Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
メンフィス・グリズリーズのアンドリュー・ハリソンと、サクラメント・キングスと提携するGリーグ、リノ・ビッグホーンズに所属するアーロン・ハリソンは、アーロンが1分早く生まれた双子だ。
小さい時からいつも2人で遊んでいた。男の子だから勝負をかけた遊びが大好きで、バスケットの1対1は2人が最も好きなことだった。これが始まると親が「そろそろ中に入りなさい」と呼ぶまで、いつまでも勝負をしていた。終了のルールはなし。親に呼ばれた時と、2人ともへとへとになった時が終わりの合図だった。真剣勝負だから、常に100パーセントの力で、最高のレベルで戦う。それが、ハリソン兄弟の勝負だった。
そんな日々の繰り返しが、2人を大きく成長させた。高校生になると、そろって全米トップクラスの選手となった。さまざまな大学から勧誘があったが、2人が違う大学に行くことは選択肢になかったという。「『同じ大学に行こう』と話し合ったわけではない」とアンドリュー。同じ大学に行くのが当たり前という意識が自然にあったそうだ。ケンタッキー大学在学中にはアンソニー・タウンズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)、ジュリアス・ランドル(ロサンゼルス・レイカーズ)、デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)、ウィリー・コーリー・スタイン(キングス)らとプレーし、「毎日の練習が争いだった。高いレベルでプレーし続ける環境にいられたのは、本当に良かった」とアンドリューは振り返った。
2年生のシーズンを終えると、2人は次のステップ、NBAへ進むことを決めた。ここからが2人の別れ道となった。2015年のドラフトで、アンドリューはサンズから2巡目全体の44位で指名されたが(同日中にグリズリーズへトレードとなった)、アーロンはドラフト外に終わった。だが、NBAデビューはその後シャーロット・ホーネッツと契約したアーロンが先で、アンドリューはプロ最初のシーズンをGリーグでプレーした。しかし今季は、アンドリューがグリズリーズでスターターを任されるまで成長し、アーロンはNBAでプレーできないままだ。
プロの世界ではともに苦労を重ねているが、アンドリューは「成功への道は、人それぞれ違うものだ。遠回りして成功する選手だっている」と焦りはない。昨季はわずかながらNBAの舞台で敵として戦った。だが、2人が目指すのは、チームの主力としての真っ向勝負。子どもの頃いつもやっていたような真剣勝負をNBAのコートですることだ。「しっかりプロセスを踏んで成長していけば、いつかチャンスは来る」とアンドリュー。
その日を目指して、日々努力を重ねるだけだ。
文=山脇明子
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