2018.02.09
バスケットボールを会場で見ていると、思わず観客から歓声が沸き起こるプレーがある。
豪快なダンク、鮮やかな3ポイントシュート、華麗なボールハンドリング、勝負どころで飛び出すクラッチショット、針の穴に糸を通すかのように正確無比なアシスト。毎試合、生で見ることができるわけではないものの、いずれもハイライトシーンに残るようなプレーだ。
そして、相手を戦意喪失させてしまうような豪快なブロックショットもその1つと言えるだろう。相手選手がリング下でレイアップシュートを放つも、正面から狙っていたかのようにたたき落とすブロックや、背後から目にもとまらぬ速さで追いつき、豪快にボールをコート外へと飛ばしてしまうような“チェイスダウン・ブロック”は迫力満点である。
そこで、1月23日(現地時間22日)に現地インターネットサイト『HOOPSHYPE』へ掲載されていた記事を紹介したい。その名も、「エリートショットブロッカーになるためのカギは何だ? NBAのベストリムプロテクターたちがその秘密を語る」。
現役選手の中でも、ブロックショットに定評がある選手たちが話したブロックショットのコツをお届けしよう。
■ルディ・ゴベア(ユタ・ジャズ)
プライドを持つこととポジショニング
今季は規定数未満ではあるものの、平均2.38本でリーグトップのブロック数を浴びせているジャズの守護神。昨季は自身初となるブロック王(平均2.6本)にも輝いており、今季を含めた直近4シーズンすべてで平均2.2本以上を記録。
ただ、ゴベアにとってブロックすることがすべてではない。「もし俺がショットをブロックできれば、それはいいこと。でも、俺のゴールはブロックするかどうかではなく、良いディフェンスをすることなんだ。良いディフェンスが、(相手チームの)バッドショットまたはターンオーバーを生み出すからね。たまに(相手選手が)俺を見てショットを打てないときもある。誰かにパスしようとするのさ(笑) それは相手にとっては悪い形でオフェンスを終えてしまうものだ。ショットをブロックするのは大好きだけど、精神的なプレッシャーを与えている。それが俺にとって最も重要なことだ」とゴベア。
そして「ブロックで大切なのはプライドを持つこと。それがなければディフェンスで相手をストップできないし、きっとプレー中にあきらめてしまう。そして良いポジショニング。それは角度が全てなんだ。もし相手が右手でシュートしようと向かってきたら、左手を使ってブロックするんだ」と自身の考えを述べた。
■ハッサン・ホワイトサイド(マイアミ・ヒート)
相手がボールを持つ手とは逆の手でブロックを狙うこと
マーシャル大でプレーした2009-10シーズンに、平均5.4ブロックを記録した生粋のショットブロッカー。NBA入り後の15-16シーズンには、平均3.68本のブロックをたたき出し、自身初のブロック王となった。この数字は00-01シーズンのティオ・ラトリフ(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)が残した平均3.74本以来の好記録となった。ホワイトサイドはブロックショットにおけるカギについて、このように話している。
「優秀なショットブロッカーにとって、1番のカギとなるのはポジショニングだ。ボールの前にいるようにすること。相手が右手でボールを持っていたら、左手を使ってブロックするんだ。相手が左手で持っていたらその逆。ブロックは常に(相手と)反対の手でするんだ」とホワイトサイド。そして「映像を何度も見返すことも大事だけど、試合で得た経験は本当に良い教訓を与えてくれる」と続けた。
■マイルズ・ターナー(インディアナ・ペイサーズ)
タイミングと予測
3シーズン目をプレーするビッグマン。昨季は平均2.1本、今季はここまで平均2.2本のブロックをマークしている。ターナーは「ブロックのカギは、タイミングと予測。具体的に教えることはできないな。ものすごくタフなんだ。僕の場合、相手がドライブしてきたら、まずボールをファンブルさせようとするんだ。次にブロックを狙う。ボールをコントロールできなくなったら、たいていはバッドショットを放つしかないからね」。
■クリスタプス・ポルジンギス(ニューヨーク・ニックス)
正しいポジショニングとタイミング
キャリア3シーズン目、まだ22歳のラトビア出身選手。221センチの長身とクイックネスでコート上を駆け回り、ペイント内をパトロールする。3シーズンすべてで平均1.9ブロック以上を記録。今季はここまで平均2.34本でリーグトップとなっている。
「優秀なショットブロッカーになるためのカギは、ディフェンス時に正しいポジションをキープし、全体の状況を見ること。そして適切なタイミングでジャンプできるようにして、たたき落とすこと。あとは、自分自身の長さや運動能力をどのように使えば最も効果的なのかを明確に知っておくこと。ただ、ショットブロックで最も重要なのはタイミングだと思う」とポルジンギスは語った。
■ドレイモンド・グリーン(ゴールデンステート・ウォリアーズ)
ポジショニングとローテーションを事前に映像でチェック
201センチながら、パワーとスピードを兼備しており、リーグでプレーするすべての選手をガードできる希少なディフェンス力を誇る。昨季、最優秀ディフェンシブプレーヤー賞に輝いたグリーンが考えるブロックショットのカギとは?
「エリートショットブロッカーになるためのカギは、ポジショニングとタイミング。ほとんどの時間、正しいポジションにいるようにすることだ。事前に映像で相手選手の傾向や特徴を知っておくこと、それをふまえて相手よりも一歩先に動くこと」とグリーン。また、「ショットブロッカーとして進歩したい人に俺がアドバイスするとしたら、ポジショニングとローテーションを映像でチェックしておくことかな」とコメントしている。
■ケビン・デュラント(ゴールデンステート・ウォリアーズ)
タイミングと恐れないことが大事
昨季はレギュラーシーズンとファイナルで平均1.6本と自己ベストを記録し、今季はここまで平均2.1本と自己ベストをさらに更新。チームとしても、昨季は平均6.8本、今季はここまで平均7.9本と、リーグトップのブロック数を記録している。デュラントにとって、ブロックショットのカギとは何なのだろうか。
「重要なのはタイミング。あとは相手選手がハイライトシーンに出てきそうなダンクをしてこようと恐れないこと。恥ずかしがることなんてない。その2つがあれば、きっとうまくなる」とデュラントは語った。
ちなみに、昨年10月21日(同20日)のニューオリンズ・ペリカンズ戦でキャリアハイの7ブロックをマークしたデュラントだが、自身にとってキャリアベストの“ブロック・パーティー”ではないようだ。
「1試合の中で最もブロックショットを見舞ったのは、(高校)2年生の時に記録した11本だね。ただ単に、ブロックすることになっていただけ。俺の仕事なのさ」
デュラントはさらりと言ってのけた。
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