2018.01.29
2013-14シーズンから3シーズン連続でアトランティック・ディビジョン1位の成績を残し、過去4シーズン連続でプレーオフに進んでいるトロント・ラプターズ。今季も1月19日(現地時間18日)終了時点で30勝13敗、イースト2位という好位置につけているラプターズは、イースト有数の強豪と言っていい。
チームの主軸はデマー・デローザンとカイル・ラウリー。過去2年連続でオールスターに出場しているガードデュオは、今季も好調をキープしており、チームもここ10試合で7勝3敗と、順調に勝ち星を重ねている。
意外にも、今季開幕時点でラプターズの戦力を疑問視する声があった。昨季終了後、ベテランのコリー・ジョセフやデマーレイ・キャロル、パトリック・パターソン、P.J.タッカーが退団し、トレードで獲得したC.J.マイルズを除くと補強はほぼなしというオフシーズンだったからである。そのため、今季を迎えるにあたり、先発陣と比較するとベンチにはキャリア2、3年目の若手ばかりという状況だった。
しかし、開幕して約3か月が経過した1月19日(同18日)現在、ラプターズは攻防両面でリーグ上位の成績を残している。リーグ全体で、オフェンシブ・レーティング(100回の攻撃機会における平均得点)で110.3、ディフェンシブ・レーティング(100回のディフェンスにおける平均失点)は102.7と、いずれもリーグ4位にランクインしている。
昨季までは、デローザンとラウリーによる1対1が多かったものの、今季は平均アシスト数でリーグ11位(22.8本)を記録。昨季(平均18.5本でリーグワースト1位)と一昨季(平均18.7本でリーグワースト2位)と比べれば大きな上昇である。
心配されたベンチ陣も先発陣を支えることができている。デロン・ライトやヤコブ・パートル、パスカル・シアカム、フレッド・バンブリートらは、NBA入りからラプターズに所属し、Gリーグ(下部リーグ)で経験を積んできた選手たちであることもその要因の1つとなっている。
今季はデローザンが3ポイントシュートをレパートリーに加えつつあり、相手チームにとって昨季以上にダメージを与えることのできる選手へと成長。デローザンと共に先発を形成するラウリー、サージ・イバカ、ヨナス・バランチューナス、ルーキーのOG・アヌノビーに長期欠場もなく、今季は健康にプレーできている。
だが、このチームはプレーオフに入るとなかなか勝ち続けることができず、昨季はイースタン・カンファレンス・セミファイナルでクリーブランド・キャバリアーズにスウィープ負け。一昨季こそイースタン・カンファレンス決勝でキャブス相手に2勝4敗と善戦したものの、「このチームでは勝てない」と何度も批判を浴びてきた。
昨季のプレーオフを悔しい形で敗退したため、チームを解体することもできた。しかし、ラプターズのマサイ・ウジリ(ジェネラルマネジャー)はコアメンバーを残し、マイナーチェンジのみを施し、チームは成長を遂げたのである。
ただし、現在こそ好調でも、まだ何も結果として残してはいない。ラプターズ就任7シーズン目の指揮官、ドウェイン・ケイシーは現地メディア『USA Today』に対して、このように答えている。
「我々は、どのようにして(自分たちが)望むようなプレーとスタイルを作り出すことができるかを入念に考え、進歩することができている。私はよく選手たちに、ディフェンス面でやっていることに対して『もっと良くなることができるぞ』と言っている。オフェンス面では、3ポイントシュート成功率をアップさせれば、『我々のオフェンスはもっと良くなるぞ』と言っている。それが少し実を結んだだけ」とチームの現状を語る。
「俺たちは戦うだけさ」と淡々ながらも競争心を持ってプレーするデローザンをはじめとする選手たちと、「コーチとして、満足することなどありえない」と語るケイシーHC。
ラプターズの戦いはまだまだ続く。今季こそ、イーストを制することができる最大のチャンスなのかもしれない。
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