係者からも驚きの声が上がった。

 しかし、チームを指揮する添田智恵ヘッドコーチ(HC)にとっては想定内だった。「本来、これくらいの力は持っていると思っていました。いつその力を出すのかなと思っていたので、今大会ではしっかりと力を出してくれましたね」。

大会ベスト5に選出された土田[写真]=斎藤寿子


 ドイツのHCから、網本とともに「世界で3本の指に入るプレーヤー」と高く評価された土田。大会前は「ボールを持ってプレーしたことがなかったので、自信は全くなかった」と口にしていたが、今大会では財満いずみ(1.0)とともにベスト5に選出され、大きな自信をつかんだに違いない。

■40分間やり抜くという課題

 チーム全体としては、コート上での判断力や修正力の部分にも手応えが見られた。添田HCは「AOC(IWBF2025アジアオセアニアチャンピオンシップス※2025年11月開催)からすると少しずつ良くなってきているし、苦手としていた選手たちもできるようになってきている」と語った。元安陽一アソシエイトヘッドコーチ(AHC)も「タイムアウトを取らなくても、自分たちでハドルを組んで確認しあって解決できるようになっているなというシーンが何度もあった」と話す。

 一方で、課題も残った。それはプレーの技術や戦略・戦術面だけではない。元安AHCが指摘したのは、大会2日目のドイツ戦の一場面だ。第2クォーターを17-17と互角に渡り合い、26-31の5点ビハインドで前半を折り返した日本だったが、実は1ポゼッション差に追い上げる可能性を自ら逃していた。残り9秒でドイツのシュートが決まり、日本ボールからの再開となったが、誰もエンドラインに転がったボールを追いかけなかった。結局、日本はスローインすることなく9秒が経過し、第2クォーター終了のブザーが鳴った。

「ああいう場面でいかに意識や集中を切らさないかが本当に大事で、勝敗が変わってくる。40分間自分たちがやるべきことをやるというのはそういうことだと思います。37、38分間ではなく、40分間やり抜けるかどうか。そのうえで勝利という結果がついてくるのだと思います」

 手応え、自信、課題といったさまざまな収穫があった今大会。「ここからがスタート」という添田HCの言葉通り、今大会での経験はチーム強化の糧となるはずだ。今年9月に控える世界選手権での目標はベスト4以上。それを2年後のロサンゼルス2028パラリンピックでのメダル獲得への追い風とするつもりだ。

取材・文=斎藤寿子

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