2018.08.26

ホークス期待の新人トレイ・ヤング「僕の最初のショットはいつもエアボールだった」

今年のドラフト1巡目5位指名のヤング[写真]=Getty Images
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大乱調だったユタから一転、ラスベガスでは復調して見せた期待のルーキー

 昨季のNCAAで平均27.4得点8.7アシストを記録し、両部門の2冠を達成したオクラホマ大1年のトレイ・ヤングは、今年のNBAドラフトにアーリーエントリーし、1巡目5位でダラス・マーベリックスに指名されると、3位指名のルカ・ドンチッチと2019年ドラフト1巡目指名権(条件付き)と共にアトランタ・ホークスへとトレードされた。

爆発力のあるシュート力を武器に、オクラホマ大をけん引したヤング[写真]=Getty Images

 188センチ81キロと小柄なヤングは、評価が真っ二つに分かれる選手である。3ポイントラインから遠く離れたエリアから3ポイントシュートを決めるシュート力、相手をあざ笑うかのようなフローター、時折見せる華やかなアシストなどで注目を集める反面、ディフェンス面や身体能力があまり高くない点を不安視されているからだ。

 それでもホークスは、この細身のスコアリングガードをチーム再建の軸とする方針で、今季を迎えることを決断している。

 7月3日(現地時間2日)にユタで幕を開けたサマーリーグで、ヤングは先発ポイントガードとしてメンフィス・グリズリーズ戦に出場。自慢のシュート力はどれほどのものなのかと、会場に集まったファンや関係者が注目したのは言うまでもない。

 ところが、ヤングが最初に放ったショットはリングにかすりもしないエアボール。その後、打てども打てども、ヤングのショットは空を切り、終わってみればフィールドゴール20投中成功4本、3ポイントシュートも11投中成功わずか1本の大乱調。NBAのデビュー戦は苦々しいものとなった。

ほろ苦いデビューとなったグリズリーズとのサマーリーグ初戦[写真]=Getty Images

 8月25日(同24日)、現地メディア『ESPN』に対して、ヤングはこう語っている。

 「高校、大学、そしてNBAでも、僕が放った最初のショットはエアボールだった。決して忘れることはできないことだね」。

 ユタで行われたサマーリーグ3試合で、ヤングは平均29.0分に出場し、12.7得点3.7リバウンド4.3アシストという成績を残すも、フィールドゴール成功率は23.1パーセント、3ポイントシュート成功率に至ってはわずか12.5パーセントに終わった。

 しかしここで不調のまま終わらないのがヤングの長所なのかもしれない。自身のツイッター(@TheTraeYoung)で頻繁に“Another Day, Another Opportunity(明日は明日の風が吹く)”と投稿しているように、ヤングはうまく切り替えができているのだろう。

 ヤングはその後、「良くなるようにトライするさ。自分のショットに関しては心配していない」と語り、笑顔を見せていた。

 するとラスベガスで行われたサマーリーグでは4試合に出場し、平均25.8分17.0得点1.0リバウンド6.8アシスト1.5スティールへとアップ。フィールドゴール成功率は38.3パーセント、3ポイントシュート成功率では38.7パーセントまでそれぞれ復調している。

ルーキーながら切り替えがうまいヤング、その秘訣はSNSの遮断

 短期間で見せたパフォーマンス復調のポイントは、どうやらSNSにあるようだ。ヤングは言う。

 「僕はソーシャルメディア(SNS)を無視してきた。なぜなら、そこは本当に誰かを憂鬱にさせてしまう場所だから」。

 世界には数えきれないほどのバスケットボールファンがおり、今では映像配信を通じて世界中でサマーリーグを観戦することができる。超絶プレーを切り取ってSNSに動画を投稿することがある一方で、珍プレーやひどいプレーを投稿し、それが一気に拡散してしまうケースもある。

 そこであまり知らない選手に対して、SNSを通じて見た印象で選手のイメージを決定づけてしまうこともある。さらには世界中から称賛や誹謗中傷のコメントが殺到する。スポーツに限らず、ビジネスの世界でも“イメージだけ”でその人を評価するというおかしなシステムがあるのだが、ヤングはそのことを理解しているからこそ、自身のスタイルとしてSNSを遮断してきたのだろう。

 記念すべきデビューシーズンのトレーニングキャンプまで約1か月。ヤングは準備を重ねて迎えるはずだ。はたして、プレシーズンゲームやレギュラーシーズン最初のゲームにおいて、ヤングの右腕から放たれるショットはリングに当たるのだろうか。

 もし仮にエアボールであろうとも、この男ならばすぐにアジャストして活躍することができると期待したい。

ホークスでは主力としてプレーできる見込みのヤング。虎視眈々と新人王の座を狙っているに違いない[写真]=Getty Images

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