2018.05.29

KDとカリーで計61得点! 王者ウォリアーズがロケッツを制して4年連続の頂上決戦へ!

ゲームハイの34得点を挙げたデュラント[写真]=Getty Images
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第3Qの猛攻でウォリアーズがリズムを奪い返す

 5月29日(現地時間28日)、ヒューストン・ロケッツ(3勝)とゴールデンステート・ウォリアーズ(3勝)によるウエスタン・カンファレンス・ファイナル第7戦が、ロケッツのホーム、トヨタ・センターで行われた。

 序盤はロケッツがペースをつかみ、ウォリアーズからリードを奪う。ジェームズ・ハーデンエリック・ゴードンを中心に得点を積み上げ、クリント・カペラがインサイドで高確率にショットを決めていく。

 第1クォーター途中、約3分間も両チームが無得点になる場面もあったが、ロケッツはPJ・タッカーの3ポインターやハーデンのドライブで着実に加点。ウォリアーズはKDことケビン・デュラントステフィン・カリークレイ・トンプソンドレイモンド・グリーンを中心に応戦するも、24-19のロケッツ5点リードでこのクォーターを終える。

 第2クォーターに入っても、ロケッツペースは変わらず。ウォリアーズから最大15点差を付け、前半を優位に進めた。ハーデンの代わりに入ったジョー・ジョンソンがボールコントロールし、タッカーへアシストを記録するなどハーデンに休みを与え、ゴードンやタッカーがさらに加点していく。

 残り9分21秒にハーデンが戻ると、カペラのダンクを演出するなどロケッツがさらに加速する。ジェラルド・グリーンやゴードンの3ポインターが決まるなどウォリアーズを圧倒。

 ロケッツはカペラやタッカーがウォリアーズからオフェンシブ・リバウンドを奪うなど、ハッスルプレーでも優位に立った。残り4分54秒にグリーンのパスをスティールしてハーデンがダンクをたたき込んだシーンも、その象徴と言っていいだろう。

 しかし、15点ビハインドを背負ったウォリアーズもそこから反撃。カリー、トンプソンが長距離砲を沈めるなど1ケタ点差まで詰め寄った。しかし前半残り4.5秒で始まった最後のポゼッションで、ゴードンがブザーとほぼ同時にレイアップを決め、ロケッツ11点リードの54-43で試合を折り返す。

恵まれたサイズとシュート力を駆使し、ウォリアーズをけん引したデュラント[写真]=Getty Images

 ところが、第3クォーターにまたもウォリアーズがロケッツに猛攻を仕掛ける。残り8分42秒に決まったデュラントの3ポインターを皮切りに、ニック・ヤングの3ポインター、グリーンのレイアップで4点差に追い上げると、カリー、デュラント、カリーと3連続で3ポインターが決まり、残り3分58秒にウォリアーズが64-61と逆転。

 一方、ロケッツの3ポイントシュートはノーマークで放つシーンもありながら、リングに嫌われてしまい、なんと27本連続ミス。それを尻目にウォリアーズは残り2分52秒からカリーが2本連続で長距離砲を成功。すっかり主導権を握ったウォリアーズが7点リード(76-69)でこのクォーターを終える。

 第4クォーター。最初の2分間こそ両チームが得点を入れ合うも、残り9分33秒にこの日ファウルトラブルに苦しんだトンプソンが3ポインターを決めると、デュラントとカリーも続き、ウォリアーズはリードを2ケタに広げていった。

 残り6分28秒、27本連続ミスというスランプからようやくタッカーの3ポインターが決まり、ロケッツが10点差(79-89)まで引き戻すと、ゴードンがドライブでつなぎ、なんとか1ケタ点差に踏みとどまる。

 しかし、残り4分16秒にトンプソンが3ポインターをヒット。ロケッツは7点差まで追い上げるも、そこから詰めることができず、最終スコア101-92。ウォリアーズがロケッツを下し、4年連続のNBAファイナル進出を決めた。

第3Qにカリーの3ポイントが当たり出し、ウォリアーズは一気にリズムをつかんでいった[写真]=Getty Images

王者ウォリアーズを最後まで苦しめたロケッツ

 ウォリアーズではデュラントがゲームハイとなる34得点。3ポイントシュート5本を決め、5リバウンド5アシスト3ブロックと見事な活躍を見せた。カリーも7本の長距離砲をさく裂させるなど27得点9リバウンド10アシスト4スティール。さらにトンプソンが19得点、グリーンが10得点13リバウンド5アシストと続いた。

 激戦の連続による疲労の影響なのか、フリースローは14投中成功わずか7本、ターンオーバーは16本を犯してしまったものの、39投中16本の3ポイントシュート(成功率41.0パーセント)を決めるなど自慢のシュート力で見事カバー。

 敗れたロケッツでは、ハーデンが32得点6リバウンド6アシスト4スティール、ゴードンが23得点6アシスト、カペラが20得点9リバウンド、タッカーが8本のオフェンシブ・リバウンドを含む12リバウンドに14得点4スティール。

 クリス・ポールの欠場があったとはいえ、3ポイントシュートが44本放って成功7本(成功率15.9パーセント)と、長距離砲に泣いた。

 試合後の会見で、記者からファイナル進出はこれで4年連続になったが今でも特別か、と聞かれ、「そうだね。(今年は)本当にハードだったから」とカリー。今年のプレーオフはカンファレンス・セミファイナル第2戦から出場となり、ショットがなかなか入らない時期もあった。しかし、「僕は自信を失ったことなんて一度もない」(カリー)と語ったように、大一番で自らの価値を証明。

 過去4年間のプレーオフにおいて、ロケッツを“最もタフな相手”だと語ったトンプソンは「パッシングレーンに入り込み、ターンオーバーを誘発してから、ブレイクを決めることに関しては俺たちが世界でもベストなチームだと思う」と誇らしく語っていた。

 「俺たちには(勝利するために)必要なエネルギーが足りなかっただけ」と語ったハーデン。一時期はディフェンスに関する意識の低さを批判されたこともあったが、自慢のパワーを駆使してウォリアーズに襲い掛かり、スティールやブロックを奪うなど、今季はディフェンス面でも成長したと言えるだろう。

 「(ポール不在について)俺たちは考えたりしなかった」というほど、ハーデンは現有戦力に誇りを持ち、王者ウォリアーズ相手にベストを尽くした。

 ポール離脱がなければ、ロケッツがこのシリーズを制していたのかもしれない。しかし、ケガもゲームの一部であり、ウォリアーズも主軸のアンドレ・イグダーラを4試合も欠く中、シリーズを制してみせた。

 1995年以来、23年ぶりのNBAファイナル進出こそ果たせなかったが、今季のロケッツは最後まで彼らのスタイルで戦い抜けた。ハーデンを筆頭に、泥臭い肉弾戦でも持ち味を発揮し、ウォリアーズを苦しめたことは、来季以降に向けて大きな自信となるに違いない。

最後まで戦い抜いたハーデン。負けたとはいえ、選手としての評価はさらに高まったはずだ[写真]=Getty Images

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