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新生チームUSAが前人未到の五輪9連覇へ向け本格始動…24歳以下の選手で構成されたヤングコア

女子アメリカ代表に選出されたクラーク [写真] = Getty Images

「2028年ロサンゼルスオリンピック」に向けて、USAバスケットボール女子代表が新体制のもと始動した。

 ノースカロライナ州ダーラムで行われたトレーニングキャンプは、明確な転換を告げるお披露目の場となった。今回は、5度の金メダリストであるスー・バードがマネージングディレクターに就任して以降、初めての全体合宿。デューク大学の指揮官であり、代表ではアシスタントからの昇格となったカーラ・ローソン新監督にとっても、代表でのヘッドコーチ職は初の機会となった。

 バードはこの合宿の目的を、こう語っている。

「最初のキャンプで私たち全員が望んでいるのは、“トーンを決める場”にすることです。USAを胸に着けるとはどういうことか、このチームのためにプレーするとはどういうことか。その感覚を共有したいと思っています」

 17名が招集された今回のキャンプでは、10人がシニア代表に初参加。象徴的なのは、平均年齢の若さである。今回招集された選手に25歳以上はおらず、ケイトリン・クラーク(インディアナ・フィーバー)、エンジェル・リース(シカゴ・スカイ)、キャメロン・ブリンク(ロサンゼルス・スパークス)など、WNBAの“次の主役”たちが一堂に会した。

今季WNBA新人王とオールスター選出を果たしたベッカーズ[写真] = Getty Images

 その中心にいるペイジ・ベッカーズ(ダラス・ウィングス)は、新世代を「若く勢いのあるコア」と呼ぶ。また、米代表に参加することについては子どもの頃に描いていた夢の中で生きているような感覚だとし、「すべてを吸収するスポンジのような気持ちで、とにかくこの時間を心から楽しみたいと思っています」と意気込んだ。

 これまでの女子代表は、ダイアナ・トーラシ(元フェニックス・マーキュリー)やブリトニー・グライナー(フェニックス・マーキュリー)といった長年の主軸を中心に、経験値と完成度を重視してきた。だが、国際大会の競争レベルが年々上がるなか、勝ち続けるための世代交代が避けられなくなっていたのも事実だ。

 その背景について、若手の一人であるキキ・イリアフェン(ワシントン・ミスティクス)は世界的な競技レベルの向上にある種の危機感を感じている様子だ。

「私たち若い選手にとって、タフなことであるという自覚があります。アメリカを代表することには、多くの責任が伴うからです。世界中のレベルが上がっています。ベストでいるためには、ものすごく多くのものが必要です。ただ、ひとつ言えるのは、私たち若い選手はこのレベルでプレーするのに何が必要なのかを、確かに理解し始めているということです」

WNBAスター候補のワトキンス[写真] = Getty Images

 今回のキャンプが象徴的だった出来事は、大学生の参加だろう。参加したのは、フレッシュマン最多の920得点を記録した未来のWNBAスター候補であるジュジュ・ワトキンス(USC)と、Big Tenのコーチ投票で満場一致で最優秀守備選手賞に選出されたリムプロテクターのローレン・ベッツ(USLA)。ワトキンスは、ACLのリハビリ中でありながら、トップチームに身を置き、細部へのこだわり、リーダーシップ、コミュニケーションなど、将来に向けて貴重な学びがあったと語っている。

 新女王を任されるクラークも、チームUSAの重積を噛み締めている。

「これまでの道のりを振り返ると、選出されることもあれば、されないこともありました。そうやって、すべてを経験するんです。そして、それこそがUSAバスケットボールがどれほど圧倒的な存在かを物語っていると思います。これまで本当に多くの素晴らしい選手たちが関わり、胸にあの3文字を背負ってきました。だから私にとって、それを当たり前だと思うことは決してありません。こうしてまたここに戻ってこられて、この新しいサイクルをスタートできることに、本当にワクワクしています」

 常勝軍団アメリカのミッションは、ただひとつ。前人未到の五輪9連覇だ。その第一歩が、ダーラムの地で踏み出された。

文=Meiji

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