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「彼女はチームにとってプラス」…WNBAで評価高める山本麻衣、名将ハモンも全幅の信頼

山本麻衣は試合を重ねるごとに存在感を増している [写真]=Getty Images
ロサンゼルス在住ライター

 WNBAラスベガス・エーシズ山本麻衣が、躍進している。デビューを果たした7月29日(現地時間28日)からの6試合では、まだチームのシステムに慣れておらず、接戦だったことなどから2試合の出場にとどまった。だが、連戦だったこともあり主力を休ませた今月10日のニューヨーク・リバティ戦で自己最長の25分44秒プレーし、3ポイントシュート8本中4本を成功させるなど自己最多の16得点、6アシストをマークすると、以降24日時点で全試合に出場し、評価を高めている。僅差の場面でスターター陣と肩を並べて戦う姿も見られ、ベッキー・ハモンヘッドコーチも山本について、「今後はスターターともっと絡ませていくことになるだろうし、スターターとベンチ、その両方のユニットをまとめていく必要がある」と信頼を寄せている。24日のトロント・テンポ戦では、選手たちが自分たちの判断でプレーをコールした場面があり、ハモンHC自身も驚いたと言うが、山本がそれを理解して見事に遂行した姿にさらに感心し、「彼女はなんでもすぐに吸収する。本当に頭がいい選手」と称賛した。同テンポ戦までに出場した全9試合で44.4パーセント(27本中12本)の成功率を記録している3ポイントシュートも「グリーンライト(いつでも自由に打って構わないと言う許可)」を出していると言う。そういった立場になっても、「マークされたらパスを回し、フリーならシュートを打つといった正しい判断ができる選手」と山本を全面的に信用しているからだ。

 山本が3ポイントシュートを決めると、チームメートはツーハンドで打つ3ポイントシュートを真似て大喜びする。山本が試合後、中継局のインタビューに呼ばれると、まだ英語を話すことに慣れていない山本をエイジャ・ウィルソンらエーシズの主力が囲んでサポートした。

 世界最高峰の舞台で着実に前進している山本に、14日のワシントン・ミスティクス戦の朝に行われたシュートアラウンド後、話を聞いた。

■活躍を喜ぶチームメートとスーパースターたちのサポート

WNBAのスーパースターたちがインタビューを見守る [写真]=Getty Images

――前戦のミスティクス戦(3ポイントシュート3スティール)とその前のリバティ戦(16得点6アシスト)、2試合続けて期待に応えられたと思いますが。
山本 
リバティ戦も前の試合も、3人(主力のウィルソン、チェルシア・グレイ、ジャッキー・ヤングリバティが休養)がいなかったり、デイナ・エバンス(オフに負った左足の故障の影響でミスティクス戦に欠場。エバンスは以降も欠場している)がいなかったりで、常に準備はしていますが、この2試合に関しては、自分がセカンドのガードとして出ることがわかっていたので、しっかり準備して臨めました。

――山本選手が活躍すると、チームメートもすごく盛り上がりますね。
山本 
本当にうれしいですね。私も英語は完璧に話せませんが、何かしらチームを助けたいと思っているので、自分が出て活躍することでチームに勢いを与えたいです。

――チャンスをものにして信頼を得ていると言う、今の状況についてはいかがですか?
山本 
信頼を得ているかどうか、自分では判断できませんが、自分のできることを少しずつ着実に行っていき、評価されていけば信頼も得られると思います。まずは自分のやるべきことにしっかりフォーカスして行っていきたいです。

――山本選手は、コートに出ているときもいつも落ち着いて見えます。
山本 
最初はやっぱり緊張しましたけど、今はそんなに感じません。チームの状況や雰囲気も、もう大体わかったので、そこはあまり緊張せずにできていると思います。

――WNBAのレギュラーシーズンを戦って、フィジカリティに関してはどのように感じていますか?
山本 
当たり負けと言うより、体重負けだったり、やはり身長の差はどうしてもかなわないので、やられる前に自分ができることをやりたいと思っています。

■自分のスタイルをやり抜く…こだわりのツーハンドシュート

――前戦のミスティクス戦の第4クォーターで、一度下がって最後にもう一度出場する前に、ベンチでハモンHCから一対一で説明を受けていました。あれはどんな話だったのですか?
山本 
あれは最後のリセットタイムアウトの後に出るときのプレーについて説明してもらっていました。

――あのミスティクス戦でも、僅差の場面でプレーしていました。コーチの指示の理解などには、もう問題ありませんか?
山本 
そうですね。バスケット中は問題ありません。

――ハモンHCは名将ですが、どんなコーチですか?
山本 
本当に尊敬できる部分が多く、落ち着いていて、叱るべきところや本当にやらなきゃいけないところをしっかりと強調して厳しく言います。でも、そのあとすぐに切り替えて次の指示を出していて、感情だけでコーチングをしていないと言う点については、ベッキーを見てすごく感じるので、心強いですね。

練習中に笑顔を見せる山本 [写真]=山脇明子

――ここWNBAでプレーし、学んでいることによって、日本代表や日本に戻ったときに伝えられることはありますか?
山本 
そうですね。アメリカは(国際大会で)何回も優勝していて、バスケがこれほどまでに強いので、そのなかで学ぶこと、特にスキル以外で学ぶことがたくさんあります。そういった部分が日本がこれから強くなるために重要だと思うので、そういう部分は伝えていけると思います。

――このチームは、過去4年で3度優勝した強豪です。勝つことが普通と思われているようなチームですが、そういったメンタリティのようなものを感じますか?
山本 
感じますね。やはりみんな意志が強いと言うか、やられたら絶対にそのまま終わらないし、そういう一つ一つの競争ではないですけど、そういうのを強く感じます。

――山本選手が3ポイントシュートを決めたときには、みんながツーハンドのフォームを作って喜ぶ姿がエーシズのお決まりのようになっていますが、ああいうふうにみんなが喜んでくれるのはいかがですか?
山本 
うれしいですね。日本で今、ツーハンド、ワンハンド論争なども結構あると思うのですが、やはり活躍して認めてもらうのが一番だと思うので、そこはやり抜くこと。もう自分はこのスタイルでやってきたから、このスタイルをやり通すし、それで認められたらそれでいいと思うので。やはり真似してくれると言うのは、すごく認めてもらっている証拠でもあると思うので、本当にありがたいです。何か、シグネチャーみたいになってうれしいです。

――チームメートのリアクションを見ていると、同じスタイルでなくてもいい、自分のやり方で自分が気持ちよくプレーできて結果を出せればいいとすごく感じます。
山本 
そうですね。いろんなことを言う方はたくさんいると思いますが、やはり「やり抜く」ことがすごく大事だと思います。どんなことでも、いいことをやっても、それを続けなかったり、やり抜かなかったら、ここまで来られないと思います。方法と言うより、そういうところが大事だと思います。

――山本選手はバスケットを始めたときからツーハンドで学んできたのですか?
山本 
そうです。1回ワンハンドに挑戦したことがあったのですが、プロに入ってからのことで、結果を残していかなきゃいけない時期だったので、時間をかけて直している時間がありませんでした。

――山本選手からツーハンドの利点を挙げるとしたら、どのようなところですか?
山本 
クイックに打てるところだと思います。日本人の小さい選手はスピードが命なので、そこは速いと思います。

■ワールドカップの懸念を解決する山本の存在

 バスケットボール女子は、9月4日からドイツでワールドカップが開催され、エーシズからは日本代表の山本と、オーストラリア代表のステファニー・タルボット、そしてウィルソンとグレイ、ヤングがアメリカ代表と、5人が出場する。ハモンHCは、「(リーグが中断する間)実戦感覚を維持するいい機会だし、普段このチームでは得られないようなプレー時間を確保し、調子を上げた状態で再びチームに戻ることもできる」と利点を挙げながらも、ほかのチームよりも多くの選手を送り込むことで「間違いなくこのチームの(選手の)負担は大きいと言える」と語る。普段から「選手の健康が何よりも大事」と話すだけに懸念を抱くのも無理はない。

 だが、そういった心配も含めてチームが取った行動が、山本の獲得だった。

「彼女の存在はチームにとってプラスになっている。周囲の選手にとっても、彼女がプレーの起点となってくれることで、それぞれの役割がこなしやすくなっている」とハモンHC。

エーシズを3度WNBAチャンピオンに導いたハモンHCの信頼も厚い [写真]=Getty Images」

 山本は、エーシズを円滑に機能させるハブとして、不可欠な存在となっているのだ。

文=山脇明子

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